更新:2018年5月18日
サブタイトル通り,ナイアンティック社のCEOであるジョン・ハンケ氏がやったことの自伝であり面白かった。
たぶんプログラマとして天才だったわけではないが,人のつながりも含めてアイディアを形にする力があったのだと思う。幼少時コンピュータゲームと出会ったとき,遊ぶよりも動かす仕組みを知りたくてコーディングに走ったという経験談には,自分もそうだったので共感した。「信長の野望」がN88 DISK BASICで書かれていた頃,BREAKキーを押すとソースコードが読めたので適当に改造したりパラメータを変えたりしたのは楽しかったなあ。
暇が無いのでイングレスもポケモンGOも遊んだことはないが,本書を読んで自分のAXON MINIにField Tripをインストールしてしまった。イングレスのプロトタイプ『Battle for SF』はジョン・ハンケが自分でPythonで書いたコードで,静かなオフィスでコーディングをしていたときに至福を感じたというくだりにはメチャクチャ共感した。
イングレス的なアイディア自体は,はやみねかおるの「都会のトム&ソーヤ」シリーズにおけるReal Role Playing Gameとか,「電脳コイル」みたいに物語として考えた人は何人もいたのだけれども,それを現実化できるテクノロジーの到来から間髪を入れず実際に作ってしまったところが凄かったのだと思う。
なお本書の売り上げは日赤に寄付されるとのこと。東日本大震災と津波にショックを受けたこともイングレスやポケモンGOの活動の展開に大きく影響しているとのことなので,たぶん被災地へのサポートという意味だろう。
【2018年5月18日,2017年12月4日の鵯記より採録】