最終更新: August 18, 2005 (THU) 17:19 (書評掲示板から移動)
岡田幸四郎氏の解説が完璧なので,つけくわえることは何もないのだが。
市の福祉事務所に勤めるケースワーカーたちと,彼らが出会うケースたちが織りなす人間模様を描いた作品。体裁としては連作短編集といえようか。一般に社会的弱者と見なされ,「保護される」存在であるケースたちではあるが,実は「保護」が弱者を弱者たらしめている部分もあるのではないか,と敢えて問いかける点が,読者の心を揺さぶる。群像劇として描き出した点が篠田節子のうまさであると感じた。
【1999年10月29日記】