枕草子 (My Favorite Things)

【第140回】 田子池往還(1999年5月31日)

Tago pond, Nagano city, May 30th ,1999

昨日は奥裾花自然園に行って日本最大のミズバショウ群落を見るつもりだったのだが,一家で寝坊してしまったせいで急遽予定を変更し,田子池往還と相成った。田子池とは,長野市も北の方,牟礼村に近いところにある大きな池である(右写真)。伝承によると湧き水がいくつもあるらしく,そのせいかなかなか水が美しい。街から近い割に護岸もされていないし,水草も繁茂していて,雰囲気がよい。釣りもできるが,北国街道沿いにある長野自動車とかいう店で入漁券を買わねばならない。一日券が大人500円,1年券が大人3000円であるから,2ヶ月に1回以上のペースで通えば,1年券で元がとれることになる。釣れる魚はよくわからないのだが,多くの釣り人はルアー,とくにワームを使って,スモールマウスバスを釣っていたようだ。昨日は釣り竿を持っていかなかったし,子どもが池の周りを歩きながら虫をつかまえていたので,それを見るとはなしに見ながらぼーっと過ごした。初夏の日射しのもと,こんな休日の過ごし方もなかなかいいものだ。

もっとも,次回は押入からフェンウィックのルアーロッドとダイワのベイトキャスティングリールを引っぱり出して持っていくつもりであるが。


田子池には,長野駅からSBC通り経由の牟礼行きのバスに乗れば30分から1時間で行けると思うが,昨日は徒歩で往復した。子どもを自転車に乗せて押していったのだが,片道1時間半,なかなかいい散歩であった。SBC通りから若槻大通りに入って急な坂道を上りきったところに「見晴の湯」という温泉宿があって,(たしか13:30から18:00まで)泊まらなくても入浴できるとのことだったので,次回は是非入ってみようと思う。見晴の湯を過ぎて坂を下りた交差点で左折し,北国街道に入ると20分ほどで田子池に到着する。この間,右側がかなり開けている谷になっているので,なかなか眺めがよい。子どもが大きな声で喋ったら木霊が聞こえたほどである。ちなみに北国街道とは中山道追分と北陸道高田を結ぶ35里の道で,かつては日本海側と太平洋側を結ぶ交通の要所だったらしい。佐渡からの金も,この道を通って江戸に運ばれたという,由緒正しい道なのである。そんなことをふわふわと脳裏に遊ばせながら歩いていると,小型車がやっとすれ違えるかどうかというこの狭い道も,立派に見えてくるから不思議である。両側の家々にも白塗りの蔵なんかがいくつもあるのだ。タイムスリップしたような気分。

というわけで,今日は長野の観光案内のみでおしまい。


前【139】(ドリーの寿命(1999年5月28日) ) ▲次【141】(札幌紀行〜日本人口学会第51回大会にて(1999年6月7日) ) ●枕草子トップへ