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人口学
(Demography / Population Studies)

Last updated on January 18th, 2023 (Wed)

はじめに

世界人口が70億人を超えた現在(注0),人類の生存を考える上で,人口学は欠くことのできない学問である。人口とはごく単純にいえばヒトの数であり(注1),人口学とはそれにかんする法則性やメカニズムを研究する学問であるといえる。

英語で人口学をあらわす言葉にはdemographyとpopulation studiesの2つがあり,それぞれ上で述べた法則性の研究とメカニズムの研究に対応している。法則性の研究は形式人口学あるいは人口統計学とも呼ばれることがある。法則性を抜きにした純粋なメカニズムの研究というものはありえないので,population studiesは,集団を対象とした研究で,評価の軸としてヒトの数を用いるものすべてを指す包括的な概念である。以下に概説を試みるが,なにぶんにも裾野が広い学問であり,完全な説明は不可能である。文末に代表的な推薦文献を載せたので,より深く知りたい方はそれを参照されたい。

形式人口学の基礎

1. 人口構造

人口構造(population structure)とは,人口集団の分類結果である。分類標識(判断の軸)はいろいろあるが,もっとも基本的なのは性と年齢であり,その意味で,男女年齢別人口構造のことを人口学的基本構造と呼ぶことがある。人口構造の分析の基本は,人口ピラミッドを描いて,その形を見ることである(フリーソフトウェアRとpyramidパッケージによる描き方の解説)。それから,いろいろな人口構造係数や指数を計算することによって,別の人口集団との人口構造を比較することで,分析を進める。人口構造の分析は形式人口学の基本であり,他の分析に先立って必ず行うべきである。

人口構造は,人口の特性の,ある時点における断面(注2)を示すものである。その意味で,人口静態(static of population, state of population)の指標といえる。次にあげる,出生,死亡,結婚,移動といった人口動態(population dynamics, dynamics of population, movement of population)(注3)によって,人口の規模や構造は安定または変動する。言い換えると,人口静態は人口動態によって規定される結果である。

人口動態が一定のままある程度の時間が経過すれば,人口学的基本構造も安定する(下に説明する「年齢構造係数」が全ての年齢において一定値に収束する)ことがわかっている。簡単な数学モデルによってこのことを示したのはロトカ(Lotka, Alfred)であった。この理論は安定人口モデルと呼ばれ,人口予測などに応用されており,人口学の中で一つの研究分野を構成している。

年齢構造係数・指数のいろいろ

人口年齢構造を相対的に示す指標として,年齢構造係数と年齢構造指数がある。x歳の年齢構造係数とは,総人口に占めるx歳人口の割合である。総人口ではなく,特定の年齢人口,例えばx0歳人口に対してx歳人口の比を取ったものを,x歳の年齢構造指数と呼ぶ。年齢構造係数や指数は,特定の年齢についてだけでなく,年齢階級について算出される場合が多い。

年少人口構造係数
▼社会生活,ことに経済活動の見地から,通常,15歳未満は年少人口として区分される。細分すれば,0歳が乳児期,1~4歳が幼児期,5~14歳が学齢期とされる。年少人口の総人口の中での割合が年少人口構造係数(0~14歳人口構造係数)である。
生産年齢人口構造係数
▼同様の見地から,15歳以上で,仕事をリタイヤする以前の,60歳未満あるいは65歳未満は,生産年齢人口として区分される。日本の人口統計では,65歳を区切りとした場合が多い。生産年齢人口が総人口に占める割合が,生産年齢人口構造係数(15~64歳人口構造係数)である。
老年人口構造係数(65歳以上人口構造係数)
▼年少人口と生産年齢人口を除いた,生産に従事しない高齢者の人口を老年人口という。日本の人口統計では,65歳以上人口構造係数と呼ぶのが普通である。
年少人口指数
▼年少人口の生産年齢人口に対する比
老年人口指数
▼老年人口の生産年齢人口に対する比
従属人口指数
▼年少人口と老年人口は,現在生産に従事していないという点では同じなので,これらを併せて従属人口と呼ぶ。従属人口の生産年齢人口に対する比を従属人口指数と呼ぶ。
▼なお,人口循環の視点からみれば,年少人口が今後成長して生産年齢人口となり,労働市場に入ってくるのに対して,老年人口は再び労働市場に現れることがないという意味で大きく異なる点に注意すべきである。
老年化指数
▼老年人口の年少人口に対する比。上記人口循環の視点から見て,老年化指数は,労働市場の将来性を鋭敏に示すと考えられる。
ふくらみ指数
▼人口構造が人口移動をも反映していることに着目し,黒田(1976)が提唱した指数である。15歳から34歳までの人口が比較的移動しやすいのに対して(都会への就職,地元に帰るUターン,地方にマイホームを買うIターンなど),比較的移動しないと考えられる5歳から14歳までと,35歳から44歳までの比をとる。すなわち,ふくらみ指数=(15-34歳人口)/{(5-14歳人口)+(35-44歳人口)}×100である。100より大きければ人口が流入していて,100より小さければ人口が流出していると考える。この指標は,人口の純再生産率が1に近くて安定しているほど有効であるが,そうでなくとも目安にはなる。

