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個別メモ
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【第1528回】 採点続きとか(2010年2月10日)
- 5:40起床。低く雲が垂れこめているが,雨も雪も降ってないので自転車で長野駅に出て,往路あさま510号。
- 昨晩セキュリティホールmemoで知った読売の記事と,今朝の信濃毎日新聞の記事では,同じ門脇グループの厚労省研究班報告を元にしていても正反対のポイントを強調する記事になっているのに驚いた。読売は元になった9学会合同の研究のサンプルサイズが小さかったことも踏まえて男性の腹囲85cmという線引きに明確な科学的根拠がないことを強調する記事であったのに対し,信毎は女性の90cmが過大で線引きを80cmにすべきと強調する記事であった。矛盾しているわけではないから,本当に元の報告でも両方書かれているのかもしれないが,フォーカスするポイントによってまったく違う印象になるこの事例は,メディアリテラシーのトレーニングにいいかもしれない。もしwebで公開されているなら,新聞記事の中に,元の報告へのURLでも載せておいてくれると助かったんだが,元の報告を探して読んでみないと。この種の科学記事は,参照元情報と,匿名でない専門家(できれば特定健診や特定保健指導の現場を良く知っている臨床家と,公衆衛生の立場での疫学者を含む2人以上から)のコメントを付して,もっと長い記事にしてほしいところで,一面の囲み記事で数字を入れた見出しで目を引くという扱い方は良くないと思う。
- それでも,あるテーマについて異なる視点を出してくれるのは(もちろん,嘘とか誤解でなければ,だが),個人的には歓迎する。昨今の社会・政治の問題についてとくにそうだが,マスメディアには右へ倣えの情報が多くて,情報としての意味がないと思っていた。いっそ敢えて大勢とは異なる意見や角度からの報道だけをしてくれるメディアがあったら見るのに,とも思っていた。『インフルエンザ21世紀』の中で,専門家の間での意見対立を見せるのは一般の人たちからの信頼を失うのでまずいという主張が紹介されていたと記憶しているが,ぼくはむしろ,データとともに提示された意見対立を,冷静に比較評価できるだけのリテラシーをすべての一般市民が身につけるべきだと考えるので,根拠とともに示されるのが条件だが,専門家間の意見対立は積極的に見せるべきと思う。『インフルエンザ21世紀』でも「終わらない対話」フェーズとして,このレベルの議論の必要性も書かれていたが,フェーズ1での意見対立は一般市民に見せるべきでないとも書かれていたように記憶している。ぼくは,そこさえ読み解けるだけの力を,すべての一般市民が身につけるべきと思っている。もしそういう成熟した市民社会が実現できたら,MAM-CAの結果が最適解になることが担保されるのではないだろうか。まだちょっと夢物語だが。
- いつの間にか軽井沢を過ぎている。今日は統計演習の採点を終わらせ,新年度の講義の調整について必要なメールも出してしまいたい。
- 地域保健実習でも多くの学生が行かせていただいている加計呂麻島で,住民合意のない森林伐採計画が進行中であることを教えていただいた。地元メディアの紙面には載っているようだが(携帯サイト上の記事),ネット上ではいくつかのblog記事([1],[2],[3],[4],[5],[6])くらいしか情報が見当たらない。これらを読む限りでは,事業者の住民への説明は不十分だし,開発計画としての合理性にも疑問が残る。これこそMAM-CAの出番だと思う。青空MLにも投げてみよう。
- 大量のWindows Updateがあって,1時間ほどその作業にかかってしまった。相変わらず再起動しなくてはいけないのが何だかなあ。
- 昼過ぎに選択基礎医学実習のHIV/AIDSモデル班の進行チェックとsupervision。順調といえよう。しかしプレゼン作りなど考えると,明後日の発表会に間に合わせるのは時間との戦いだなあ。
- Show's Hot Cornerで紹介されているまつもとゆきひろさんのインタビュー(pdf)。共感する点が多い。自分の場合PerlとRで大抵の用は足りるので,この上にRubyを覚えようとはあまり思わないが,Rubyが日本発のオープンソースソフトのもっとも有名な成功例となりえた理由は何となくわかる。
- 地球環境学事典の人口転換の初校が届いた。締め切りがソロモン諸島調査中なので,今週中にやってから行くのが理想なのだが,間に合わなかったらソロモンに持っていくことになるのだろうな。それは避けたいが。
- 選択基礎医学実習の栄養疫学のsupervisionが夕方からあったのと(こちらはあまりにも大量の解析結果があるので,モデル班以上に時間との戦いになるだろう),ソロモン調査関係の調整を含むメールとか電話とかもあったのだが,それ以外は基本的にずっと統計演習の評価関係のことをし続けて,21:00頃,漸くゴールが見えてきた。しかし新年度講義調整までは行き着かなかった。明日,どうせ選択基礎医学実習のsupervisionのため出勤するので,その空き時間でやろうと思う。
- 復路あさま553号で長野駅に着いたら,ポツポツと霙混じりの空模様だった。しかし自転車で帰った。
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