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個別メモ
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【第733回】 安全・安心?(2007年2月10日)
- 7:30起床。体育館の都合で,久々に少年野球の練習がない。代わりに明日と明後日にあるのだが,この週末,娘は子供原始村の合宿(?)に行ってしまったので,娘が休むという連絡をしなくては。
- 幾霜さんの意見は,もっともだけれども,そこまで覚悟を決めた批判は大勢でないと思う。マクロな話として,今の日本は人口過多だから,多少減っても問題が起こらないように年金制度や開発投資をうまくバランスさせるべきというのは,個人的には同感だが(赤川学さんの『子供が減って何が悪いか!』の書評でも書いた),急激な人口減少フェーズは集団として「健全」でないのも明らか(集団生物学的な意味で不安定な可能性が高いから)。それに,減少してもいいという方向に舵取りをするのは,現在の少子化対策政策を根本的に転換することだから,厚生労働大臣が,そういう大転換があったわけでもないのに,現行の政策と真っ向から反対する発言をすることこそありえない。
- 先の機械比喩は機械という言葉自体よりも(まあ問題ないとは言わないがそんなことは本質じゃなくて),少子化対策を個人の責任に投げたところが本質的にアウトだった。今回はそこを反省して行政の責任を言うという文脈だったのだから,マクロな話に決まっている。せっかく擦り寄ってきたんだから主旨を評価して褒め殺せばいいのに,今度はミクロな話として裏を読んで突っ込みを入れるのは,やはり的外れというか,言いがかりに近い(前にも書いたが,野党とかは戦術としてやっているんだろうけれど)。昨年末に出た人口中位推計で,2055年には人口8993万人,老年人口割合40.5%だったけれども,9月に出た調査結果では平均希望子供数は2を超えていたという事実があって(つまり「健全」は現状肯定の言葉であって,もっと産もうと思えとかいう話ではない点も重要),厚生労働省としても希望と現実のギャップを埋めるための行政の責任を考えて希望を反映した仮定人口試算を出したりしているのが,現在のこの国の少子化対策の現状なわけで,「健全」を批判するなら,そこまで含めて否定するだけの覚悟が必要だろう。
- 超高齢化社会はきわめて死亡率が低い社会なんだから,それこそが近代が目指してきた着地点なんだと割り切ればいいし,ぼくは同意するけれども(ただ,変化が急すぎると思うが),現状そこまで言い切っている人は少数派で,多くの人は漠然と超高齢化社会は不健全だと思っているんじゃないだろうか。そうでありながら,マクロにみて平均希望子供数が2を超えているのが健全という価値観を批判してしまっては自己矛盾している。
- 浅川ダムについて,国土交通大臣や県知事が流域住民の安全・安心をいうのは片腹痛い。流域住民のことなんか考えてもいないくせに。誰もダムで安全になるなんて思っていないし,安心もしないって。赤旗の記事は概ね正確な現状把握だと思う。他のところは知らないが,浅川ダムは危険を増やすだけだし,せっかく魚影が濃くなってきたのに,ダム工事なんて始めたら水が汚れてまたダメな川になってしまいそうだ。厳密に論証している暇はないが,いろいろな人の面子が立つことと,北陸新幹線ができる方向に進みそうなことと(それも含めて国交省との関係が改善すること),工事にかかわる事業費で潤う人がいること以外にメリットはないので,安全・安心とは何の関係もない意思決定なんだから,そういう建前は言って欲しくない。
- もう少し続ける。知事会見での治水対策会議代表の山岸堅磐さんへの返答は,全然返答になっていない。地滑りについて安全だというならデータを出してリスク評価の説明をして見せてほしい。土木部長答弁の「穴あきのダムの場合には、常時貯留していなくて洪水時のみ若干ある程度の時間ですので、それが本当に土の中に浸透していって、すべりを誘発するような恐れは従来ほどは無いんじゃないか」のいう「従来」は穴あきじゃないダムの話なので,ダム無しとの比較ではないから論点がずれている。ダム無しに比べて,たとえ穴あきでもダムを作ったら地滑りの危険が増すという指摘に対して,穴あきじゃないダムより危険が少ないと返答されても意味がない。説明の順序も,ダムを作って欲しい治水連絡協議会(仮にメンバーの区長の中に,本音ではこの計画に疑問をもっている人がいても,和をもって尊しとなす社会だから,反対なんかするはずがない)に1番に行き,次が新幹線対策委員会で,住民への説明はその後というのが,県や市当局がどっちを向いているのかをはっきり示している。朝日新聞の浜田陽太郎記者,いい突込みだ。知事の返答は,450トンに何の科学的根拠もないことを明言したといっていい。宮原國治さんの突っ込みも鋭い。知事の返答は,ダムに普段は水が溜まらないからOKって,ダムという構造物の重さを考えてない素人返答で,もう笑うしかない。国土交通省と土木研究所の吟味って,本当に吟味したならリスク評価した結果を公開してほしい。
- 流域住民として素直に考えると,ありうる最高レベルの大雨が降っても到達する可能性が極めて低い450トンを溜められる治水なんていらないし,ダムを作ったことで少しでも地滑りリスクが増えるなら嫌だし,ダムなんかに使う金があるなら排水ポンプの整備を含む内水災害対策を先にやってくれと思う。この会見での中沢勇さんや内山卓郎さんの意見もそういうことだと思う。知事はそれにまったく答えていない。450トンの根拠を説明せよという内山さんの発言に対して,
それだけの流量がないということをおっしゃいましたけれども、それがあるかないかってのは率直に申しまして分からないんですね。ただ、この浅川ダムというものを造るという計画を含むこの河川整備計画、これを作るときの大前提として450トン、100分の1というものがあった。
そこでは今のダムのポイントで、毎秒100トン程度のものを抑えなければならない、そういう割り当てといいますかね、そういう役割分担になっていたということでありまして、そこで実際に雨が降って貯まるか貯まらないかって話になりますと、これはその前提がどうであったか、そういう仮定の置き方がどうであったかという話になる訳です。
私はその点につきましては、もし水が貯まらないってことだったらですね、それはそれで、それだけの話ではないかというふうに思います。
という答弁はあまりにもひどい開き直りだ。最後の方で,信濃毎日新聞・増田正昭記者の質問に対して「だから浅川については、450トン、100分の1ってのは、私は所与のものとしてやらざるを得ないいろいろな過去の経過があったということを申し上げている。」ってのが,たぶん本音なんだろうな。でも,総合判断というところで論理のすり替えをしている。これがこの国の普通の政治的判断というものなんだろうけれども,それでは住民は幸せにならないと思う。
- こんなところに書いてないで,流域住民として,県に情報公開請求でもすべきか。
- 昼飯にハンバーグを作ると妻が言うので,パンをちぎって手製のパン粉を作った。いただきものの手作りケチャップをかけるとハンバーグは美味で食が進む。
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