リトグリのアルバムは2枚目としてカバー曲からなるCDが付いてくるので,将来的にそういう形でCDに収録して欲しいと思う曲について書いてみる。「期待する」となっているが,既に実際にカバーしてしまった曲も含む。
「リンゴ追分」
リトグリが4月5日に東京ドームで行われる<美空ひばり生誕80周年記念 だいじょうぶよ、日本!ふたたび 熊本地震・東日本大震災復興支援チャリティーコンサート>でカバーする曲が「リンゴ追分」と発表されたので(地上波で放送してくれるのは素晴らしい),これまでのカバーを検索してみたところ,このブログエントリで紹介されているDon DrummondやYusef LateefによるJazzカバーにも味があり,EGO-WRAPPIN’のスカっぽいカバーも素晴らしかった。
実はかつて日本コロムビアから,リンゴ追分・これくしょんというコンピレーションが出ていたが品切れで,新品は言うまでもなく中古の扱いもどこにもないのが残念だった。入手した人が気に入って中古市場に出てこないのだろう。TSUTAYAのレンタルはあるが,音源のダウンロード販売もされていないようだ。
もっとも,moraでリンゴ追分を検索したら,さまざまなカバーが見つかったので,いろいろ買ってしまった。
UAは3パタン出していて,中ではDISCO STYLEがレゲエっぽくてUAの声が生かされたアレンジだと思った。吉井和哉はブルージーなロックだったが語りを入れてきたのが刺さった。サザンオールスターズと山崎ハコは,かなりオーソドックスなカバーといえようか。サザンオールスターズ版は桑田佳祐のソウルフルな歌唱が迫ってくるが,ピアノと管とパーカッションの演奏は凄くクールで,終わるのが惜しかった(もっと長く演奏を聴いていたかったという意味)。また,山崎ハコがストレートな歌唱でオリジナルにかなり忠実なカバーをしていて,素朴な感じの自然で感情のこもった語りを入れてきたのはぐっときた(エンディングは予想外だったが)。上妻宏光の三味線をバックにして由紀さおりが歌うバージョンは民謡風だがどことなく上品でもあり,かつ良く聴くと東北っぽい情念も感じられる名演。インストではピアノとチェロのデュオであるアウラ・ヴェーリス,パーカッショニストのはたけやま裕,ヴァイオリンの幸田聡子,尺八の藤原道山,フルートの増田景子,ピアノの大西順子を買った。アウラ・ヴェーリスはチェロの低音の響きに持って行かれる。さすがに姉妹デュオだけあってピアノとのバランスも良い。幸田聡子版はヴァイオリンの音色にも聞き入ってしまうが,それに絡むピアノに色気があって絶妙。はたけやま裕版はハイレゾを買ったが,様々な楽器を駆使して演奏されており(ウドゥ,ダラブッカ,カホン,ウェーブドラムなどを使っているそうだ),パーカッションの終盤の盛り上がりが凄いけれども,そこからエンディングに向かうクール・ジャズっぽい展開はあまりにも格好良い。大西順子版はVillage Vangardでのライブで演奏時間が20分半もある大作でインプロヴィゼーションが長く,これはこれで良いのだが,独特な作品。増田景子版はフルートの切れ味が良いばかりでなく展開にも意外性があり,素晴らしい演奏だった。
さてこういった素晴らしいカバーがなされている「リンゴ追分」だが,リトグリに何を期待するかといえば,まず伴奏は三味線が最高なので,今からで間に合うかどうかわからないが,例えば遊郭ディスコの川嶋志乃舞さんと共演して欲しい。その上で,「りんごーのーはなーびらがー かぜーにーちったよなー つきよにー つーきーよーにー そっと えーー」の部分を一度目はアサヒのリードで昭和歌謡っぽく歌い,二度目は同じメロディをかれんとmanakaでUAのDISCO STYLEかEGO WRAPPIN’みたいなスカっぽい感じで歌いつつMAYUに上でハモって欲しい。そこから三味線インプロヴィゼーションを入れた後で一瞬の無音,そこから「津軽娘は泣いたとさ,辛い別れを泣いたとさ」のところを芹奈と麻珠のリードでアカペラで演って欲しい。そこから最初と同じフレーズを再び,今度は6人でフェイクを自在に入れつつ6人とも違う音を出すハモりを展開して終わるというのはどうだろう……と,勝手に妄想してみたが,たぶんこんな想像は軽く超える演奏をしてくれるんだろうな。で,将来的にはCDにも収録して欲しい(ってライブの前から妄想しすぎか)。
(追記)
