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個別メモ
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【第1979回】 久々の青空(2011年9月6日)
- 久々の青空。朝の長野電鉄は混んでいて嫌なんだが仕方が無い。あまりに天気がいいので,折り畳み傘を家に置き忘れて来てしまったが,まあ今日は大丈夫か。新幹線と両毛線とバスで,神永正博『ウソを見破る統計学:退屈させない統計入門』講談社ブルーバックス,ISBN 978-4-06-257724-3(Amazon | bk1 | e-hon)を読了。11章までは基礎,12章からは経済統計学的なトピックスを扱っているが,基本的に細かい計算式は示さず,考え方を物語的に示しているので,たぶん高校生でも十分に読めるだろう。以下,気になった点についてのメモ。(1)p.47は,truncated distributionになっているから相関が消えた可能性があることにも触れてほしかった。(2)第7章のカイ二乗適合度検定のところでは,実は4:3:2:1を帰無仮説としてもカイ二乗値が7.13,p値が0.068なので自由度3のカイ二乗分布では有意水準5%で棄却されないことにも触れてほしかったし,第8章のクロス集計における独立性の検定ではカイ二乗検定とイェーツの補正だけではなく,Fisherの正確確率検定にも触れてほしかった。ただ,自由度の説明の仕方はうまいと思った。(3)第10章は所得で補正しないとselection biasの可能性があるのではないか。(3-1)図10-1と10-2では右下に外れた国におけるHIV/AIDSの影響にも触れてほしかった(Gapminderを紹介してくれるといい)。(4)第11章のフローチャートは古典的かつ教条的。ぼくもかつてはそういう説明をしていたが,青木先生や奥村先生のシミュレーションでクリアに示されているように,独立2標本の分布の位置の差の検定なら常にWelchでいいと最近は教えている。(4-1)会話文の中でWelchの検定と通常のt検定で違うのはt値の計算の仕方と書かれているが,そこは本質的な違いではなく,むしろ自由度の計算の仕方が大きく異なるというべきではなかろうか。(4-2)分布の正規性の検定はKSよりもShapiro-Wilkの方が普通では? 単なる趣味の問題かもしれないが。(4-3)正規分布でなければノンパラ,と機械的に決めるべきではない。(4-4)Wilcoxonの順位和検定とMann-WhitneyのU検定について,サンプルサイズが小さい時はU検定と書かれているが,それはまったく手計算の都合上の話なので,この2つの検定は数学的にまったく等価なため,コンピュータソフトで計算させるなら使い分ける意味はない。(5)p.168の図12.3に示されている理論値が,Rでdpois(0:5,196/280)*280として出てくる値と近いけれども,微妙に違うのはどうしてだろう。(6)第13章から第15章の話が面白いなと思った人には,是非,高安秀樹『経済物理学の発見』光文社新書,ISBN 978-4-334-03267-8(Amazon | bk1 | e-hon)をお薦めしたい。(7)第17章の山火事のグラフは定期的に流行する感染症の患者発生数かと思った。まあ,感染症にもパーコレーションを当てはめたモデルは既に存在するので,見当外れだったわけではないが。
- うーん,VAIO-SAが調子悪い。計算途中なのでリセットできないのが痛い。たぶんネットワーク回りで何か引っ掛かっているのだと思うが。
- ダメだ。タスクマネージャでプロセスを殺したりしていたら,却って状況が悪化した。仕方ないので一旦シャットダウンすることにしたが,「シャットダウンしています…」というメッセージが表示されたまま,なかなか進まない。とりあえず昼食をとってこよう。
- 昼食後,ディスプレイの電源が落ちていて(30分以上何も起こらないと自動でディスプレイの電源を落とす設定にしていたから当然だが,その設定は生きていたようだ),しかもシャットダウン中のままらしくキーボード入力もマウスパッド動作も何も受け付けない状態だ。諦めて電源ボタンを長押ししてシャットダウン。再起動したら,とりあえず何事もなかったかのように動き出した。
- 計算も途中で終わっていたが,計算プロセス自体は普通に動いていたようだ。やはりVAIO-SAで計算中は,できるだけ他のことは何もさせないようにしよう。スリープさせて持ち運ぶのも考えものだなあ。計算をもっとコマ切れでさせたらいいのか?
- 岡山から送られてきたレポートを採点していたら疫学勉強会の時間になった。
- 疫学勉強会で出てきたコホート研究の例で,Vit.Aのサプリの8,000 IU/day(1995年にRothman KJ et al.がNew England J. Med.に発表した論文からの引用で,妊婦がこのレベルを超えるサプリ摂取をすると児の先天異常発生が増加することが示されていた)が,実際どれくらいの量なのかが気になって,偶々手元にあったNature Madeのマルチビタミン剤のVit.A含有量を見たら,600μg/1錠(1日1錠の摂取が目安)と表示されていて,IUがわからなかった。勉強会終了後に食品成分表(手元に四訂しかなかったので,ちょっと古いデータだが)の説明をみたら,0.3μgが1IUに当たるそうなので,マルチビタミン剤1錠では2,000 IU/dayということになる。これは日本の成人男性の所要量と一致している(成人女性は1,800 IU/day)。食事からもVit.Aは摂れるわけだし,脂溶性だから過剰に摂っても排泄されにくく,サプリ4錠も飲んだら過剰蓄積になるだろうことは分かるだろうに,それだけ摂ってしまうということは,教育水準が低いとかサプリ依存症だとか,別の要因がありそうな気もする。教授からの指摘にあったように,摂取量を4つに区分する切り方も合理的でないような気がする。でも,New England J. Med.に載ったということは,その辺りのバイアスは当然コントロールしているのだろうから,元論文(Free Full Textだった)を読んでみた。すると,USでは1錠で25,000 IUというマルチビタミン剤があり,1錠で10,000 IUを含んでいるマルチビタミン剤はたくさんあるけれども,それ以上のものは少ないという理由で,最高レベルの摂取をしているコホートを,10,001 IU/day以上にしたと書かれていた。食事からの摂取も含めたretinol摂取レベルは5,000 IU/day刻みで4区分されていて,それなりに納得はいくのだが,どうしてサプリからの摂取を8,000 IU/dayで切ったのかは書かれていなかった(ざっと読んだだけなので見逃していたら申し訳ないが)。ともあれ,おそらく4錠飲んだのではなく,含有量の高いマルチビタミン剤を1錠飲んだらしいことがわかった。Vit.Aが通常摂取されているレベルとそう遠くないレベルの摂取で催奇形性をもつ可能性を示した最初の論文らしいし,摂取時期の影響とか二次スプラインの当てはめで,0 IU/dayの時の先天異常発生割合を1とした比が,10,000 IU/day辺りから急に立ち上がっていることを示したりしているのは流石だった。この論文へのリンクと次回予定の掲示するため教室公式サイトの当該ページを更新したら19:30を過ぎた。
- 昼過ぎにVAIO-SAに投入したjobはまだ終わらない。今朝の不調で懲りたので,計算させたまま帰ろう。Y5を持ち帰れば他の仕事はできるし,家のデスクトップの方の計算が終わっているかもしれないし,ちょうどいいだろう。
- 帰宅するとデスクトップマシンの計算が終わっていたのでグラフを書かせてみたら,まあまあなfitだった。1年だけoptim()が収束していない年があったので,VAIO-SAと同じモデルにして2通りの評価関数でfitさせ,サッカーの結果を見てから眠った。
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