2. 出生

出生は,人口の自然増加に正の寄与をする唯一の人口動態である。詳しくは,こちらの文書を参照されたい。

最近5年間の日本の出生数推移

2019年12月24日2019年人口動態統計の年間推計が発表されて,今年の出生数が予測を大幅に下回って86万4000人になるということで大騒ぎになった。実は社人研の将来推計人口(平成29年推計)は,真面目に細かく推定していて、出生数90万人を切るのも想定内であり,TFRの中位推計よりは低いが低位推計よりは上なので,中位推計値だけ取り上げて「予測よりも2年早く、少子化が想定を上回るペースで進んでいる」は言い過ぎと思うが,以下,(たいへん大雑把だが)そんなに大騒ぎするようなものか検討してみる。

2015年の国勢調査人口を元にして,年齢別死亡率については2015年生命表から変化がないと仮定し,年齢別出生率については2015年年齢各歳別出生率から(1)TFRの年次推移に応じてスケーリングした場合(2015年のTFRが1.45で,2016年から2018年が1.44, 1.43, 1.42だったので,例えば2016年の年齢別出生率ASFR2016はASFR2015*1.44/1.45と仮定した。2019年は未発表だが,86万4000人に合わせるには1.37とする必要があった),(2)変化がない場合,のそれぞれについてコホート要因法を用い,2019年までの人口推計と年間出生数の推計をしてみた。通常,コホート要因法では,何らかの方法で年齢別出生率や年齢別死亡率の将来推計を行うが,簡単のため上記(1)(2)の仮定で計算したものが右図である(Rコード)。年齢別出生率のパタン自体が劇的に変わるような事件はなかったと思うので,おそらく2019年のTFRが1.37程度に低下したのだと推定される。1.45から変わらないと仮定した場合に比べると随分速く減っているように見える。こんなに大雑把な計算では,それ以上のことは何も言えないが……。

2000年頃に日本のハテライト指標の推移を計算したことがあり、Hadwigerモデルを年齢別出生率に当てはめて得られるパラメータの推移を計算したこともあったが、その後暫くやっていなかったので、新しいデータを追加して計算してみた。このRコードを実行すると、作業フォルダに以下2つのグラフのpngファイルができあがる。

日本のハテライト指標の推移
日本の年齢別出生率データにHadwigerモデルを当てはめて推定されるパラメータの推移

ハテライト指標とは、史上最高の出生力を示した北米ハテライトの女性に比べ、当該集団の女性の出生力がどの程度に当たるのかを、結婚による成分と夫婦出生力による成分に分解して示す指標である。プリンストン大学にいたAnsley J. Coaleらのグループがヨーロッパの出生力転換を分析する目的で開発し、19世紀末から20世紀のヨーロッパ諸国ではIg(有配偶出生力指標)が半減よりひどく減っているので、当時のヨーロッパ諸国におけるIf(総合出生力指標)の低下(=出生力転換)の主要因は夫婦出生力の低下であった、と書かれている。日本のグラフを見ると、まず、Ifは1950年代に激しく低下し、1960年代から70年代半ばまでは横ばいだったが、1975年から1990年頃に掛けて再び低下し、その後はほぼ横ばいとなっていて、TFRの推移と似た動きを示していることがわかるが、そのうち1950年代のIfの低下はIgの低下と軌を一にしていて、夫婦出生力の低下が日本でもTFRが2程度まで下がった主要因であったと考えられる。日本のIgは、1960年代は横ばいだったが1970年代に低下し、1980年以降は微増傾向である。代わって1980年以降激しく低下したのがIm(結婚指標)であり、第二の人口転換の主役は晩婚化と非婚化であったといえる。

Hadwigerのモデルにおけるパラメータa、b、cにはアプリオリな意味はないが、ヨーロッパのデータでは、aがTFRとよく相関し、bが年齢別出生率のピークの高さと相関し、cが平均出産年齢と相関することが示されている(Chandra, 1999)。こちらのグラフもaは1950年代の低下であるのに対して、bは1950年代から1980年頃まで上昇し(おそらく出産年齢の集中が起こったことを意味する)、それ以後緩やかに低下している(夫婦出生力の低下を示す)のに対して、cは1950年代に低下し、1960年代から1980年頃まで横ばいで、それ以降は上昇を続けていることがわかる。つまり、1980年以降、晩産化が継続しているということになる。