「リンゴ追分」は,インディーズも3枚買っていて,うち1枚は未着だが,先着した2枚を聴いてみた。SUGEEの「UMI NO RINGO」1曲目は,打楽器的な三味線伴奏でホーミーのような独特の男声歌唱で面白いが,まあ想定内か。しかし,Cokuriの「kagomekagome」4曲目“RINGO OIWAKE”がぶっ飛んでいた(リンク先はYouTubeにアップロードされていたライブっぽいのだが,楽器が後ろにあるのにカラオケで歌っている感じなのが何とも微妙な……)。なかなか綺麗なアカペラの出だしは,まあ普通に良いのだけれども,「ええーええー」の後で一瞬の間を置いて”Every blossoms …”(注:もしかすると,”Apple blossoms …”と歌っているのかもしれない)と歌詞は英語になるしギター伴奏はまるでボサノバだし,まるで別の曲のような変貌を遂げる。このアレンジは格好良い。インディーズなせいか,歌詞カードというものもついていなかったので,”Tsugaru-musume was crying to the night”には吃驚した。なんだか癖になってしまい,AXON MINIに入れてからUSB Audio Player Proで,バスに乗っている間から研究室に着くまで10回以上リピートしてしまった。本来は和風であるものを,こんなに格好良く演奏してしまう感覚って何かdéjà vuがあるなあと思ったら,これはあれだ,Goosehouseのジョニー,さやか,ワッシュウによる「俺ら東京さ行ぐだ」のカバーだな。
YouTubeにはリンゴ追分 アラゲホンジ(Live)もあって,これはこれで祝祭空間としてはありかも。ただ,やはり別離の寂しさを歌う曲だから,ちょっと違和感があるのは否めない。もちろん,寂しさや哀しみを祝祭的に笑い飛ばそうという解決の仕方は昔から日本の田舎にあるわけだし,『満月の夕』で中川敬が「かなしくて すべてを笑う」と唄うのに被災地の人々が共感したのもそういうことだと思うけれども。
Jazz系のカバーはさらにたくさんあって,AEGK0725 (3)”RINGO-OIWAKE” Hibari-Misoraとか,Espresso Atlantico – Ringo Oiwakeとか,Aaron Germainによる演奏(リンク先動画では後半)とか,Isis Akagi – música Ringo Oiwake(ヴァイオリンに味があるし,ボーカルのたぶん日系ブラジル人と思われる方の歌も台詞も素晴らしい)とか,“Ringo-Oiwake” Emy Trio(リハーサル無しでのセッションと書かれているが完成度高いと思う)とか,日本に限らず世界中で人気だ。数ある美空ひばりの曲の中でもこれをカバーするというのは,いい狙いかもしれない。
リンゴ追分絡みで検索していたら,全日本リンゴ追分コンクールというイベントが2017年5月13日に弘前市民会館で行われることを知った。『美空ひばりの「リンゴ追分」1曲にこだわったコンクール』を謳っている。「リンゴ追分」を審査するリンゴ追分部門と、“リンゴ”“アップル”という言葉が歌詞に出てくる歌(オリジナルは不可)を審査するアラカルト部門があるそうだ。凄すぎるぞ,リンゴ追分。
(さらに追記)
さすがにリンゴ追分を聴きすぎたので,もう少し軽やかな音楽を仕事BGMにしたくなって,今日はGoosehouseのHEPTAGONを流している。その目的だと「恋と雨」とか「ALL MY LOVE」とか「あの日の歌」がいい感じ。
しかし,一昨日未着だったインディーズ版リンゴ追分の最後の1枚,Kaori Suzuki cantare Ocarina Live!というオカリナ演奏のライブが届いてしまえば,またリンゴ追分の世界に入るしかないのだよなあ。聴いてみたら独特の味わいがあって,これまでに聴いたどのリンゴ追分ともまた別物であった。オカリナって実は凄い楽器なんだなあ(YouTubeを見ると,剣の舞とかトルコ行進曲付きとか,オカリナとは信じられないほど速い演奏をしている人がいたのも驚きだった)。
関西で主に活動している和楽器だけの演奏ユニット響喜による「りんごメドレー」のライブ映像を偶々見つけた。ちょっと録音が悪いのが残念だが,面白いパフォーマンスだと思う。
4月9日に放送されたリトグリのカバーを見た感想
