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書評:前野ウルド浩太郎『孤独なバッタが群れるとき : サバクトビバッタの相変異と大発生』東海大学出版会

最終更新:2013年12月17日

書誌情報

書評

去年の暮れに出ていたのだが,どうしていままで読まなかったのか激しく後悔した。それくらい面白い本だった。これほど大学院生に是非読めと勧めたくなった本は,矢原徹一さんの『花の性』以来だ。しかも余談も語り口も面白い。

欲を言えば,フィールドに行ってしまう前に,ヘキサン抽出物を分画して綿棒でメスの触角に塗る実験を仕上げていってくれたら,なお良かった。あと,論文掲載のものから,図を見やすく作り直したそうだが,たぶんそのせいで図から消えてしまっている実験条件があったと思われるところが何ヶ所かあったのも,本書でサバクトビバッタの相変異について理解しようという読者にとってはやや残念だった。

ただし,元論文の書誌情報がすべて載っているので,そういう読者は原著を読めばいいだけの話だが。

【2013年12月17日,2013年9月のパプアニューギニア往還記:第4日より採録】


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