3. 死亡

死亡については,大別すれば,個々の死因について検討することを重視する実体人口学的立場と,マクロで見た人口現象としての死亡法則を追求する立場で多くの研究がなされてきている。後者の立場で集団の年齢別死亡パタン(平均寿命などを含む)を分析するために開発され,形式人口学の基本とも言われる分析ツールが生命表である。個体ベースで死亡が起こるメカニズムの共通法則を明らかにすることは難しいが,ハザード解析(生命表はハザード解析の単純な離散形式の一種ともいえる)や個体ベースモデルの発展によって扱うことが可能になりつつある。詳しくは,こちらの文書を参照されたい。

(2009年12月24日追記)2009年度の東京大学医学部健康科学・看護学科の「人口学」講義で,「死亡の分析」を担当した際に作製した資料を加筆修正したものをpdf形式で公開しているので,参考にされたい。

(2013年3月2日追記)2013年2月28日に厚生労働省から発表された都道府県別生命表のデータから作図する方法をまとめてみたので,こちらの文書(2022年12月24日に大幅に更新した)もご覧いただきたい。

(2018年4月10日追記)2017年12月13日に発表された平成27年都道府県別生命表の概況に掲載されている,参考表2「特定死因を除去した場合の平均寿命の延び」のデータをfmsbパッケージに追加し,簡単にレーダーチャートが描けるようにした。fmsbパッケージをインストールしておき,このコードをRで実行すると下のグラフが描ける。

特定死因を除去した場合の平均寿命の延び(青:長野,赤:青森,灰:他都道府県)

男女とも青森県では,がん,肺炎,腎不全,糖尿病による余命損失が大きいことがわかる。同様に他都道府県も死因構造の特徴がわかるはずなので,是非試されたい。

(2022年12月28日追記)2020年の都道府県別生命表のデータから、ゼロ歳平均余命e0の推移(Prefe0)と損失余命(PrefYLL2020)を取り込んだ新バージョンのfmsb-0.7.5を作成したので(cranにも掲載済みだが、ここからダウンロードすればローカルファイルシステムからインストール可能)、それを使えばいろいろできる。例えば、2020年の男女別e0からコロプレス図を描くコードも簡単に書ける。実行すると下のグラフが描ける。(2023年1月18日注記:高知県のローマ字表記がmapdataと違っていたので高知県と九州・沖縄が白くなっていたことに気づいたのでコードを修正して再描画した。Prefe0内でPNAMEを直すべきか)

4. 結婚・離別

人口モデルはペアリングを考えた瞬間に複雑になる。とくに,現代の先進諸国のように事実婚と法律婚が大きくずれていたり,離婚が多かったりすると,問題はより複雑になる(かつての日本では,Coale and McNeilの年齢別初婚確率モデルなどを適用することができたが)。結婚にかかわる要因については,人類学的な婚姻規制の研究から,国立社会保障・人口問題研究所が続けている出生動向基本調査まで幅がある。

5. 移動

人口移動の研究は難しい。地理学の研究者を中心に,GISなども活用して進められているし,参考になる書籍もいくつかあるが,移動前後両方の居住地をカバーする研究は必然的に大がかりなものになるため,小集団研究や疫学的なコホート研究では,移出先でのフォローアップは手薄になりがちだし,すべての移出先のpull factorを調べることなどは不可能に近い。国勢調査の移動人口についての集計結果により,住民のうち移動してきた人口がどこから来たか,どのような年齢層の人が来たかというデータは得られ,移動研究の重要なデータリソースである。移動人口の死亡については,多相生命表の1つである多地域生命表が開発され,研究が進んでいるが,データを得るのは簡単ではない。

さまざまな人口研究

◆生殖内分泌学

尿中,唾液中,および血液中のホルモンを利用した,受胎能力の研究。ペンシルヴェニア州立大学のDr. James William Woodとマサチューセッツ大学のDr. Kenneth L. Campbellが中心的に進めている。

◆シミュレーション人口学

MacCluerやDykeが,コンピュータを人類学的集団の人口研究に利用しようとして,1970年代から盛んにマイクロシミュレーションを行ったのが,そもそもの始まりである。「シミュレーション人口学」という分野名は,中澤の造語であり,まだ確立はしていない。詳細な文書はこちらで,参考プログラムはdemogsim.lzh(-lh5-圧縮ファイル)としてダウンロードできる。1999年6月に行われた,日本人口学会第51回大会での発表もシミュレーション人口の応用であり,こちらからその際の配付資料と使用したプログラムはダウンロード可能である。

◆人口転換理論

近代化に伴って人類集団の人口動態が多産多死から少産少子へ変化する,とNotesteinが1945年に述べて定式化された「人口転換」という現象を説明するための理論である。とくに,生物の本性から考えて子ども数を減らすのが不思議なので,多産から少産への「出生力転換」の理由を考察した理論が多いが,結論は出ていない。詳細な文書はこちら(Trends in Ecology and EvolutionにMonique Borgerhoff-Mulderが寄せたレビュー論文を訳したものをベースに,大幅に補足・改定したもの)をご覧いただきたい。

◆病気と人口(理論疫学)

