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個別メモ
Latest update on 2012年3月5日 (月) at 10:54:46.
【第1501回】 承前(2010年1月7日)
- 2:30頃から6:30まで,研究室の床に断熱マットを広げ,寝袋で仮眠。慣れもあるが,これは意外に快適。
- 朝一番の仕事の前に食事(すき家にするつもり)をしなくてはならないが,それ以外はオセアニア学会仕事を仕上げるべきか?
- 結局,朝食は時間がなくて病院の売店で弁当を買って済ませた。
- 朝一番の仕事が終わった後はメール送受信などをしつつ,オセアニア学会仕事を済ませた。
- ご恵贈御礼。緒賀郷志『Rによる心理・調査データ解析』東京図書,ISBN 978-4-489-02067-4(Amazon | bk1 | e-hon)をお送りいただいた。ありがとうございます。心理学分野でのデータ解析方法の教科書として評判が高いという,小塩真司『SPSSとAmosによる心理・調査データ解析』『研究事例で学ぶSPSSとAmosによる心理・調査データ解析』(ともに東京図書)を底本として(小塩氏の許諾を得て),SPSSではなくRで解析できるように「初めてRに触れる人向けに」解説した本だということである。画面キャプチャ図が多く,確かにR初学者に向いているように思うし,尺度構成などは心理学にフォーカスした本書ならではの内容で,これまでのR本には少なかったコンテンツかもしれない。ただ,使っているバージョンがR-2.8.1なので,2.9,2.10と進むにつれて内部構造がかなり変わりつつあることを考えると,今後画面や操作が変わってしまって新しいバージョンでの操作とは合わなくなる可能性もあるが,その辺はこの種のソフトウェア初心者向けの解説書の宿命だろう。
- 昼はとよだの日替わりランチを食べつつ,久々に瀬名秀明著(鈴木康夫監修)『インフルエンザ21世紀』文春新書,ISBN 978-4-16-660733-4(Amazon | bk1 | e-hon)を読み進めた。主としてウイルス学について書かれている第2章を読んでいて,世をときめく東大医科研の河岡義裕教授が若かりし頃,ウィスコンシンで進めていたインフルエンザウイルス研究のかなりの部分が,瀬名さんの父上である生化学者・鈴木康夫氏との共同研究として達成されたことを知った。これまでも何度か書いてきたが,やはり名著だと思う。インフルエンザウイルスの分類の謎についても歴史的な経緯の説明がきちんとなされていて,もし1980年に,それまで3つの亜型とされていたものを,(免疫沈降法で区別できないからといって)一緒くたにH1亜型としてしまわなかったなら,昨年来の「新型」はそれまでの季節性のH1N1と表記上も区別できたはずだった,ということがわかった。ただ,少し気になった記述が1つ。変異したインフルエンザウイルスが出現する仕組みとして3つを取り上げ,遺伝子再集合によるもの(1)は,点突然変異によるもの(2)や宿主の抵抗性による淘汰によるもの(3)とまったく違うといった主張がされていたように思うが,むしろ,これら3つはそれぞれまったく異なるメカニズムだと言うべきではなかろうか。見方を変えれば,(1)(2)は変異型が生まれる仕組みであるのに対して,(3)は誕生した変異型が定着する仕組みなわけだから,必ずしも(1)と(2)(3)との違いを強調するのは合理的ではないだろう。
- それにしても,「はてな」で見つけた書評(千早振る日々さんと自治体職員の読書ノートさん)には概ね同感だったのに対して,アマゾンにあった酷評には驚いた。酷評した方の求めていた情報と本書のターゲットが違っていたとしても,感染症を理解し対策するという視点に立てば本書の重要性がわからないはずはないと思うのだが,そこを切り捨ててしまうとは。
- 平成22年国勢調査が都内ではネット回答可になるという/.Jのスレッド。国勢調査については,3年公衆衛生学の人口統計・保健統計の回の講義資料も参照していただきたいが,11月に書いたようにすべての統計調査の基本となる大事な調査にしては,その重要性と有用性のアピールが不足しているのが最大の問題だと思う。/.Jの元記事が主張するように,たしかに住所不定の人が増えてくると戸別訪問では捕捉できなくなってしまうので,ネットで回答できるというのはいい手かもしれない,と納得しかけた。しかし,すぐに思いついた疑問としては,個人認証プロセスを踏まないといけないので,本人にIDとパスワードが渡る瞬間はあるわけで,そのためには結局どこかで個人を捕捉できなくてはいけないのだ。だから,個人情報保護の点から(つまり調査員が信用できないから)回答拒否する人に対しては,ネット回答が有効な回収率向上手段となりうるだろうけれども,本当に住所不定の人はネット回答にしたところでやっぱり捕捉できないんじゃないだろうか(と書いてから/.Jを再び見たら,既にACの1人から同様の指摘があった)。また,ネット回答であれば,改めて調査票を入力する手間と誤入力の可能性は減るというメリットはあるが,調査員が目で見て確認というプロセスを経ないことで,いい加減な回答をしても素通りしてしまう危険もあり,正確さについては功罪両面あると思う。いずれにせよ,この回答システムのセキュリティは非常に大事だと思うので,おそらく巨額の開発費や維持管理費がかかるはずであり,そんなことをするくらいなら(といっても,既にシステムの安全性,安定性については試験調査を積み重ねてきたそうだから,もうかなりの額を使っていると思うし,だからこそシステムは適切に運用してほしいが……),ちゃんと訓練した正規の調査員を増員してくれた方が余程いいデータが得られるという気もする。そんなことをつらつら考えてくると,拙速にネット回答システムを歓迎してしまうのは危険かもしれないと思えてきた。導入前に,最低限,パイロットでもいいから,ネット回答と調査員が紙で集めるのと両方やって,どれくらい一致するかを調査しなくてはいけないんじゃなかろうか。質の違うデータが混ざってしまうのは避けたい。
- ずっと放置していたのに気づいてしまったので,久々に研究業績を更新した。もっとたくさん日本語の雑文を書いているような気がしているんだが,たぶん,原稿は書いたけれどもまだ出版されていない本がたくさんあるのと,講義資料として力を入れ過ぎて作った文書がたくさんあるということなんだろう。
- 復路あさま553号では眠って帰った。長野は雪だったが,意外にも地面は濡れていて積もってはいないのだった。気温が高かったのだろう。
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