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【第748回】 信毎はおかしい(2007年3月1日)

■サンプリングに妥当性がない世論調査
トップ記事は世論調査だった。村井知事の支持率が61%で,穴あきダムは賛否相半ばするという意味の小見出しがあった。それ自体はきっと捏造ではないのだろう。しかし,調査の仕方に問題がある。サンプリングの基本がわかっていない。
どういうことかというと,紙面に書かれていた調査方法からすると,20日から22日までの間,調査対象を20歳以上の1000人と決めて,性別・年代ごとに県内の年齢構成に比例するように,電話帳から選んで1000人になるまで電話で調査したということなのだが,これはランダムサンプリングにならない。まず,20日から22日という平日に自宅にいて電話に出て調査に協力できる人しか対象にできていない。これは,昼間働いている人や学生がすっぽり抜け落ちてしまうことを意味する。しかも,何人に電話をかけて1000人になったのかが書かれていない。どれくらいの回答拒否や不在があったのかがわからないと,サンプルの代表性を判断することができない。電話帳に電話番号を載せないような,セキュリティ意識の高い人も調査に含まれない。
普通はどうするのかというと,住民基本台帳から性・年代・地域別に合計1000人をランダムサンプリングして,まず往復はがきなどで調査協力依頼をする。協力してもいいという人は,電話調査に協力可能な時間と電話番号を書いて返送すると,そこに電話をして調査をする。不在や協力拒否などで1000人に満たなくても穴埋めはせず,何パーセントが回答してくれたかを明示する。普通,世論調査とはそうするものだ。教科書などにもそう書いてあるし,自分がかつて山口に単身赴任していた頃に中国新聞から電話調査への協力依頼をされたときは,実際そうやっていた。
県民を正しく代表していない可能性が高いサンプルの調査結果など信頼できない。果たして一面トップにもってくるほどの記事だろうか。
■岡部証言がフィクションだったこと
田中前知事が文書破棄を指示しただの偽証をしただの,県議が百条委員会を作って信毎ともども大騒ぎしていた事件の大元であった,岡部元参事の発言が「フィクションだった」ことが県警の捜査でわかった。今日の信毎では35ページと37ページに載っているのだけれども,扱いが小さいし,見出しが「食い違い続けた証言」とか,まるでおかしい。岡部氏の発言が真っ赤な嘘だったということは,以前から田中前知事が主張していた通り,すべての疑いが事実無根だったことを意味する。信毎はこの期に及んでまだ往生際悪く岡部氏の嘘をついた言い訳まで載せて,前知事への疑いが残るように仕向けているが,おかしいんじゃないか。せめて,百条委員会での岡部「証言」は偽証だった!くらいの大見出しをつけるべきだ。
だいたい,岡部発言を取り上げて大騒ぎを起こす元になったのは信毎自身のスクープ記事であったというのに,反省がないのがおかしい。これは一面トップにもってきて,嘘の発言を,さも真実であるかのように大きく取り上げて県政に無意味な混乱をもたらして申し訳ありませんでした,と反省の社告を出すべきところだ。
(ついでにいうと,多くの田中県政批判のwebサイト--大石英司氏とか追撃氏とか--は,鬼の首でもとったかのように,この件で田中前知事を嘘つき呼ばわりしていたわけだが,どう責任をとるつもりだろうか。)
■浅川治水の住民説明会報道の偏り
一昨日の浅川公民館での説明会も,昨日の豊野での説明会も,信毎は賛否両論あったという書き方で賛成と反対を同等に取り上げているのだが,この取り上げ方は印象操作といえる。たしかに賛成論の人もごくわずかいたが,会場に詰め掛けた(ぼくを含めて立ち見までいた)住民の大多数は反対だった。浅川公民館では,地滑り被害にあった経験のある方が「命をかけてやってくれ」という心からの訴えをしたことは,先日の村井知事の無責任な発言や新しいデータを無視して20年以上前の計画を強行しようとしている県土木部のやっつけ仕事姿勢への強烈な批判だったし,そこを伝えることこそ報道の仕事だろうに,信毎はその気がまったくないようだ。abnなど,テレビ局のニュースの報道の方が,反対の声が次々にあがったという実情を伝えていたように思う。

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