人類史という視野で考えると,人間が環境を変化させてきたのに伴って,当然,環境から人間への働きかけも変わってきたので,病気や健康の質も変化してきたと考えられる。個体群レベルでみれば,遊動的な生活をしていたバンド社会から農耕や工業化により定住化,集住化が進行するに連れて人口規模が変化したことの影響も大きい。人口規模の変化は,その人口が支えることができる病気の種類を制限すると同時に,主な病気の種類が変わると死亡構造が変わることを通して人口構造に影響する。こうした関係を数学的なメカニズムとして解き明かす学問分野が理論疫学である。詳しくは病気と人口の関係を参照。

◆環境と人口と食糧(生態人口学の試み)

世界人口の増加が人口爆発を引き起こして地球環境の限界に近づいているという議論は,最近とみに盛んである。2002年11月に行われた名古屋大学の環境人口論セミナーで生態人口学試論と題して,これに関連した話を少し喋った。

推薦文献

舘 稔(1968)人口分析の方法,古今書院,980円
手元にあるのは第8刷であり,1980年に出たものだが,残念ながら既に絶版である(古書店では時折見かけるが)。形式人口学の教科書としては,いまだに日本語ではこれを超えるものはないと思う。もちろん,岡崎陽一さんの「人口統計学」「人口分析ハンドブック」(古今書院)とか,とっつきやすくてわかりやすい本はいくつも出ているのだが,本書「人口分析の方法」は,網羅的に形式人口学を論じており,その視野の広さと深さでは並ぶものがないのである。また,テクニカルタームについては,英語,フランス語,ドイツ語が併記されているのもすばらしい。もちろん,最近の発展著しいハザード解析などはあまり触れられていないのだが,その辺は新しい本や論文で補えばよいので,新しい本とは別に本書をきちんと読んで置くことは,人口学研究者を志す者にとって有意義なこと,間違いない。目次は,次のようになっている。
●はしがき/章1 総論(節11 人口,節12 人口統計,節13 人口統計の調査,節14 人口統計の評価と補正,節15 人口の種類,節16 同年齢集団と同時集団,節17 おもな観察原理)/章2 人口増加(節21 人口増加の意義と形態,節22 人口増加率,節23 人口増加の法則)/章3 人口分布(節31 総説,節32 絶対人口分布,節33 相対人口分布,節34 人口分布の法則)/章4 人口構造(節41 総説,節42 人口学的基本構造,節43 その他おもな人口構造)/章5 人口自己再生産(節51 総論,章52 死亡,章53 出産,章54 標準化理論,章55 再生産率理論)/章6 人口移動(節61 総説,節62 国内人口移動,節63 国際人口移動)/章7 人口推計(節71 総説,節72 人口増加の推計,節73 人口学的基本構造の推計)/おもな参考文献/人名索引/事項索引/追補
とくにお薦めなのが章3と章4である。普通の教科書にはあまりきちんと触れられていないので,ここを読むだけでも価値があると思う。
岡田實・大淵寛[編](1996)人口学の現状とフロンティア, 大明堂,3500円
1998年度の日本人口学会の学会賞を受賞した本。人口学の全分野について,新しい知見を含めて網羅されているに近い。その分,記述が詳しくないのが欠点だが,本格的に人口学を学びたい人にはお薦めできる。
ジョエル・E・コーエン[重定南奈子・瀬野裕美・高須夫悟 訳](1998)新人口論・生態学的アプローチ,農山漁村文化協会,6800円
原題は,How many people can the earth support?,つまり「地球は何人の人口を支えられるか?」である。上の本とは対照的に,人口学の理論の説明はかなり偏ったものしかされていないが,そこについてはきわめて詳しい。訳者の顔ぶれをみてもわかるように,将来の世界人口を数理生物学的に予測するという意欲的な取り組みである。600ページを超える厚さだが,語り口も面白いし,読みやすい。ぼくがこういう本を書きたかった!!
国際人口学会[編][日本人口学会 訳](1994)人口学用語辞典,厚生統計協会,税別3000円
最強の人口用語集である。人口関係の論文を読むときには手近においておきたい一冊。
Smith, David P. (1992) Formal Demography, Plenum Press, 約10000円:
形式人口学の標準的な教科書。きちんとまとまっている。
Wood, James William (1994) Dynamics of Human Reproduction, Aldine de Gruyter, New York, 約5000円:
ヒトの再生産過程について生物学的・人口学的に網羅した本である。日本語ではここまで詳しい本は出ていない。
黒田俊夫(1976)日本人口の転換構造,古今書院
主として戦後の日本人口の分布と構造の変化を詳細に分析した労作。とくに,全国総合開発計画(全総),新全総,三全総などを通して,人口にどのような影響があったかを明快に読み解いていることと,「ふくらみ指数」の提唱が注目される。
日本人口学会[編](2002) 人口大事典,培風館,税別25,000円
日本人口学会が総力をあげて編集した,人口学に関してなら何でも載っている(副作用として別の章で同じ内容が重複して記載されていることはあるけれども,漏れはない)大事典である。その分,非常に高価なので,研究者でない人にとっては,個人で買うのは非現実的であろう。各事項について独立した読み物として成り立つような書き方がなされているので,図書館などで借りて,関心のある,あるいは深く知りたい項目だけ読んでみるという読み方をされるとよいと思う。難点をいえば,原稿を書いてから出版まで3年くらいかかったので,最先端の研究についての言及は多少古びてしまったことと,引用文献数に制約があったためにもっと深く知りたいときに追っていくべき文献リストが不十分なことだが,その辺りは各著者にリクエストすれば対応されるだろう。
なお,図書館には備えてあって当然の本だと思うので,自分が使っている図書館にはないよ! という場合は,是非その図書館にリクエストしてください。
稲葉寿 (2002) 数理人口学,東京大学出版会,税別5,600円
この分野では唯一無二の本。理論疫学の研究者にも参考になる部分が多い。ボリュームといい内容といい,登攀に根気と能力を要する。けれども,それだけのことはあると思う。
挫折してしまったら,Keyfitz N (1985) Applied Mathematical Demography 2nd Ed., Springer-Verlagから始めてみるのもよかろう。
