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書評:山本紀夫『トウガラシの世界史:辛くて熱い「食卓革命」』(中公新書)

更新:2016年8月21日

書誌情報

書評

素晴らしく面白い本でありお薦め。

タイトル通り世界史なので,原産地の中南米から話が始まり,大航海時代にヨーロッパとアフリカに伝えられたこと,インドへの伝来にはヨーロッパ経由説と喜望峰周りで直接伝えられた説の2つがあること,日本には16世紀のうちに伝わっていたらしいこと,いまではキムチに欠かせない食材として非常にポピュラーな韓国には意外に遅く入ったことや,中国でもトウガラシなしには成り立たないような四川料理に使われるようになったのが実は割と最近のことであるなど,目からウロコの話が満載だった。

世界一周(ただしオセアニアを除く。まあ実際,オセアニアの人たちはあまりトウガラシは食べないし)トウガラシの旅という感じ。個人的な趣味としては博士論文をわかりやすく書き直したという第2章の原産地における栽培化を巡る利用法の違いなど,ethnobotany的な話をもう少し深く読みたかったが,博士論文そのものを読むか,山ほど文献が巻末に付いているので,そこから辿れば良いのだろう。


【2016年8月21日,2016年4月10日の鵯記より採録】


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