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個別メモ
Latest update on 2012年3月5日 (月) at 10:54:46.
【第1897回】 週明けは公衆衛生学の日(2011年6月13日)
- 人口学会2日目に京都散歩
- 日曜は人口学会2日目で,堀川インでパンとサラダの朝食を食べ(朝食込み,インターネット接続込みで5,500円だったから,とても安かったと思う),京都大学まで歩いて行ったら1時間近くかかったけれども,堀川沿いがずっと遊歩道になっていたし,二条城や京都御所が道端に見えたり,鴨川を渡るときに大きなゴイサギが石の上で周囲を睥睨しているのが見えたり,なかなかいい散歩になった(京都大学周辺では見つけられなかったのだが,右の写真は,この散歩中に見かけた「進々堂」である。喫茶店らしくはなくて,たぶんパン屋のチェーン店のようなのだが……)。午前中は感染症と人口のセッションで最後の演者だった。one ideaの非常にsimpleな話だったから,たぶん何をやったのかは誰にでもわかったと思うし,定性的には当たり前の話なのだけれども,ディスカッションが盛り上がったからいいか。PNGとソロモンの移住に関する条件の違いをもう少し喋っておくべきだったかもしれなかったのは,プレゼンとしては反省点だが。昼は感染症と人口の人たちと食事に行きたい気持ちもあったが,人類生態の後輩の小西さんがラウンドテーブルでbiodemography系の研究計画の話をするというので顔を出してみた。たぶんある程度大きな企業の産業医との共同研究にするのが一番の近道だろうと思われる研究計画であった。T先生が懸念されるようなドロップアウトとかは,産業医を取り込んで,当該企業としても協力してくれるなら,あまり気にしなくてもいいのではなかろうかと思われた。もしかするとTBCとかワコールとか? 女性の健康をCIとして打ち出している企業であれば,その一環として受け入れてくれるかもしれない。しかし,たぶん現在の人口学会ではああいうレスポンスになるだろうなあと思っていた通りのレスポンスだった。今の段階ではむしろ産業衛生学会とか公衆衛生学会で話をした方がよくて,人口学会では成果を発表する方がいいのではないか。小西さんたちは,早期胎児死亡の話だってHeterogeneityの話だってDarrylやKathyのラボにいたわけだから,Bongaartsが引用しているとかいうレベルよりももっと詳しく新しい情報をわかった上でやっているに違いないのだから,その前提で話を進めないと時間がもったいなかったように思う。あの手の研究でのインフォームドコンセントなど倫理審査を通るためには必須なわけで,科研の申請書にも書かなくては通らないのだから,知らないわけがないではないか。まあ逆に,そこは最初からクリアに説明しておくべきだったともいえるが。
- GISチュートリアル
- 午後は廣嶋先生の発表を聞いてからGISのチュートリアルセミナーに行った。いつも理事会の資料準備などでお世話になっている鎌田さんがRのGIS系のパッケージを使っていたことと(S4クラスのデータ構造が採用されてから,ぼくにはmaptoolsが使いにくくてたまらないのだが,鎌田さんはmaptoolsでないパッケージを使われていたようだ。資料の字が小さくて判読できなかったので,後で,発表中に紹介されたサイトをチェックしてみなくては),MANDARAという日本人が開発したフリーソフトが使いやすそうなことに驚いた。EPIINFOのEpiMapとどちらが使いやすいかわからないが,試してみたいと思った。
- 京都からの復路で島田荘司を読む
- ほぼ定刻に終了後,雨の中をバスで京都駅に行った。途中で修学旅行生らしき集団とか親子連れとかでギュウギュウ詰め状態に近くなったが,その前に座れていたので助かった。既に疲れ果てていたので,この上,重い荷物を抱えたまま,人に押されながら30分もバスに揺られていたらアウトだったかもしれない。京都から名古屋まで新幹線で,そこから特急しなの号への乗り継ぎはうまくいって良かった。車内で島田荘司『21世紀本格宣言』講談社文庫,ISBN 978-4-06-275917-5(Amazon | bk1 | e-hon)を読了した。本格論,日本人論,ミステリ論,新人賞を中心とした選評などが1冊の本としてまとまったもので,一見バラバラの内容だったけれども,やはりこれは島田荘司氏による今世紀の本格宣言というより他はない本なのであった。うーん,しかし島田荘司氏と藤原正彦氏が日本人論を戦わせたら面白いだろうなあ。
- Rパッケージのクロスコンパイル?