Preston, Samuel H. et al. (2001) Demography: Measuring and Modeling Population Processes. Blackwell Pub., 約5,000円
素晴らしくバランスのいい人口学の教科書であり,規則的・形式的なところから入って,徐々に不規則性のある実人口の分析へとつながっていくような構成になっている。真面目に人口学を学ぼうという方にお薦め。
和田光平 (2006) Excelで学ぶ人口統計学,オーム社,税別3,800円
この本は素晴らしい入門書である。上のPrestonの本は英語なので駄目という方には,本書から入ってみたらいいのではないか。Excelは別に主題ではなくて,人口分析と人口推計の入門的かつ読みやすい,実例を実際に計算してみることができる教科書として唯一無二の存在。
■2015年に,この本の応用編とも呼ぶべき,『人口統計学の理論と推計への応用』(オーム社)が出版されている。
Rowland DT (2003) Demographic methods and concepts. Oxford Univ. Press, ISBN 978-0-19-875263-9(Amazon | bk1 | e-hon
■CDでExcelのスプレッドシートが付録として入っており,生命表はaxが入っていない単純な形。ざっと目を通した感じだと,日本語の本でいえば前掲の和田光平(2006)『Excelで学ぶ人口統計学』オーム社とほぼ同じターゲットを狙ったテキストだが,人口分布でGISを使った作図がいくつか紹介されており,人口移動の推定法も示すなど,初学者にはうってつけかもしれない。Brunsdon C and Comber L (2015) An INTRODUCTION to R for SPATIAL ANALYSIS & MAPPING. Sageと併読すると良いかもしれない。
Chamberlain, Andrew (2006) Demography in Archaeology. Cambridge University Press., 約3,500円
考古学における人口学について,見通しよく読みやすそうなテキスト。英語のテキストとしては破格の安さだと思う。大学院で輪読に使うのにいいのではないだろうか。書誌情報と目次の適当な訳を作ってみた。
河野稠果 (2007) 『人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか』中公新書,税別860円
1冊の新書に詰め込む内容としては欲張りすぎではないかと思うほど濃い本である。もっとも,「人口学への招待」としては,(スコープから言って当然ではあるが)出生がメインで,死亡や移動についてはあまり触れられていないし,出生の中でも生物人口学・生殖内分泌学・進化生物学的なアプローチ(かつて日本生態学会関東地区会シンポジウムで喋ったことがある)については記述が少ない。その分,社会経済的側面については非常に広い視点から網羅的に近いレビューがなされているように思った。少子化についての学問的アプローチに関心をもっている方は必読であろう。
稲葉 寿[編] (2007) 現代人口学の射程,ミネルヴァ書房,税別4,000円
自分も寄稿させていただいているが,それが心底誇りに思える本。
人口学の幅と深さをわかってもらうにはうってつけの本ではなかろうか。章立ては以下の通り。
はじめに
I. 日本人口の分析
1. 晩産化と人口変動
2. 高学歴化と出生率変動
3. 日本人口絶滅へのシナリオ
4. 人口指標の精度について
5. 世帯から見える日本のすがた
II. 越境する人口学
6. 老化と寿命の人口学
7. 低出生力は経済成長の帰結か?
8. イベントヒストリー分析の歴史人口学への応用
9. 小集団人口学
10. 感染症の人口学
III. 人口分析の基礎
Smith DP, Keyfitz N (2013) Mathematical Demography: Selected Papers, 2nd Ed.
Max Plankのサイトからpdfファイルが無料で(!!)ダウンロードできる。
形式人口学の名著を書いたSmithと数理人口学の名著を書いたKeyfitzの選による論文集で,Part 1「Life Table」には,1662年にGrauntが初めて生命表を実用に使った論文から1943年の,GrevilleがAbridged Life Tableの補整式を提案した論文まで収録されている。Part2「Stable Population Theory」には1760年のEulerの論文から,20世紀初頭にLotkaが書いた3つの記念碑的論文や,1957年のCoale AJの有名な論文「How the age distribution of human population is determined」が収録されている。Part3「Attempts at prediction and the theory they stimulated」,Part4「Parameterization and curve fitting」,Part5「Probability models of conception and birth」も,それぞれ有名だが昔のものなので入手しにくかった重要な論文が収載されている。これが無料で公開されているとは素晴らしい。
日本人口学会編(2018)『人口学事典』丸善出版(紹介文
日本人口学会が数年がかりで編纂した事典。各項目を2~4ページで説明するという中項目主義なので,見通しは良いと思う。
ちなみに自分も企画編集委員として参加し,何項目か書いている。
フランソワ・エラン(林昌宏訳)『移民とともに―計測・討論・行動するための人口統計学』白水社
ISBN 978-4-560-09691-8。フランスの人口と人口政策,移民,移住政策について歴史的背景から最近の状況まで広範にカバーした本であり,かつ,著者がINEDの所長まで務めた人口学者なので,人口学的な正確さは他の移民関連本とは一線を画している良書だと思う。
世間にはびこる人口学への無理解や誤解への苛立ちを感じているようで,随所にそのことが書かれている。例えば,第11章「無知によってすべてを一刀両断にするエリック・ゼムール」は,冒頭から,次のように人口学者の溜飲を下げてくれる。

