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個別メモ
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【第246回】 オセアニア学会から帰還(2005年3月22日)
- 伊達紋別駅から会場までは徒歩15分という話だったので歩いてみたら30分はかかった。ともかく10:00から新評議員会で理事を決め(再び情報化担当理事を仰せつかった),11:00から新旧理事会をして,プレゼンファイルを入れたUSBメモリを発表受付に渡しに行って来て再び会議室に戻り,12:00から新旧評議員会を弁当を食べつつ行い,13:10から自分の研究発表,というスケジュールはきつかった。
- マラリア耐性変異の1つであるovalocytosisの話と魚毒漁の話は専門分野が近いのでもちろん面白かったが,まったく専門分野の違う発表が「オセアニアを対象地域にしている」という1点だけでつながって混在しているのが,この学会のいいところで(まあ,欠点もなきにしもあらずだが),ツバルの造られた州島の話とか,PNGのビルムのデザインとそれを編む技術の話とか,ツツバ語の所有の表し方とモノの位置づけの話とか,興味を引かれる発表がいくつもあって,いくつかフロアから質問をしてしまった。今回は演題数が多かったので時間的に非常にタイトだったのが,ちょっと辛かったかなあと思う。これは例えばclosedな(学会発表のネタは投稿前の場合が多いので,openでやるのは難しかろう)blogでも立てて1演題1エントリで並べてフォローアップディスカッションできるようにするとかしたらいいかもしれない。検討してみるか?
- 夜は合宿形式で同じ宿に泊まって温泉で疲れを癒しつつ,懇親会からエンドレスディスカッションへとなだれ込むのが,この学会の通例なのだが,今年の宿は洞爺湖畔の巨大なホテルで,宇宙一大浴場なるものがあった。何をもって宇宙一とするのか不明だが,確かにかなり大きなウォータースライダーを備えた大きな温水プールが併設されていて,大きいことは大きかった。もっとも,温水プール以外の部分の規模は,須坂の湯っ蔵んどと似たようなもので,それほど巨大というわけではなかったが。きっと,宇宙一というのは固有名詞なのだろう。結局夜と早朝の2回,温泉に入ったが,子供と若者が多くて騒いでいるのにはちょっとまいったものの,なかなかいい湯だった。
- 2日目朝の総会は,前日の理事会や評議員会で心配されたような問題は指摘されず,無事に終わってくれたのでほっとした。その後の演題発表もほぼ予定通りに終わり,バスで伊達紋別駅に着いたのは13:30よりちょっと前だった。特急スーパー北斗9号は13:59発だったので,駅前にラーメン屋でもないかなあと探したら,ちょうどお誂え向きの店があったので,味噌ラーメンを頼んだ。550円にしては質も量も満点であり,駅に戻ったのが13:50頃で,この選択は正解だった。新千歳空港に着くと,ぼくが乗る予定の前後のJAL東京行きは遅れていたのだが,ぼくが乗った便だけは定刻に出て,ほぼ定刻に羽田に着いた。今回,交通運に非常に恵まれていたといえよう。機内では,いつも持ち歩いているゼンハイザーPX250にアダプタをつけて機内放送のソケットに差込み,8チャンネルのJ-Popで
柴崎柴咲コウのGlitterとか大塚愛の黒毛和牛なんたらとかを聞きながら,このところ読んでいた遠藤秀紀『パンダの死体はよみがえる』ちくま新書,ISBN 4-480-06220-3(Amazon | bk1)を漸く読了。解剖学者(本書の表現を借りれば「遺体科学者」か)はアーティストでありロマンティストが多いように思う。詩的な表現に唸ることもしばしばだったし,「トリビアの泉」的な面白さもあったし,もちろん解剖学者が遺体に向かうときの緊迫感,その営為の生々しさもあった好著だったと思う。細かくコメントしたいところも何箇所かあり,誤植もみつけたので(例えばp.190,2行目の「大体」は「大腿」の誤植に違いない,とか),暇があったらあとで書評を書いてみたい。
- それにしても,Glitterと,SisterQのNight and Day(元々がCole Porter作曲のJazzの名曲であるわけだが,SisterQ版のアレンジは,これまで聞いてきたNight and Dayとはまるで別の曲みたいな印象を受けた……といっても,最初に聞いたのが橋本一子版だったので,そのイメージで固定しているぼくの頭の方が偏っているのかもしれないが,ここまでポップなのは,やはり斬新と言わざるを得まい)は,「家族の晩餐」というテレビドラマの主題歌だった白雪姫BANDの「ねこ噛んじゃった」と(全然違う曲であるにもかかわらず)凄く似通ったイメージを想起させる曲だ。なぜだろう。それ自体は,まあどうでもいいことだけれども,音楽がイメージに与える影響のメカニズムはどれくらいわかっているんだろう? と考えると面白い。探せば新書くらいありそうだけどな。