録画しておいた特番は早送りしてリトグリのリンゴ追分だけ視聴。出だしから芹奈とアサヒのロングトーンとロンド風の変幻自在なコーラスで酔わせてくれたアカペラ部分は文句なしに素晴らしかったが(ただ,「えええぇ……」のところが「うううぅえええぇ……」となっていたのは,最初アサヒが歌詞を間違えたのかと思ったが,麻珠のコーラスも「うううぅえええぇ……」だったから,敢えてそうしたのだろう。理由はわからないが),楽器が入ってからはスカっぽいリズムが速すぎて難しすぎたかなあ(一番近いのはYouTubeに載っているEGO WRAPPIN’の2013年のライブかと思うが,あれとも若干違う,これまでない斬新な編曲だったとは思うし,こんなのリトグリしかできないと思うし,もしかしたら将来の世界進出を狙って,わざとああいう凝ったリズムにしたのかもしれないが,たぶん会場の聴衆の多くはついていけなかったのではなかろうか。とくに楽器のビートと違うテンポでコーラスを重ねる「えええぇ……」のところとか)。どうせEGO-WRAPPIN’風にするなら,楽器が入った頭からmanakaとかれんのシャウト全開でやって欲しかった気もする。そのまま最後まで行ってから「ダッダッダーダン」というスキャットで終わるエンディングは格好良かったが,「津軽娘は泣いたとさ,辛い別れを泣いたとさ」の後は,三味線か尺八の演奏をバックにして芹奈かアサヒが語りを入れ,一瞬無音にしてから最後にもう一度,出だしと同じメインテーマを麻珠とMAYUのリードでアカペラで出だしとは違うコーラスで聴かせるというアレンジだったら,より聴衆の心を鷲掴みにできたのではないかと思う。せめて,もう少しスローテンポにした方が,リトグリのロングトーンやハーモニーの美しさが際立ったと思う。楽器の速いビートが醸し出す不穏さが別れの予感を感じさせるという狙いなのかなあ? と何度も聴き直してだんだん良さがわかってきたが,かなりチャレンジングだった。
「ポリリズム」
Japan A Cappella Movement 2014でのパフォーマンスで,Yesterdayのアカペラに続き,ヒューマンビートボクサーのdaichiさんとセッションしていたPerfumeのポリリズムのカバーは鳥肌が立つほどの名演であった。一時You Tubeにアップロードされていたのだが,見えなくなってしまったのが実に残念だ。
2017年1月22日にNHKのバナナゼロミュージックという番組で演奏されたのだが,半ば遊びのようなビートボックスのやり方をバナナマンとか乃木坂に教えて歌を被せるという,大変勿体ない使い方だったのが残念だった。せめて,あの全体セッションの後でも良いので,daichiとリトグリだけで本気バージョンをやって見せて欲しかった。
「恋とマシンガン」
いまやってほしいのは,フリッパーズ・ギターの「恋とマシンガン」だな。あの曲は六部合唱ができそうだから,チャラン・ポ・ランタンやコトリンゴによるカバーを軽く超えてきそうだ。
「ぼくらが旅に出る理由」のカバーが凄かったINSPiも「恋とマシンガン」をやってくれないかなあ。(鵯記1396)
(追記)
チャラン・ポ・ランタンといえば,ぼくが知ったのは2016年5月のNHKニュースだった。ジャンルとしてのチャラン・ポ・ランタンを認知されたいという気概は素晴らしいと思った。しかし,大枠で言えばななきさとえ(リンク先はYou Tubeにアップロードされているライブ映像)がやっていたレトロ歌謡ロックに近いんじゃなかろうか。『赤色人形館』と『パンドラの呪文』の2作ともLPを買って良く聴いていたなあ。ていうか,この2人,ななきさとえの再来かと思うほど雰囲気が似ている。もし娘さんだったりしたら面白いなあ。まあ違うと思うけど。YouTubeは凄くて,ななきさとえが津秦一郎と組んでより無国籍化したMAHALIK HALILIのMVらしきものも載っていた。いまチャラン・ポ・ランタンが脚光を浴びているということは,ななきさとえは30年早かったということなんだろう。
2017年3月11日のバナナゼロミュージックは,チャラン・ポ・ランタンとリトグリとゴスペラーズが揃って登場していながらセッションしないという,大変勿体ない構成だった。毎回出演者全員でセッションのようなことをするのだが,歌の下手なアイドルとか芸人は歌に混ざって欲しくない(とはいえ,その前の週のバナナマン日村のキーボード演奏にH ZETTRIOが絡むセッションは,それなりに聴き応えがあったので,ちゃんと聴けるレベルの完成度にしてくれたら混ざってもいいし,MBSソングタウンでSEASONS OF LOVEをリトグリと幸せそうにハモっていたエハラマサヒロみたいな歌うま芸人ならもちろんOK)。今回のメドレーの中では,「アンパンマンのマーチ」をあの3人ではなくてチャラン・ポ・ランタンが演ってくれたら全然違う完成度になったであろうし,「上を向いて歩こう」はリトグリだけの本気バージョンを聴きたかった(せめて芸人とアイドルが混ざらないバージョンを聴きたかった)。
