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社会調査第3回
「さまざまな研究における調査のデザイン」(2001年4月26日)
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最終更新:
2001年7月26日 木曜日 18時05分
講義概要
- 実験研究のデザイン:
●2群を必要とする(処理群と対照群)
●個人は2群のどちらかにランダムに割り付けられる(層別にランダム割付することも)
●2群は1つか複数の従属変数について測定される(プレテスト)
●介入(独立変数)の実施
●プレテストで測定した従属変数を再び測定
- 実験研究の場
- 実験室
- 例えば,LataneとDarleyが煙を使ってやった社会心理学的な研究など
- フィールド
- 例えば,Millimanがレストランでテンポの違う音楽を使って従業員と客の行動への影響を調べた研究など
- 準実験研究:
●例えば小学校3年生のクラスを2つ選んで,一方には新しい教育プログラムをして,もう一方にはしないでおいて,成績が上がったかどうか調べて比べる,といった,ランダム割付を含まない2群間での介入効果の比較による,その介入手段の有効性の評価。
●社会調査には多いのだが,2つのクラス間でもともと社会経済状態などに差がある可能性があり,それがバイアスとなる可能性を排除できないのが問題。
- 自然の実験:実験研究や準実験研究では,介入後に結果が評価されるが,自然の実験では,研究者は介入をしないで,評価するだけ。
●4つの例:ある村で,都市に移住することを選んだ人と村に残った人がいる/同じ地域でもある村には電力が供給されていて別の村には供給されていない/同じ社会経済階層でも大学に行く人もいれば行かない人もいる/文化的規制によって女の子殺しを経験した社会もあれば,しなかった社会もある。
- 自然的実験:自然条件で実験研究データ(バイアスの少ない比較が可能な)を集めようと工夫するもの(例:Milgramがやった「実際,世界はどれくらい狭いのか?」の研究)
- デザインで注意する点
●内的妥当性(デザインした介入以外に結果に影響する要素は入らないか),外的妥当性(測定で測りたいと思ったものが正しく測れているか)があるか?
●攪乱要因を排除できているか?
●実際に調査をする前に思考実験をしてみること
●実施するにあたっては,(1)研究法の選択,(2)調査費,(3)時間,(4)既存資料の調査と具体的デザイン,(5)研究スタッフの編成,(6)調査対象の選定とコンタクト,(7)予備調査,(8)計画の練り直し,(9)本調査,といった手順を踏むことが必要。かなり面倒。
- 研究デザインの別の見方
●断面的研究と縦断的研究
●ケースコントロール研究とフォローアップ研究
●事例研究(実態調査,問題発見型であることが多い)と統計的研究(全数調査または標本調査,仮説検証型であることが多い)
フォロー
- いくつかの語句説明を希望
- バイアス(bias):偏り,つまり系統的な誤差のことです。
- 処理群と対照群:効果を見るために調査者が何かの要因を設定する,つまり介入を伴う研究の場合,効果を見たい要因を経験する被験者は処理群,経験しない被験者は対照群となります。対照群は,処理群と,その効果を見たい要因を経験したかどうかだけが異なり,年齢,性別などの属性は一致しているのが理想的です。例えば,社会保障制度で使えるカードの試行による効果推定という実験デザインの場合,処理群がカードを貰った人,対照群がカードを貰っていない人となります。
- 従属変数,独立変数,撹乱要因:調査研究において一群の変数間の関係を定量したいとき,変数のいくつかが原因あるいは決定的な意味をもつもの,別のいくつかが結果的な意味をもつものと考えられます。このとき,私たちが説明したいと思う結果の変数を従属変数と呼び,原因と考えられる変数でを独立変数と呼びます。注目している関係外の変数で,結果に影響を与える可能性がある変数を,撹乱要因と呼びます。
- メタ(meta):上位の,という意味です。例えば,メタ分析とは分析を分析することです。
- 外的妥当性を欠く例として挙がったもののうち適切な例
- 携帯電話の重複登録による保持者の不正確さのため,登録件数は使用者数の尺度としては外的妥当性を欠く
- 少年犯罪やマナーの悪い一部の若者を見て「近頃の若いもん」云々すること,つまり,マスコミ報道などで取り上げられるような「目に付く」若者の行動は,突出しているので,若者の行動一般を示す尺度としては外的妥当性を欠く
- 予備調査で問題点があれば練り直しが必要,では問題点がなかったら本調査の結果に加える?
- いい質問です。ケースバイケースですが,加えない方がバイアスが入る可能性は減ります。