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個別メモ
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【第1153回】 ポスター掲示とか口演を聞いたりとか(2008年9月30日)
- 9月26日金曜,最終の新幹線で金曜深夜に家に辿りついた。翌27日には早朝から少年野球の大会の続きがあって,準々決勝から始まったのだが,残念ながらここで1-0で敗退してしまった。その後練習試合をして解散となった。日曜は別の大会があって,Aチームは3試合を戦って優勝,Bチームは4位と健闘した。夜になって家を出ようとしたら事故で新幹線のダイヤが乱れているというので心配したが,無事に21:00発あさま552号に乗れて,前橋からバスで大学に着けた。しかしほとんど眠っていたので途中の記憶はない。
- 3:00頃,予定通りEkaさんが来たので日本中央タクシーを呼んで前橋駅南口に行き,アザレア号に乗って成田空港第1ターミナルに向かった。ここも途中はほとんど眠っていたので記憶がない。今回はBestという日本旅行のパックツアーで,Tully'sコーヒーで朝食をとってツアーデスクに行って燃油サーチャージを払い,ボーディングパス(普通は航空会社のチェックインカウンターでチケットと引き換えに貰うわけだが,このツアーは団体旅行扱いであるためか,それは日本旅行がやってくれていた)を受け取り,出国手続きを済ませてから改造社書店という本屋で4冊の文庫本(『千里眼 優しい悪魔(上下)』『フライング・ラビッツ:新世紀ステュワーデス物語』『ダライ・ラマ自伝』)を買い,暫く待ってからボーディングまでずっと順調だった。機内では古い機体で映画も音楽も無かったので読書をしたり眠ったり。済州島には2時間半ほどで到着し,時差もないので楽だった。さすが観光地だ。入国審査も拍子抜けするほど何もなく済んで,自動ドアを出たらBestの案内の方(韓国人だが流暢な日本語を話す)が待っていて,ATMでウォンを引き出してから送迎バスに乗り込んで出発となった。パックツアーなので土産物屋に寄る義務が鬱陶しいが,1時間半も土産物屋で時間はつぶせないので,喫茶店に入って読書して時間をつぶした。土産物屋の周りの街中では観光する場所もあまりなさそうだったので賢明な選択だったと思う。
- ホテルは空港からのリムジンバスの終点にあり,きれいで大きかった。チェックインしてシャワーを浴び,17:00過ぎに空港行きのリムジンバスに乗って町に出た。ICC (International Convention Center)までは約40分だったと思うが,運転手の運転が荒いので生きた気がしなかった。しかし,ICCに着いてからは,既にオンラインで登録はしてあるのでレセプションも問題なく済み,オープニングセレモニーを見て癒された後,歓迎の言葉を聞いてからウェルカムパーティで飲み食いした。最後まで一番大量に残っていたのは,どういうわけか太巻きだった。うまいのに。
- 4:30に目が覚めてしまったが二度寝して6:00起床。6:30前に出発して7:10頃ICCに着いて喫茶店でモーニングセットを食べ(約300円で,そこそこ美味いサンドイッチとコーヒーが出るので割安感が高かった),無線LANが無料で使えることを発見してネット接続してみたら大量のメールが来ていて処理に手間取った(というか返事は書ききれなかった)。ちょっとだけwebを見て目に付いたのだが,三中さんがWZ Editorのver.6を購入されたそうだ。ぼくは重くなるのが嫌でver.5にもしないで,未だにver.4を使い続けているので,当然ver.6にするつもりもない。WZ Editorはver.4で完成されていたと思う。
- メール送受信をしている間にエカさんがポスターを貼ってくれて,コーヒーも飲み終わったので暫くポスターを眺めまわっていたら8:55になり,9:00からWHOのDr. Nakataniによる特別講演を聴いてみた。14種類のNeglected Tropical Diseasesをどうやって克服するかという話で,個々の病気は患者数も死者数もそれほど多くないので大規模な対策がとれないが,まとめて考えれば有効な対策が取れるのではないかというのが主旨だったように思う。Social Equityというスライドで,Equal access to facilityとか,主に機会平等の話をしていたが,Senの意味でのequityはそれだけではないということが頭をよぎった。まあわかっているんだろうけど。最後に強調していたのは製薬会社のスポンサーシップの必要性と,活動がエビデンスベーストであるための研究の必要性であった。スポンサーシップのニーズについては,当然といえば当然のことではあるが,表現があまりにもあからさまなので驚いた。質疑応答で,マラリア年間死者数が90万人くらいとなっていたが,普通100万人以上という推計が多いのではないかという中国の女性研究者からの質問に対して,2008年のWHOのデータでこれが最新であり,アジアの死者が激減したのが原因であろうという返事が興味深かった。