- 今回のオセアニア学会関係の書類を整理するためにクリアファイルが欲しかったので浜松町駅にある本屋「談」に入ってそれを購入し,ついでに,森山さんの日記の上に並んでいるのを見て気になっていた,吉岡平「金星のZ旗」「にんげん はじめました」(ソノラマ文庫)と,ついでに店頭をブラウズして見つけた,上田篤氏(「日本都市論」は衝撃だった)のインタビュー本『神なき国ニッポン』(新潮社)と高野秀行氏のアマゾン探検本『巨流アマゾンを遡れ』(集英社文庫),計4冊を買った。復路あさま577号で吉岡本2冊は読了。「にんげん……」の方はSFファンタジーホラーかな。異界侵略モノとも言えるけれども,最初の敵がザコで,だんだんレベルアップしていくとともに強敵が出現するというのが,実にRPG的で,それにまた著者が十分に自覚的なのがプロだなと。「金星のZ旗」はエドガー・ライス・バロウズの金星シリーズへのオマージュらしいが,確か小学校6年のときに,新潮文庫のシャーロック・ホームズシリーズ全部とかアルセーヌ・ルパンシリーズと一緒に,創元推理文庫にもリュパンの新潮文庫には無い作品があるのを見つけて買い漁り,ついでにバロウズの火星,金星,地底シリーズを買い漁って貪るように読んだのが,本買い生活の始まりだったような気もするのでとても懐かしかった。逆に言えば,かつてバロウズを読んだ大人に向けて書かれた本だとも。なお,あさま577号は臨時列車だけあってガラ空きだったのが良かった。それにしても疲れ果てた。
- メールの返事を出す間もなく,火曜は6:30起床,食事と食器洗いをして7:30出発。往路あさま504号。子供は春休みだけれども,新幹線も上越線も,まあ普段どおりの混み具合だから,世間一般には日常なのだな。
- 駐輪場に次年度年間契約に空きがあるという張り紙があったので契約し,明るい気持ちで研究室に向かったのだが,こういうときにこそ落とし穴が待っているのが世の常である(というか,ぼくが間抜けなだけだが)。ふと気がついてみると,研究室へのお土産に買った,六花亭のお菓子(フリーズドライのイチゴをホワイトチョコでコーティングしたものと普通のチョコでコーティングしたもの各1箱をポリ袋に包んだもの)と,北海道限定のFRISKガムボトルを入れた紙袋がないのだった。どこに置き忘れたんだろう? もう県庁も過ぎてしまっているし,とりあえず研究室に行ってから,電話してみよう。で,駐輪場事務所の電話番号がGoogleで検索したらわかったので電話で尋ねてみると,確かにあるということで一件落着した。今日はどうせ午後,某審査会で県庁までいかねばならないので,ついでに行けばちょうどいい。
- それにしても今日の前橋の花粉は凄い量だと感じる。マスクをしているんだが,目と鼻がぐしゃぐしゃである。さっきの忘れ物もこのせいだな,きっと。
- 書き忘れていたが,オセアニア学会初日,旭川から学部学生時代のクラスメートN氏が顔を見に,と来てくれたのだけれども,忙しくて話をする暇もなかったのが残念だったし,申し訳なかった。旭川から伊達って相当な距離だよな。
- 昼過ぎに研究室を出た。まずは新前橋駅の駐輪場で忘れ物を受け取って,県庁に向かう途中,非常に立派な店構えなのでこれまで見逃していたが,フジモト時計店(参照情報)という時計店があるのを見つけて入ってみた。タグホイヤーとかロンジンとか,ぼくのROOXとは値段が一桁違う高級品しか扱っていないようなので気が引けたが,尋ねてみたら修理してもらえた。さすがは専門店である。しかも,待っている間にコーヒーまでいただいてしまったし,修理料金は315円だったし,申し訳ないくらいだ。ありがとうございました>フジモト時計店の皆様。
- その足で県庁に向かって某審査会。途中パン屋で調理パンを3個買って,県庁22階の休憩コーナーで昼食。食べながら,高野秀行のアマゾン本を読む。面白そうな予感。審査会そのものはとくに大きな問題はなくサクサクと約1時間で終了し,研究室に戻ってきた。
- と,電話が。東大人類生態のO先輩からで,人口学会で発表を代読して欲しいという要請であった。自分の発表時間と近い別のセッションだし,移動はあんまりわからないので,他の人はいないんですかと聞いてみたが,いないらしい。人口学会に行けない理由というのが,同じ人類生態のD先輩の結婚式への出席だというので,それなら仕方ないとお引き受けすることに。しかし,これで自分の発表時間に遅れたりしたら,悲惨というか,間抜けというか。せめてまったく別の時間帯なら良かったんだが。本当はそれ以上に問題なのが,要旨を4月8日必着で送らなくてはいけないということと,今回の発表ネタを出してしまうのならば,以前発表した基礎データの方は一刻も早く論文にしてしまわなくてはいけないということで,そういう時間をどうやって捻出したらいいのかが問題だ。
- 4月の選択基礎医学実習の打ち合わせ少々。それにしても12人は多い。
- あっという間に日が暮れて,パジャジャラン交流関係のパーティが近づいているようだ。研究が何もできなかった一日であったような気がしてならないが,まあ仕方ないか。パーティは楽しかった。いい交流ができているという印象を受けた。
- 20:40頃研究室を出たので微妙なところだったが,新前橋21:05発上野行きにはタッチの差で乗れず,結局21:23発高崎行きに乗ると当然のように21:32発あさま563号には30秒くらい間に合わず,あさま571号から軽井沢で5号に乗り継ぎという,最近よくあるパタンになってしまった。
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