「Joyful, jouful」
今日のちちんぷいぷいでリトグリがCan’t take my eyes off youをカバーした時,1967年にフランキー・ヴァリがヒットさせ,1982年にBoys town gangによるディスコアレンジのカバーで大ヒットしたと紹介されていたが,歌詞がCan’t take my eyes off of youとなっていたところからすると,ベースはLauryn Hill版なのかとも思われる。曲のアレンジもLauryn Hill版の方が格好いいし,リトグリに合っているような気がするが,さすがにそれだと一般視聴者にはわからないから,アレンジはBoys town gang版に合わせたのだろう。勿体ないが仕方がない。manakaは”I can’t take my eyes off of you.”とはっきりわかるように歌っていたし,コーラスでも敢えて”off of”とはっきり歌っていたから,たぶんLauryn Hill版の歌詞であることには間違いないと思う。芹奈のパートでPerdonという字幕が出たのは英語なら当然Pardonが正しいスペルだが,もしかしたらスペイン語話者が多い地域で歌われることを想定して,敢えてPerdonというスペルにしたのだろうか? もしそうだったら凄いが,Lauryn Hill版の歌詞もそこはPardonというスペルだから,たぶん単なるミススペルだろう。
ところで,Lauryn Hillといえば,何といっても「天使にラブソングを2(Sister Act 2)」で親には隠していたが実は歌うことが大好きな高校生を演じて,クライマックスのJoyful, joyfulでリードボーカルをとる姿と力強い歌声が強い印象に残っているのだが,このアレンジのJoyful, joyfulもリトグリにやって欲しい曲の1つだ。(鵯記1400)
2017年1月24日のちちんぷいぷいで披露してくれたJoyfulアカペラメドレーが武道館と同じアレンジだったとすると,やはり「天使にラブソングを2」アレンジはやってくれていないのだなあ。まあ最後は「じょいふる」と「HAPPY」のマッシュアップまで行ってしまうJoyfulアカペラメドレーは,それはそれで素晴らしいので良いのだけれども。
芹奈はリトグリ加入前に,「天使にラブソングを2」のアレンジのJoyful, joyfulを演ってたんだな。このアレンジをリトグリにやって欲しいんだよなあ。ラップはかれんで,Lauryn Hillが演じていたリードボーカルはmanakaで。芹奈も今の方が声が出るから,あの少年の高い声のパートのままで「天使にラブソングを2」に負けないと思うんだが。実は平原綾香も全ソロパートを1人でやっていて,それはそれで凄いパフォーマンスなのだが(一万人の第九でも演っていた),どうしても限界があるよなあ。(鵯記1490)
「Things to hide」
ふと思ったが,Little Glee MonsterとLittle Creaturesに共演して欲しいなあ。Things to hideなんて演ってくれたら最高なんだが。Littleつながりなだけではなく,高校生の時から非常に完成度が高かった点も共通している。
もちろんLittle Creaturesは作詞作曲演奏全部するグループだから,当時から素晴らしい楽曲を作り,アイディアに溢れた演奏をしていたのも凄かったわけだが,何よりもずっと同じメンバーでもう25年以上やり続けているのが凄いと思う(リトグリもそれくらい続けて欲しい)。
彼らにCatch me if you canとかIf I ain’t got youを聴かせたら「やりましょう」となったりしないだろうか。もちろんリトグリのスタッフ側からオファーしてくれないと始まらないが,UAやクラムボンの原田郁子とは共演しているから,満更可能性がないとも思えない。(鵯記1489)
「ごはんができたよ」
