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個別メモ

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【第808回】 いろいろ(2007年5月23日)

5:30起床。部屋の片付けを少しやってから朝食。朝練は6:30から。娘はバッティングの調子がいま一つ。

往路あさま510号。切符購入を頼まれたのだが,時間がなかったので帰りがけに買うことにしよう。

査読依頼ってのは,来ないときは全然来ないが,来るときは集中するようだ。昨日,某国内誌から査読するかしないか早く返事するようにという催促が来たので悩んでいると返事した直後に,某国際誌から,以前査読した論文が再投稿されてきたから査読するようにというメールが届いた。道義上査読するしかなかろうと思って,引き受けるというところをクリックしたら,読んだ覚えのない文書だった。うーむ,まあ短いからいいか。一応エディタにメールで問い合わせてみたが。(追記:夕方,返事が来て,そのままレビューしてくれとのことだった)

/.Jの「ニンテンドーDSを用いた授業でめざましい効果」というスレッドだが,記憶や知識の整理,あるいは単なるトレーニングが中心となるような授業内容であれば,ゲームが有効に機能することは不思議ではない。久保田競『バカはなおせる』アスキーにも書かれている通り,ワーキングメモリーを能動的に鍛えるには,ただ黒板を眺めているとか,機械的に黒板を書き写すだけ(そういう生徒・学生が多いような気がしてならない)よりは,考えながら手を動かす方が効果が大きいのは明らかだろう。もっとも,授業を聞きながら自分でノートをまとめていくのと(自分がやっていたように自己流でもいいのだが,例えば,天羽さんのブログ記事で取り上げられているコーネル大学式のようにする手もある),どちらが効果的かはわからない。ていうか,たぶん自分でノートをまとめる方が効果的という気がするが,その方法の致命的な弱点は,モティベーションがない子供にモティベーションをもたせることには全く寄与しないということだ。ゲームを使えば,やる気がない子にモティベーションをもたせることができる(かもしれない)。きっと平均点は上がるだろう。

関連して,『ゲーム脳の恐怖』は論外だったが,先日購入した生田哲『インフォドラッグ』PHP新書ISBN 978-4-569-69037-7(Amazon | bk1 | e-hon)も,いろいろ書きすぎな点があり,そのまま受け入れるにはかなり眉唾な本だと思う。宗田理『ぼくらのグリム・ファイル』とか川又千秋『幻詩狩り』に出てくるような,知るだけで危険な文字列が本当にあったという話なら面白かったのだが,そうではなくて,ありがちな,科学の顔をした《反ゲーム》プロパガンダ本だった。例えば,著者は欧米で暴力犯罪が増えているという統計をゲームのせいにしているが,911以降の米国が対テロという大義名分を掲げ,真実がどうであるかによらず武力行使という暴力で問題解決を図ってきた世界の状況の影響でないとどうして言えるのか? また,ゲームをすると前頭葉が発達しないと著者は主張するが,これには根拠がない。マシュー教授のfNMRによる研究は,ある暴力ゲームとある非暴力ゲームをやった被験者の間で,暴力ゲームをやった方が前頭葉が働いていなかったというだけのものであり,それが暴力/非暴力の差なのか,ゲーム自体の特性の差なのかもわからないし,ゲーム一般に前頭葉が働かなくなるということではない(むしろ,マシュー教授のデザインは,「ゲーム」とひとくくりにして影響を論ずることの愚かさを示すものだと思う。情報の本質はメディアにあるのではなく,当然,そのコンテンツにある)。また,コップ博士らのNatureの論文で「ゲームによる脳内でのドーパミンの放出は,アンフェタミンやメチルフェニデートを静脈注射したときに匹敵する」と書かれている(注:原著未確認だが,著者はそう紹介している)からと言って,『コップ博士らの研究結果を言い換えるとこうなる。成長段階にある子どもの脳にとって,テレビゲームをすることは,覚醒剤を静脈注射するのに似た行為である』と書いてしまうナイーブさは科学者とは思えない。ただ,ゲームが依存を起こしやすく作られているという点や,ドーパミンが放出されるという点はある程度当たっているだろう。読者が知っておかねばならないのは,ドーパミンが放出されること自体は悪いことではない(参考:東京都老人総合研究所・青崎敏彦室長による解説記事「脳内物質ドーパミンのはたらき」)ということだ。覚醒剤などは放出を促すと同時に再取り込みをブロックすることによってA10ニューロン付近にドーパミン過剰状態を持続的に引き起こすために,異常な興奮状態になったり幻覚をみたりするわけで,ゲームをしたときでは再取り込みがブロックされるメカニズムは考えにくいので幻覚を見たりはしないのだと思われ,「似た行為」とは到底言えまい。

ぼくは自分の子供にゲーム機を与えていないが,それは質の悪いテレビ画面を注視することで目が悪くなるのが嫌なのと,同じことばかり長時間やっているのは良くないと思うのと,ゲーム以外の面白いこと(昆虫採集とか野球とか魚釣りとか山登りとか読書とか料理とか庭木の手入れとか星を見るとか氷柱アタックとか……)をいろいろ経験して欲しいからで,ゲーム自体が脳に悪いとは思わない。テレビをぼーっと見ているよりはゲームをする方がずっとマシだと思う。

いつの間にか全学メールアカウントが使えるようになっていた。使い分けを考えるといいかもしれない。

学務課からの仕事のメールの添付ファイルがwinmail.datだったので,Winmailオープナーをインストールする必要があった。このMS独自仕様をこれまで知らずに済んできたのは,運が良かったということか。

博士課程の講義概要の英文訳を作っていて,気づいたら20:30だったので帰途についた。復路あさま549号。長野駅に着いたら頼まれた切符を買ってから帰る予定。

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