「人口学は知識欲のある人々の関心をひく社会科学だが,人口学の難解さを過小評価する,学ばずにしてすべてを知った気でいるアマチュアも興味を示す(中略)人口学を学べば,誕生,愛,死,そして亡命,難民,人口増加がわかると思うかもしれない。誰でも理解できるのか。人口学を実際に学習する際には,それらの親しみのある言葉は,出生数,婚姻数,死亡数などの冷淡な専門用語に代わり,移民の「フロー」と「ストック」を検証することになる(中略)他の学問の専門知識に比べれば,たいしたことがないと思われたかもしれないが,人口学を扱うには最低限の専門知識が必要なのだ。ところが「そんなことどうだっていい。人口学者なら簡単になれる」と思う輩がいる。「女性一人当たりの子供の数が2.1人なら人口置き換え水準である」と指摘すれば,すでに学識があり,ジャーナリストを煙に巻くことができる。テレビ局のスタジオでは,そうした輩が「人口学者」を自称している(しかも,彼らは日によって,経済学者,社会学者,地理学者,あるいは,それらすべてを自称している)。だが,本物の人口学者は,その人物が市民籍の登録を利用して合計特殊出生率や平均寿命を計算することさえできないと知っている。」

エリック・ゼムールがどういう人なのか知らないが,本書によると,移民やフランス凋落に関する終末論を書いている人気の自称人口学者だそうで,「INEDが示す合計特殊出生率0.1%」などと,まったく人口学を理解していない,誤解に基づくINEDへの批判(ある種の藁人形論法といえよう)を書いて人気を博しているそうだ。日本にもそういう似非人口学本や知ったかぶりな自称学者タレントは溢れているので,読者・視聴者は騙されないように気をつけて欲しい。
Gordon A. Carmichael (2016) "Fundamentals of Demographic Analysis: Concepts, Measures and Methods." Springer
ISBN 978-3-319-23254-6。元々2万円くらいする本だが,Kindle版は2465円,ハードカバーがなぜか1639円という激安値段になっていたので買ってみた。下記の自著『Rで学ぶ人口分析(仮題)』と扱っている範囲やレベルは似ているように思われる。
James R. Carey & Deborah Roach (2020) Biodemography: An Introduction to Concepts and Methods (English Edition), Princeton University Press
Amazonで,Kindle版を6560円で購入。
Biodemographyは日本の人口学者の中には専門家が少ない分野で,かつては公衆衛生系の人口学者も,大阪大学の丸山博先生や日大人口研の小林和正先生を初めとして多数いらしたが,今では,中央大学の佐藤龍三郎先生,東京大学の小西祥子先生,国立保健医療科学院の逢見憲一先生ら,数えるほどしかいない(自分もその端くれだと自認しているし,Biodemographyの中でも感染症と人口については,東京大学の稲葉寿先生,広島大学の梯正之先生に加えて,北海道大学の西浦博先生の研究・教育両面での大活躍によって裾野が広がりつつあると思うが)。しかし潜在的には人口学をきちんと学ばないままに出生や死亡を扱っている公衆衛生分野の人は多数いて,俗流人口学説的な論文や本をよく見かけるので,きちんとした生物人口学のテキストに対する潜在的需要はある。というか,むしろ多くの人に学んで欲しいと思っている。
この本の出版は知らなかったし,著者2人は有名な人ではないが,序文を書いているVaupelと,レビューでべた褒めしているTuljapurkarは,生物人口学分野で知らなかったらもぐりだろうと言えるほどの大物なので,中身も期待ができそうだと思って目を通してみた。
第1章は,Human life courseを誕生から成熟,第1子出産から末子出産を経て死亡,と5点それぞれの年齢によって特徴付けられるものと捉える導入から,それを集団レベルで集成すると集団規模,空間分布,年齢構造,それらの変化という形で特徴がでてくると展開し,他の生物と比べてどうかという点に触れた上でレキシス図に入っていき,Age-Period-Cohortモデルにつなげたのは鮮やか。
