最終更新: 2003年 12月 16日 (火曜日) 13時29分
疫学特論の目的は,人間集団を対象として,健康及び疾病にかかわる要因を特定し,因果関係を明らかにすることを目指す学問としての疫学を学んでもらうことです。
前半では,因果推論の考え方,そのために必要な研究デザインと分析デザイン,及び統計解析手法を理解することにより,健康福祉分野の問題についての科学的に厳密なアプローチの方法を習得することを目標として講義を行います。
後半では,さらに理解を深めるために,American Journal of Epidemiology(この雑誌はOxford University Pressから出ているので,山口県立大ではフルテキスト無料で読めます)等の国際的に認められている疫学分野の一流誌から優れた研究論文を選んで受講者が内容を紹介し,それを他の受講者も含めて疑問点を質しながら議論していく輪講形式の講義も行います。
ただ講義をするよりも質疑形式でやった方が疫学の考え方の習得に役立つので,前半も半ば輪講にします。いい論文は英語で書かれることが多いため,教科書も英文のものを読む方が役立つはずなので,英文の教科書を選定しました。書誌情報は下記のとおりです。
Rothman KJ (2002) Epidemiology: An Introduction. Oxford University Press, Oxford, 223 pp. ISBN 0-19-513554-7. |
この本は11章からなっていて,各章末に問題(Questions)がついています。誰もが最低でも1章は担当し,和文による(調べても意味がわからない専門用語は英語のままで結構です)レジュメを作成し(人数分コピーして配布),内容を紹介し,Questionsに対する自分の考えを発表していただきます(このテキストのためのサイトに,Questionsに対して読者から投稿された回答例が掲載されていますし,疫学データ解析のためにRothmanが用意したExcelのスプレッドシートEPISHEETもダウンロードできます)。質問するので,答えられるようによく読んでおいてください。その後に,その章のテーマに関連して知っておくべきことを補足します。
選択予定者同士で話し合って分担を決め,夏休みの間に予習しておいてください。選択予定者の人数が少なければ1人で複数の章を担当していただくことになりますし,多ければ2人で1つの章を担当することもありえるかもしれません。分担が決まったら,代表者は中澤までメールでお知らせください(中澤は8月5日〜16日はベトナムに出張しますが,たぶんメールは読めます)。なお,この教科書は,Amazon.co.jpで税込み3,935円(2003年7月10日現在)なので,購入しても良いと思いますが,E115にくればお貸しできますので,借りて読むのでも構いません。
後半に実際の研究論文を選んで内容紹介をしてもらう予定でしたが,前半が予想以上に時間がかかっているので,実際の研究論文については講義中に織り交ぜてこちらで内容紹介をします。
10月28日より,教室をD12に変更します。
教科書の発表担当と,研究論文の発表担当により評価します。
Correspondence to: minato@ypu.jp.