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個別メモ
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【第2007回】 一木会の日(2011年10月13日)
- ゴミ出しをしてから出勤。途中,群馬県庁前の珈琲問屋に寄って,豆を購入。2種類,どちらも今年収穫されたもの。フルーティブラジルは去年も一昨年も美味だったので安心して買える。もう1点は,パナマのラ・エスメラルダ ゲイシャ2011という豆で,最上級の讃辞が踊るPOPに惹かれて100グラムだけ買ってしまったが,ブルーマウンテンの次くらいに高かったので,これは賭けだ。どちらもハイローストにして貰った。
- とよだで昼食。やたらに混んでいた。食後のアイスコーヒーを飲みながら,津田敏秀『医学と仮説:原因と結果の科学を考える』岩波科学ライブラリー184,ISBN 978-4-00-029584-0(Amazon | bk1 | e-hon)を読了。疫学プロパーでない人にも敬遠されないように工夫していることはわかる。用語も著者独自の噛み砕き方をしているのはそのためか。例えば,オッカムのカミソリのところで言及されるmaximum parsimory principle(のことだと思う)は,「最節約原理」が定訳だと思うが,「けちの原理」という表現をしている。また,逐一出典を明らかにして厳密な引用をする煩雑さを嫌ったのか,随所に「……らしい。」という表現が出てくる。本書で取り上げられる(今日科学の主流となっている実験室での分析を批判し,それよりも大事だとして擁護されている)疫学の専門家にとっては,逆にその辺りは引っ掛かってしまうところだが,確かに一般の人にとって読みやすさを上げる効果はあると思う。ただし,疫学をちゃんと学びたいなら,本書に留まらず,まずは同じ岩波科学ライブラリーシリーズの佐藤俊哉『宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ』,次いで,本書でもたびたび引用されるRothmanのModern Epidemiology――とまでは言わないが,同じRothmanが初学者向けに書いたEpidemiology: An Introduction(本書とは共通する主張も多いが,理論の一般化可能性についてなど,いくつかの点で異なっている。何箇所か些細な誤訳があるけれども『ロスマンの疫学』というタイトルで翻訳も出ている)を読んだ方がいいと思うし,DAGについては,同じ岩波書店から出ている「統計科学のフロンティア」シリーズの第5巻『多変量解析の展開』,なかでも佐藤俊哉・松山裕「第III部 疫学・臨床研究における因果推論」を読むべきだと思う(参考文献として引用文献がリストされているが,引用しなくてもいいから,これらも参考文献として挙げてほしかった)。本書の内容は,たぶん科学哲学の歴史に触れなくても,疫学の枠内で済ませることができたと思うし(因果推論について,ロスマンからの引用に基づいて噛み砕いて説明するのでも十分だと思う),その方がコンパクトに誤解無くまとめることができただろうが,敢えて科学哲学に踏み込んだことで,より広い読者にインパクトを与えることができたとは思う(そういう意味では,本書はとても欲張りな本だ)。しかし,疫学に対するのと同じ程度に大胆に簡略化された記述に対して,科学哲学の専門家の怒りを買ってしまったのだろうか,川端ブログの本書の紹介記事のコメント欄で,科学哲学者の伊勢田さんとの対話というか論争が続いているが,たぶん伊勢田さんの最初の細かすぎる突っ込みは,怒りによるのだと思う。なお,4つの因果モデルとして,DAGとsemと因果パイとcounterfactualを並列させているコラムには違和感を感じた。モデルとしての水準が違うので並列させるのは無理があると思う。まあ,それも含めて短い紙幅に詰め込み過ぎなので,せっかく一般向けに書いたはずなのに不消化になってしまうのではないかと懸念される。
- RjpWikiの初心者QA掲示板13に昨日書きこまれた方の最初の行はどういう意図なんだろう。まあどうでもいいことだが。
- 人口学会からweb掲載仕事が来た。北関東医学会からセミナーの案内が来た。科研の分担研究者宛に,明日までには最低限タイトルを決めてお知らせしなくてはならない。時間が足りない。そういえば,月曜の講義準備もしなくてはならないのだった。どうしよう。
- それはそうと,今日はエース吉見投手が完封してマジック2となった。明日胴上げか?
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