社会と文化 (society and culture)

このページはまだ作成途中です。This page is mostly under construction.
Sorry, this page is mostly written in Japanese.


人類が環境の中でどのように生存してきたかを考える上で,ヒトと環境を媒介する文化と社会組織の問題は避けて通ることができない。その意味で,社会学と文化人類学も,人類生態学が立脚する学問の中で重要な位置を占める。認識を考えれば言語学も無視できないのだが,ここでは触れないことにする。

なお,社会と文化といえば,一般には文系の学問の対象とされる。しかし,理系|文系という区分は,本質的な意味をもつものではない。ScienceとArtはギリシャ・ローマ時代は不可分であった。中世に創設された初期の大学においても,7科目のLiberal Artは,文法学,修辞学,論理学,算術,幾何学,音楽,天文学からなっていた。つまり現在では理系の学問とされるものと文系の学問とされるものが混じり合っており,どちらもArtだった。当時のArtとは,自然や本能から引き出されるものではなく,人間の知性が作り出すなにものかを意味したようである。Scienceも同じ意味であった。しかし18世紀から19世紀にかけてScienceとArtの分離がおこり,Scienceが知識をあらわし,Artが知識の応用をあらわすようになった。Knuth (1991)は,「サイエンスとは,私たちがきわめてよく理解し,したがってコンピュータに教え込むことのできるような知識のことである。もし私たちが何かを完全に理解したとはいえない場合には,その何かはアートの範疇に入る」と述べているが,科学哲学者ポパーのいう意味(反証可能性の大きい科学的仮説ほど経験的価値が高いことと,仮説が反証されるまではその仮説をとりあえず受け入れておくという意味でのサイエンスの体系)でサイエンスを捉えれば,なんのことはない,すべてのサイエンスがアートであることになる。いずれにせよ,人類の知性の所産である。

1. 社会学概説

(未完)

2. 文化人類学概説

(未完)

推薦文献

  1. 富永健一(1995)「社会学講義:人と社会の学」(中公新書1242): 非常に広い見方をしている社会学の入門書。初めて社会学を学ぼうとする人に読むのに向いていると思う。
  2. パーソンズ,T.「社会構造とパーソナリティ」: 生態人類学のサーヴィスとサーリンズとかを理解するためには,パーソンズの社会学は押さえておかねばなるまい。余談だが,ぼくは科学における経験的価値は大いに尊ぶので,社会学もパーソンズのようなアプローチなら科学であると思う。
  3. 綾部恒雄[編]「文化人類学15の理論」(中公新書): 文化人類学という学問分野を大掴みしたいときにはそこそこ役に立つ。
  4. KEESING, Roger M. (1981) Cultural Anthropology: A Contemporary Perspective, 2nd Ed., Harcourt Brace Jovanovich College Publishers, Fort Worth: 日本では文化人類学というとレヴィ=ストロースという誤解をしている人がいるが,それは文化人類学を学ぼうとする人にとって大きな妨げになっていると思う。レヴィ=ストロースは構造主義人類学を興しただけで,しかもあの「構造人類学」という本は恐ろしく難解だからである。このKeesingの教科書を読むと,目からウロコが何枚も落ちることは請け合いである。社会学とも政治学とも重ならないような人類学独自のものを描き出すという目的で,対象を"primitive"な社会の研究に絞っており,網羅的な本ではない。その意味で民族誌研究的な色彩が強くなっているが,その分,わかりやすい。なお,著者Keesingはオーストラリア国立大学に所属し,彼のフィールドはオセアニアである。


研究と教育のページに戻る
Back to Research and Education

(C) Minato Nakazawa, 1998. このページの最終更新は, に行われました。
このテキストを著作権者の許可なく転載することを禁じます(出典を明記した引用は可)。ご意見、ご質問は、著者まで電子メールでお願いします。