- Rの開発MLで,MacOS環境でのWindows用パッケージ開発のクロスコンパイルについて質問があり,Uwe Liggesさんからhttp://win-builder.r-project.orgを使えばWindows用にパッケージビルドができるかどうかはチェックできるよ,とアドヴァイスが入った後,R教授が,CとかFortranのコードを含むパッケージじゃない限り,それはインストーラをビルドする問題であって,クロスコンパイルじゃないし,win-builderのサイトではクロスコンパイル問題はチェックできないよ,と厳しい突っ込みが入った。ぼくの私見では,よほど高速あるいは大容量の計算を必要とするのでなければ,Rに標準実装されている関数を組み合わせるだけで大抵の処理は実現可能だから,パッケージはそのように作ればいいと思う。pyramidやfmsbはそうやってあるし,その条件ならばLiggesさんのアドヴァイスは適切だろう。まあ元質問者がクロスコンパイルという語を間違って使ったのであろうと推察してwin-builderを紹介したLiggesさんの優しさも,そこを厳しくクリアに突っ込んでしまうR教授も,ともに「らしいなあ」と感じる。
- トレーニング・ジャーナル最新号
- 月曜は例によって一日中,公衆衛生学の講義。昼食のために研究室に戻ってみると,トレーニング・ジャーナルの最新号が届いていた。いつもご恵贈くださりありがたい(>Aさん)。表紙が,最近はもう死角なしではないかと思われる強さを見せている体操の内村選手であり,特集が動的バランスということであった。例えばキャッチボールでも,2人で向かい合って横に走りながらやると,普通にやるのに比べて格段に難しくなる。守備でもバッティングでもベースランニングでも,身体が傾いてバランスを崩してしまうとうまくいかない。他のスポーツでもバランスを取ることはかなり大切で,SSKのカタログの付録に書いてあったように視線を水平に保つこともだが,冬季のトレーニングとしてバランストレーニングを,とくに小学校低学年から取り入れておくことは重要だという話を読んだことがある。今回の特集記事でも,野球,カヌーなどいくつかのスポーツのトレーナーの方が書かれていて,参考になりそうだ。あと,アイシングの重要性が書かれた記事(とくにコールドスプレーや湿布ではなくて,氷や保冷剤を使ったアイシングでなくては達成できない効果があること)も,コンパクトにまとまっていて良かった。子供にスポーツをさせている親とか,チームの指導者とかは,最低限これくらいの知識は頭に入れておくべきと思う。
- エディンバラ大学の資料で
- 公衆衛生学の午後最後のコマは,わざわざ沖縄から来ていただいた高山先生による特別講義であり,とても充実していた(配布資料には含まれていなかったが,もしこのメモを読んでいる学生がいたら,朝日新聞の会員サービスasParaで高山先生が書かれている「感染症は国境を越えて」というブログを読むことをお薦めする。講義序盤の内容については6月8日付記事「被災地を脅かす感染症の噂」が参考になるだろう)。その後,地域保健実習対応とR実践活用勉強会。Edinburgh大学のサイトにあった因子分析をSPSSで実践する講義資料を勝手に利用させてもらって,同じデータをRcmdrで分析しようとしたのだが,Rcmdrではスクリープロットを実行するメニューが無かったので,スクリプトウィンドウで.FAというオブジェクトにfactanal()の結果を付値する行の5を20に変えてから再度実行してもらい,その後で,barplot(colSums(.FA$loadings[,1:20]^2))と打って実行してもらうことでスクリープロットした。ちょっと面倒だが仕方がない。
- セイバーメトリックスの本
- 復路新幹線で,鳥越規央『9回裏無死1塁でバントはするな――野球解説は“ウソ”だらけ』祥伝社新書,ISBN 978-4-396-11234-9(Amazon | bk1 | e-hon)を読了。いわゆるセイバーメトリックスの本で,日本のプロ野球や大学野球のデータを統計解析することで,無死一塁での送りバント戦略のアドバンテージを明確に否定したのは有名な話だが,無死二塁で送りバントによって一死三塁にしても,勝利確率が上がるのは9回に同点の場合だけだったというのは驚きだった。ただ,実際には後続バッターの打率とかランナーの足とか相手ピッチャーのタイプとか調子とか内野守備の上手さも含め,シチュエーションの多様さがあるわけだから,そこは多変量解析にしなくては実践的な意味がなさそうな気がした。多変量の分析はあまりされていないのだろうか。
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