矢野顕子の曲は『Japanese Girl』に入っている「電話線」なんかもいい曲で,演奏もLittle Feetだし(”Little”つながりという意味で),リトグリがカバーしてくれたらいいなあと思うのだけれども,何といっても使われる音域の広さ,テンポの変化,フェイクの入れ方の自由度,素晴らしく深みがあって愛に溢れた歌詞という点から,「ごはんができたよ」をカバーして欲しい。2017年1月にNHKのSONGSでTIN PANのメンバーと展開したパフォーマンスは,還暦を過ぎてもまったく衰えないどころか新しい魅力が増えたような気さえした。できればアカペラでカバーして欲しい。どういうアレンジの「ごはんができたよ」になるのか聴いてみたい。
もっとも,今のリトグリが「春咲小紅」を歌ってくれると,それはそれで素晴らしいカバーになると思う。KYLYN LIVEで歌っていた「在広東少年」もいいと思うが,コーラスアレンジが難しいだろうなあ。
「悲しみの果て」
CHiCO with HoneyWorksのセカンドアルバム『私を染めるIの歌』の8曲目に「シュウマツWorker feat. かれん(Little Glee Monster)」としてかれんがソロ参加するというニュースに続いて,エレカシのトリビュートアルバムにmanakaが参加するというビッグニュースがあった。リンク先サイトで一部試聴できるのが素晴らしい。
メジャーデビューして間もない頃,最多得票したメンバーのソロ曲をCDに収録するという褒賞付きの,最強歌少女決定戦エキシビジョンマッチという企画があって,manakaはそこでもこの,エレファントカシマシ「悲しみの果て」を歌っていた。ともかく低音のパワフルさが凄くて,14歳でこんな風に歌えるという天才性に衝撃を受けたが,トリビュートアルバムに収録される歌唱と思われる現在のものとは随分違う。現在は良い意味で歌唱が深くなっていて,伸びやかさも増しているように思われた。ただ,試聴に含まれていない部分に3年前以上にパワフルな歌い方も入っていることを期待したいが。
こうやってソロだったり,ザ・ピーナッツのトリビュートアルバムへのmanakaとアサヒの参加のような2人での参加だったり(これも2人ずつでのカバー企画のときの歌唱と,アルバム収録版は随分違うものだった。両方いいのだが),miwaのfighting-φ-girlsへのたしか3人芹奈,manaka,麻珠,MAYUの4人でのコーラス参加(出典;残念ながらショートバージョンMVには誰も出演していないようだが)だったりといった活動もどんどんやれば良いと思う。そうやって活動を広げた5人が集まって素晴らしいハーモニーを醸し出すというスタイルは理想かも。
2018年5月25日金曜日夜,NHK-BSの「カバーズ」という番組でエレカシが取り上げられ,manakaとエレカシ(と9mmボーカルの菅原さん)の共演が実現した。manakaの歌唱を聴いたエレカシの宮本さんも言われるように,フェイク以降の展開が凄くて,それまで静かに溜めてきた悲しみのエネルギーを爆発させるかのような,素晴らしいパフォーマンスだった。
ジャズなどのスタンダード
The Boswell Sistersの「Rock and Roll」は,リトグリにやって欲しい曲の1つ。
Little Glee Monsterにかんするブログの記事「貿易風にさらされて - マザーグース (1978)」で,マザーグースというグループに興味が湧いたのでCDを探してみたら,タワレコオンラインで『インディアン・サマー』と『パノラマ・ハウス』が注文できた。楽しみ。(鵯記1460)
結局『インディアン・サマー』は品切れで買えず,『パノラマ・ハウス』だけ届いたが,マザーグースはコーラスだけでなくて作詞作曲演奏全部するグループだったので,名前から言ってもリトグリというよりはGoosehouseのお母さんという風に位置づけられると思う(「おつなゲーム」という曲はジョニーのフィドルでGoosehouseがカバーしてくれたら楽しそう)。ただし,中に入っていた,アレンジとバックバンドを山下達郎がやったという「マリン・ブルー(シングルバージョン)」は,リトグリが演ってくれたら新たな魅力が出そうな佳曲だったので,ここにメモしておく。
