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書評:藤原和博・川端裕人『バカ親,バカ教師にもほどがある:子ども化する大人たち』,PHP新書

最終更新: October 23, 2008 (THU) 14:46 (メモからコピー)

書誌情報

書評

あくまで川端君は聞き手であって,これはやっぱり和田中の藤原校長(正確に言えば元校長だが)の本だなあ,という感じ。

ざっくりまとめると,「モンスターペアレンツ」とか「モンスターティーチャー」を典型とする学校における諸問題は,実はコミュニケーション不全に起因する部分が大きいとして,いくつかの具体例を挙げ,親側,教師側双方にある「壁」を指摘し,解決策を提示した本といえる。

藤原さんの本なので,問題解決策としても,(1)学校支援地域本部を作って図書館の改造などをボランティアに任せる,(2)土曜日学校(土曜寺子屋)を立ち上げる,(3)校庭の花壇などの維持管理も地域ボランティアに任せる,と和田中での実践例が紹介されていた。

p.86で挙げられている,教壇がなくなったので背の低い先生は黒板の上の方まで手が届かないという問題は,理科教育法の授業を受けたときに朽津先生が言われていたように,自分専用の踏み台を持参すれば解決するだろうと思った。このように個人で対処可能なものはいいが,多くの場合システムの問題だったり空気の問題だったりするから,学校の問題は難しいのだろう。なお,藤原校長が『「ナナメの関係」で人は大きくなる』というときの「ナナメの関係」は,たぶん玄田有史君が「Weak Ties」と呼び,社会疫学ではソーシャル・キャピタル(Social Capital)と呼ばれるものに相当するのだと思う。

【2008年4月3日記】


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