第2章は生命表で,ここは他の人口学のテキストでも良く出てくる説明がまず与えられるが,その後,Metrics of Life Tables(生命表から導かれる指標?)という小見出しで,年齢別死亡率の最頻値,中央値,平均値や,Life table aging rate(生命表老化率?)というHoriuchi and Coale (1990)で提案された指標や,Life table entropy(生命表エントロピー?)という(もしかしたら本書オリジナルな)指標や,生命表から求められる平均寿命の感度分析(これによって,Vaupelが1986年の論文で提案したような,平均寿命が100年に到達するのはいつかを予測することができる)が書かれているのは,あまり他の本では見られない記述だと思う。
第3章は死亡についてということで,ゴンペルツやサイラーなど多数の数学モデルが紹介されている。雪崩モデルは出てこないが,代わりにVaupelらによる脆弱性分布のモデル(distribution of frailty)が紹介されている。年齢別死亡率と死因の関係について説明されているのも「生物人口学」の本らしくて良いと思う。
第4章は再生産で,上述のWood (1994)ほど詳しくないが,近成要因レベルでの説明や出産間隔データについても触れられている。個人レベルでの生物学的なメカニズムを踏まえた再生産モデルについてかなりページを割いて説明されているのも良い。ただ,3章と4章の内容については,たぶん近日中に出るはずの自著『Rで学ぶ人口分析(仮題)』の方が詳しい部分もある。同書ではRでの計算方法だけではなく,理屈も説明しているので。
5章は安定人口モデルで,わりと良くある説明のように思った。まあ,安定人口モデルは古くから確立しているので,斬新な説明をするのは難しいし,その必要も無いだろうが。
6章のStage Models(多段階モデル?)はたぶんこれまで人口学のテキストではほとんど触れられていない内容である。植物の状態遷移を行列で表すという説明の仕方で最も単純な場合の多段階モデルが説明され,続いて脊椎動物の多段階モデルとしてウミガメ,シャチ,その拡張,と続いて,レスリー行列に行き着き,さらにLefkovitchモデル(これはたぶんあまり有名でない)との関係が説明されるやり方は鮮やかだと思う。この章は後で丁寧に読まねばなるまい。
7章は安定人口モデルの拡張として,両性人口モデル(これは複雑で,たぶんこれまで和書では稲葉寿先生の『数理人口学』など高度な本でしか触れられていない),確率論的な偶然変動を考慮するモデル,人口動態率の環境変動,多地域人口学としてロジャースモデル,階層構造のあるモデル(例は蜜蜂のコロニーだが)が説明されている。この辺りは,人口学よりも保全生態学や地理学の方が馴染み深い内容かもしれない。
8章ではヒトのライフヒストリーと人口学と題して,他の霊長目の生活史との対比,家族の進化(この辺りは人類学が得意とするところで,これまでの人口学のテキストには記載が少ない),活動寿命(Active Life Expectancy)としてサリバン法による健康余命の簡単な説明に続いて,多相生命表による健康余命が説明されている。競合リスク(他の死因によって死亡するリスク)についても説明された後,さらに,家族人口学(Family Demography)として家族単位でのライフステージ,親族関係や家系図の人口学的な把握(系譜人口学の入門的な)まで説明されている。この章も後できちんと読まねばなるまい。
9章は応用人口学と題して未知パラメータの推定の話が説明されている。生態学では有名な個体数推定法であるリンカーン法の説明が比較的丁寧に書かれているのも,これまでの人口学のテキストにはあまり無い。
10章も応用人口学で,人口の評価と操作というタイトルがついているが,健康余命の話が,バッファローとショウジョウバエの例を挙げて説明されている。保全生態学のテーマである絶滅危惧種の人口規模を増やすにはという話にも触れられている。
11章は生物人口学小話(Biodemography Shorts)となっており,ここまでの章立てで拾えなかったトピックとしてのS1からS87までの短い話が,大きく4グループに分け,さらにいくつかの小見出しを置いて並べられている。ここもいろいろ面白そうなので,後でちゃんと読もうと思う。
付録も人口データの作図についてや,データファイルの管理法についてなど面白い。その後についている引用文献リストと索引も充実していると思った。この値段なら買って損はなかったと思う。
中澤 港『Rによる人口分析入門』朝倉書店、2020年9月
サポートサイト。草稿やデータやコードがダウンロードできる。

