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【第1858回】 休日出勤(2011年4月29日)
- 庭の手入れとか洗濯とか水槽掃除とかいった雑用を片付けてから出勤。新幹線では『ナニワ・モンスター』を読んでいた。
- 14:00頃に研究室に着いた。せっかく来たので夕方までは仕事をしてから帰ろうと思う。少なくとも北関東医学の校正仕事を終わらせてしまえば,それだけは持ち帰る必要がなくなる。
- 17:00に校正仕事が終わった。花粉症のせいか鼻水が出て肩こりがするし,もう帰ろう。
- 復路新幹線で,海堂尊『ナニワ・モンスター』新潮社,ISBN 978-4-10-306573-9(Amazon | bk1 | e-hon)を読み進め,帰宅後暫くして読了。2009年の「新型」インフルエンザ流行を題材にした話(正式には今年3月末になってから,厚労省はやっと「新型」指定を外したが,たぶん世間からは既に忘れ去られていて,その事実だけでも広い意味での医療行政を問題にしてきた海堂作品の格好のネタであったと思う。現実の「新型」インフルエンザについては,是非flumemo.htmlとflu.pdfを併せて読まれたい)。この『ナニワ・モンスター』は,言ってみれば陰謀論であり,話をAiに引き付けるやり方が多少強引だが,現実の揶揄の仕方が上手かった。桜宮サーガの中では『イノセント・ゲリラの祝祭』の流れをくんでいて,スカラムーシュ彦根が大活躍する話といえる。ただ,その流れで活躍が待ち遠しい桧山シオンが出てこないのが惜しかった。その分,久山町とか橋下知事とか村木局長事件(もっとも,村木さんは冤罪だったが,このストーリーの中では厚生労働省の局長が冤罪かどうかは大きな問題ではなく,逮捕したこと自体が重要という流れになっていて,陰謀論的には整合するように考えられていた)を思わせる舞台装置を使って現実との絶妙なオーバーラップ感を醸し出していた。2年前に羽田空港検疫所の木村盛世氏が吠えていたような厚労省医系技官批判や水際作戦批判も絡んでいて,盛りだくさんであった。しかし疫学の捉え方は少しずれていて,斑鳩と本田の会話「私は様々な状況から,ひとつの仮説を立てた。現状はすべて,その仮説世界の中で矛盾なく進行している。その事実が仮説が正しいことを実証している」「それは公衆衛生学における疫学的思考法だと教わったばかりです」「そういうものなのか」はおかしい。疫学を誤解させる表現だと思う。川端裕人『エピデミック』のようなレベルは望むべくもないが,疫学は単純な帰納法ではないことくらいは基本なので押さえておいて欲しいところだった。
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