リトグリにやって欲しいといえば,あと,The Chordettesの”Mister Sandman”(この2人 ― ギタリストを入れたら3人だった ― 多重録音カバーは凄いと思う)もだな。あとは,美空ひばりさんがカバーしていた,Lover, come back to me.(パスピエがEccentric person come back to meとしてカバーしたバージョンも良い)とか,Take the A trainも良いが。(鵯記1489)
(2019年5月27日追記)昨夜のDaisy Holidayにはmanakaが二度目のゲスト出演(来週も続く予定とのこと)を果たしたのだが,細野さんが次々に紹介される1950年代から60年代の曲の中に,この,The Chordettesの”Mister Sandman”が入っていた。いや,正確に言うと,最初はThe Chordettesの何か別の曲を紹介されたのだが,manakaが”Mister Sandman”を聴きたがっていた様子だったのか,やはりこれですかね,といって”Mister Sandman”が掛かったのだ。そのときmanakaが披露したエピソードによれば,リトグリ結成初期の頃,リトグリとしてどんな歌を歌いたいかメンバーが尋ねられたことがあり,そのときにmanakaが持っていったのが,この”Mister Sandman”だったとのこと。当時はスタッフから速攻却下されたそうだが――まあ,無名の中学生女性ボーカルグループがカバーするには渋すぎるので,Lady Gaga(”Born this way”)やThe Jackson 5(”I want you back”)など,有名どころのカバーを練習させたスタッフは戦略的には正しかったのだろうが――,何といってもコーラスワークが美しい曲なので,いまのリトグリがやったら素晴らしいできばえになるんじゃないかなあ。
Eテレ特番
2019年1月1日に放映され,その後も何度も再放送されているEテレの特番「ココロの大冒険」で,往年のEテレ名物番組で流れていた曲から,「ハッチポッチステーション」のテーマ曲と「パジャマでおじゃま」をリトグリがカバーした。「パジャマでおじゃま」の方は,リトグリは原曲やオリジナルのピッチに拘ったカバーが多いから,「パパパジャマ」の男声ベースをかれんがやるかなと期待していたが,原曲とはまったく違うコーラスアレンジで吃驚した。これも亦良し。他の歌手も原曲とは違うアレンジが多かったから,そういうコンセプトの番組だったのかもしれない。「ハッチポッチファミリー」は,出だしのMAYUのスイングジャズっぽい歌唱が抜群に良かった。あれだけでグッチさんが醸し出していた洒脱な雰囲気が甦ってきた。そこにmanaka,かれんと順番にハモっていくのも素晴らしくて,さらに芹奈とアサヒの歌唱が続いてから,ドゥーワップ風のコーラスをつけながら微妙に表現を変えた主旋律が繰り返される展開,最高としか言い様がない。
こういう子供番組で使われていた曲だけ集めたカバーアルバムを作ってくれても売れると思う。
Tribute to MISIA
リトグリのメンバーは,ほぼ全員,小さい頃からMISIAの曲を歌っている。記憶にもないし記録も見つからないが,たぶんアサヒも何かはカバーしたことがあるんじゃないだろうか。
Coversでの選曲がCoversとしては勿体なかったのと,次回が井上陽水特集だったので,もしMISIA特集をするなら,しかもリトグリだけでやるなら,という妄想が溢れた。とりあえずメモしておく。
「果てなく続くストーリー」(manakaと芹奈が交互にリードを取って,リトグリが6人だった頃カバーしていたパフォーマンスが絶品だったが,関ジャニの仕分けで芹奈ソロでもやっていた)でオープニング,「キスして抱きしめて」(School Of Lock企画で全員がソロ曲をやって人気を競ったとき,かれんソロでの歌唱に驚いた),「DEEPNESS」(デビュー前にコンテストの中学生部門で優勝したMAYUソロは素晴らしかった),「逢いたくていま」(小学生のときのmanakaソロのパフォーマンスに驚嘆した)と続けて,たぶんアレンジしたらアサヒに似合うと思う「あなたにスマイル;)」(『LOVE BEBOP』の1曲目。オリジナルだとサビはパワーコーラスっぽくなるので,かれんやmanakaにも似合うと思うが)か「LUV PARADE」をやってもらってから,最後に全員で「We are the music」でエンディングとか最高じゃないだろうか。