最終更新: August 18, 2005 (THU) 18:21 (書評掲示板より移転)
最初の方をちらっと読んだだけで,鳥肌が立った。サーバ管理者が読んでも納得がいく現実感をもったクラッキング追跡の描写に小説で出会ったのは,これが初めてだ。
多少引っかかりを感じたところがないではないのだが,最後まで楽しめた。しかし,主人公は,あまりにもスーパー過ぎるスーパーハッカーではないか? そこまでのアルゴリズムとコーディングを,そんな短期間で考え出す能力は人間業ではないような気がする。
幸森軍也「あなたの待つ場所」とか,ヴァーナー・ヴィンジ「マイクロチップの魔術師」とか,ブルース・スターリング「ネットの中の島々」が琴線に触れたような人だったら必読だし,そうでない人でも十分に楽しめて,その上ネットワークについての知識が深まるというおまけまでついている。お薦めの1冊。
【2001年9月6日記】