- コーヒーブレイク中,いろいろな人と喋っていたら,あっという間に時間が過ぎて最初のシンポジウムの時間になった。最初の演者はDr. Ayalaで,テーマはマラリア原虫の進化であった。結論は,すべての熱帯熱原虫のオリジンはP. reichenowiというチンパンジーに感染する原虫から最近1万年以内にsingle host transferしたものだという話だった。質疑は次演者からで,P. vivaxのサンプルはどこのを使ったのかというものだった。違うソースのサンプルであればstrainが違うんじゃないかという主旨で,CDCのだということだった。次の質問は94頭のチンパンジーを調べて見つかったのはP. reichenowiだけだったのかというもので,答えは共同研究者が顕微鏡を見たのでわからないということだった。次は熱帯熱原虫の薬剤耐性遺伝子の進化についてのGenetic Mappingというテーマで,やり方としては家系ベース(Genetic crosses)とAssociation studiesがあるが,前者はヒトの場合は普通だが金がかかるのが欠点なので,原虫には後者を使うようだ。次演者は長崎大学にタイからきた留学生で,熱帯熱原虫のadhesinの候補としてSURFIN4.2という分子を分析したという話だった。
- 昼は参加者にはフリーのランチ(とはいえ,3000ウォンの朝食と殆ど同じものだったので足りなかったが)が出たので,それを食べながらポスターの前に立っていたが,ほとんど質問も受けなかったしコメントも知り合いからしか貰えなかったのは残念だった。やはりテーマが主流じゃない上にやったことがわかりにくいからだろう。でも,エカさんは大勢の人から質問を受けたそうなので来た甲斐はあったといえるだろう。
- 午後の1つめは世界のマラリアの現在の状況についての特別講演だったが,フランス人の英語が聞き取りにくいのと,内容があまり新鮮でなかったので眠かった。
- 午後の2つめは住血吸虫のコントロールにおけるGISの活用のシンポを聞きに行った。最初の演題はオーガナイザーであるスイスの研究者によるもので,住血吸虫をコントロールする際に生じる問題をまとめて紹介するという感じのものだった。コントロールのアプローチとしては貝のコントロールや投薬や衛生管理や健康教育などがあるということと,ステップとしては有病者を減らし,感染する人を減らし,伝播を減らすという順に進むとのこと。日本,プエルトリコ,イランとモーリシャスなどでは消滅したという成功例がある。問題は金が足りないことと,新薬開発が30年も止まっている(インセンティブがない)など。2人目はDr. Zhouによる住血吸虫の空間疫学というテーマで,時空間多様性のため,データ収集をいろいろな水準でする必要があることから,ベイズ流の空間モデルを作る話だったが,手順の詳細には触れられなかった。地図はきれいだったのでpoliticalなというかpublic health的な意味は大きいと思うが,forecast indexの妥当性は良く分からなかった。牛が大量の糞とともに大量の虫卵を出すのでコントロールが難しいというのが結論では,GISなど使わなくてもわかりそうなもので,ちょっと拍子抜けした。次の口演者も中国における日本住血吸虫が気候変化に伴ってどうなるかという予測をGISを使ってモデリングしたという話らしいがモデリングのディテールが発表されなかったのが残念だった。二瓶先生の話は日本では住血を根絶したけれども貝がいて再燃の危険があるのでモニタリングシステムを確立したというものだったようだ。
- コーヒーブレイクの後,韓国健康増進会?(KAHP)のシンポジウムの最初2題を聞いたが,収穫は韓国のメタボリックシンドロームの基準が米国と同じく男性の腹囲の方が女性より大きいことがわかったくらいか。次いで抗マラリア薬のシンポジウムに移った。ASAQの話は今一つだったが,最後のアヴァンティスの新薬開発の話は面白かった。
- ソロモン諸島調査日記を打つ暇がないのだが,ここまでのメモをとりあえずアップロードしよう。オセアニア学会と数理生物学会のweb仕事もあるんだが,明日以降だな。
- 帰りに,日韓(こちらの人は韓日というが)共同開催のワールドカップのときに作られたスタジアムの隣のスーパーマーケットみたいなところのファミレスらしき場所(ちょうどイトーヨーカドーの地下の食事処のような)で晩飯を食べた。ヒレカツ定食もビビンバも安くて美味だった。ついでなのでスーパーマーケットの中でお土産を買ったりしてからホテルに戻った。
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