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社会調査第13回
「調査結果の分析と報告書の発表」(2001年7月12日)
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最終更新:
2001年7月26日 木曜日 18時38分
講義概要
- 分析の基本
- ・目的を明確にする
- ・記述統計を実施
- ・作業仮説を明示する
- ・仮説検定または区間推定を行う
- 記述統計
- ・単純集計(平均,分散,中央値,最頻値など代表値の計算)
- ・図示(視覚化=Power PointやGnuplotを使うとよい)
- 仮説検定または区間推定(SAS,SPSS,JMP,EPIINFO,Rなど統計ソフトを使う)
- ・変数間の関連の分析(クロス集計と相関係数)
- ・二群間あるいは多群間での,平均値の差の検定,比率の差の検定など。
- ・多変量解析
- 報告書の作成
- ・公表するという行為の意味
- ・一般的な構成(調査の目的・方法・実施体制,調査結果の概要,主要な傾向の分析,要約や結論,調査票,記述統計結果など資料提示)
- 報告書公開の方法
- ・紙媒体での関係者への配布
- ・出版(本あるいは論文として)
- ・WEBでの公開(データベースを含む)
- ・学会発表やマスコミへの発表
フォロー
- Power PointやGnuplotとはどんなもの?
- この講義でスクリーンに文字や図を表示するためにずっと使ってきたプレゼンテーションソフトがPower Pointです。Gnuplotは,数式やデータを手軽にきれいな図にでき,その図をさまざまな書式で保存できるフリーソフトです(GNUPLOT日本語化・機能拡張 (PLUS-enhanced) パッチ公式サイト)。
- 報告書は完成する前に書いた方がいい?
- 完成に時間がかかるようなら中間報告も必要ですが,普通は完成した報告書を発表すればいいと思います。
- SAS,JMPなどの統計ソフトを実際に使用してみたかった。
- JMPはライセンスの関係から,たぶんデモすることしかできませんが,後期の社会統計学ではRという統計のフリーソフトを実際に使ってもらうつもりです。
- マスコミ公開された報告書が一番正当性があるんですか?
- そんなことはありません。内容について,学問としての正当性を保証する公開手段としては,学会誌掲載の論文にするのが一番です。次が本としての出版でしょう。ただ,多くの人の目に触れるという意味で,マスコミ公開することは,公開性は最も高いといえます。
- 他でも役に立って良かった。
- 社会調査について知っておくことは,社会人として生活していく上でのメディア・リテラシーとして万人に必要だと思うので,そう考えて貰えれば本望です。
- 社会調査,社会統計学というものは,私たち一般国民にとって何が,なぜ,どのように,役に立つ(生活,政治,経済,国際関係等)のか? 抽象的でなく,誰でも分かる具体例で答えて欲しい。
- 上述の通り,これからの社会生活では,メディアや情報に騙されないための見識が必要になると思います。例えば,内閣支持率が80%とかいうマスコミ発表を鵜呑みにせず,それが「支持する」と「どちらかといえば支持する」を合せた値だったことに注意できることは,情報に流されないために重要です。これからの世の中は,いろいろな問題が複雑化するので,自分で情報の価値を判断できる能力がますます重要になってくると思います。