参考になるウェブサイト

人口学特講 (Demography)
中澤が神戸大学大学院で英語でやっている講義の配付資料やRコードを公開しています。
英語が苦で無ければ参考になると思います。
人口学文献検索
日本人口学会会員研究業績(編集委員会が会員から集めて「人口学研究」に掲載した原稿が元となっている)を,人口情報委員会の活動の一環としてデータベース化したもの。東京大学のサーバを間借りしていたが,東京大学のサーバ消滅とともに消えてしまったものを,2004年3月16日から,日本人口学会の公式サイトで運用再開した。2006年8月末に,2005年までのデータが入った(New!)。
日本人口学会
人口学の専門学会。設立当初は公衆衛生学的な色彩がかなり強かったらしいが,現在では経済学的な人口分析が主流である。生物人口学や数理人口学はかなりやる人が少ないので,新人の参入が望まれる。ウェブサイトには学会の公式情報が掲載されている。
少子化文献情報データベース
国立社会保障・人口問題研究所によって公開されている文献情報データベース。
日本人口学会人口情報研究委員会
日本人口学会池周一郎会員(帝京大学)により維持されている。
人口学関連リンク集
日本人口学会廣島清志会員(島根大学)による充実したリンク集。
アジア人口学会(Asian Population Association)
2007年12月1日にできた国際学会。
有名な人口学者のホームページや紹介サイトなど
日本人を含めると直接知り合いな方が多数いて名前を挙げにくいので,日本人は除くとして,有名な人口学者といえば,コール(Ansley J. Coale),プレストン(Samuel H. Preston),ボンガーツ(John Bongaarts),ブラス(William Brass)は外せない。数理ならばキーフィッツ(Nathan Keyfitz),生物人口学ではウッド(James Willaim Wood),ウィルマス(John R. Wilmoth),トゥルジャプルカール(Shripad Tuljapurkar),ガブリロフ(Leonid A. Gavrilov),ヴォーペル(James W. Vaupel),古くはフィッシャー,ロトカ,あとは第二の人口転換を提唱したレスタギとヴァンデカーも必修。また,数理人口学の古典となる重要な論文をまとめた論文集(序文をKeyfitzが書いている)がMax Planckから無料でダウンロードできるが,本書所収論文の著者たちは有名な人口学者と言える。いずれも人口学を学ぶなら基本であろう。

注記

(注0)
●このページを作り始めたのは20世紀のことだったと思うが,当時はまだ60億人に達していなかった(ので,長い間「60億近い」と書いたままだった。2012年に70億人を超えたのは恐ろしいスピードだが,日本を筆頭に人口減少を始めた国もあるし,途上国の増加速度も鈍化してきたところが多いので,かつては100億人を超える可能性があると言われてきた世界人口も,最近の国連予測によれば90億人前後で上げ止まるとされている。
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(注1)
●岡田・大淵[編](1996)によれば,「一般的な概念として人間の集団だけに限定されない場合もあるし,統計上の母集団の意味で使用されることもあるが,ここでは人間集団を量的に把握したものとしての人口に限定する」と書かれている。
(補足)1986年10月29日に東京大学医学部保健学科で行われた人口学講義(柏崎講師)によれば,『単に集まって住んでいるだけでなく,「再生産をする」ことが条件』とのことであった。
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(注2)
●断面といっても,調査時点にたまたま家の外にいたというような場合や,たまたま客として訪問中だった人をどうするか,が常に問題となる。つまり,断面には,一定の時間幅がある。この時間幅をほとんど許さずに,調査期間中にいたかいないかによって人口静態を切る方法が現在人口(de facto population)主義であり,常住(すなわちある一定の期間の在・不在)によって切るのが常住人口(de jure population)主義である。日本ではセンサス(国勢調査,つまり全国規模の人口静態調査)が5年ごと(正確に言えば10年ごとに本調査でその間5年で補完調査と規定されているが,実状としては補完調査も本調査も同等)に行われているが,1947年までのセンサスが現在人口主義で行われていたのに対して,1948年常住人口調査を経て,1950年国勢調査から常住人口主義となった。変更の理由は,人口移動が激しくなったためとされている。なお,国勢調査の場合,在・不在を決めるための「一定の期間」は3ヶ月である。また,国勢調査では一時不在人口と一時現在人口も併せて調査されているので,常住人口=現在人口+{(一時不在人口)-(一時現在人口)}という関係によって,一方から他方を求めることは可能である。
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(注3)
●人口規模を決定する要因である出生,死亡,移動と,人口構造の変動を決定する要因のうち,結婚,離婚,疾病および傷害の発生及び治癒,職業又は所属産業の転換など,これに胎児死亡と死産を加えて,人口動態の要因といい,これらのできごとを人口動態上の事件(vital events)という(舘,1968)。
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Correspondence to: minato-nakazawa[atmark]umin.net.

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