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国際情報検索

Latest update on 2024年3月18日(月).


授業のテーマと到達目標

国際保健分野では英語による情報検索とその読解、分析がきわめて重要である。

本講義では、実際の国際保健分野における問題を各自選んで系統的に文献検索を行い、レビュー論文を書くことを目的とする。そのため、WHOやFAOなどの国際機関のレポートやニュースリリース、PubMedやGoogle Scholarなどの文献データベースで検索可能な学術雑誌掲載論文などの情報源から適切な情報を得る方法、文献管理ソフトを使ってその情報を整理しながらまとめる方法などについて説明する。まとめたレビュー論文を参加者間で討論することで理解を深める。

授業の概要と計画

以下日程ごとに講義内容を示す。

[4/9] この講義の概要

情報検索の留意点
レビュー論文とは
原著論文の例レビュー論文の例
システマティックレビューとメタアナリシスのためのPRISMA声明:homePRISMA 2020 StatementPRISMA 2020 Checklist (MS Word document format)チェックリスト日本語訳),PRISMA 2020 flow diagram(フローチャートを作成できるRパッケージPRISMA2020とそのShinyアプリが利用できる。フローチャートのひな形日本語訳
文献管理ソフトの使い方
この講義のために作成した資料:レビュー論文を書くには,Mendeley,JabRef, Zoteroなど,文献管理ソフトを使うと便利である。論文を書いたときに,さまざまな形式で引用文献として番号や著者名+発表年の形で論文本文に挿入し,論文末尾に引用文献リスト一覧を付すことが容易になる。
文献管理フリーソフト情報:Mendeley日本語による紹介記事元ヘビーユーザによる記事),JabRef日本語による紹介記事),ReadCube日本語による紹介記事別の紹介記事),Zotero公式日本語ガイド石川県立大学流域環境学研究室「Zoteroを使って卒論を書こう」,北欧研究者両角達平さんのblog記事【卒論・レポート対策に】文献管理ソフトZoteroが最強すぎたので使い方をまとめました。文献情報とPDFファイルをうまく管理する(zoteroとzotfile)(大舘暁研究室)

[4/16] UNHCR、UNICEF、FAOから難民や子供の栄養・食糧問題を知る

演習課題
pdf版
Word版
講義中にまとめた検索結果
講義中にまとめた検索結果(pdf化したもの)
情報源
飢餓については,WFPの数字で見る国連WFP2020ハンガーマップ2021が参考になる。後者では慢性の飢餓の定義としてFAOのPoUが参照されている。FAOの世界の食糧不安の現状 2015年版(日本語訳)世界の食糧安全保障と栄養の現状 2019年版(日本語訳)世界の食糧安全保障と栄養の現状 2021年版(英語)を参照。
肥満については,GBD2013の結果が掲載されているNg M, et al. (2014) "Global, regional, and national prevalence of overweight and obesity in children and adults during 1980–2013: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2013", Lancet, 384(9945): 766-781.などを参照。
世界の糖尿病の状況についてはIDFDiabetes Atlas(2022年4月現在,2021年の第10版が最新)を参照。
ヨーロッパにおけるシリア難民やウクライナ難民の健康問題については、WHO-EUROの移住と健康の特集ページがわかりやすい。一般に感染症が持ち込まれるリスクは低く,むしろ生活環境の変化や移動・難民生活のストレスなどによる慢性疾患や暴力や外傷が大きな問題と書かれている。あとは,2016年末にCDCが発表したSYRIAN REFUGEE HEALTH PROFILEなど。ウクライナ難民については、BMJに載っていたOpinion Paperとか、Lancet Regional Health: Europeに載っていたこのコメントとか、このコメントも参考になる。

[4/23] WHOと米国CDC,ProMEDメール等から感染症情報を知る

演習課題
PDF版
MS-Word版
☆なお,Zoteroの使用言語の設定は,ツール>環境設定>エクスポート>言語(デフォルトのフォーマットの下)で可能ですし,引用における使用言語はスタイルを選ぶダイアログで変更できます)
講義時間中に検索してまとめた解答例MS-Word版
講義時間中に検索してまとめた解答例PDF版
情報源リンク
World Health Organization
WHO神戸センター
WHO疫学週報(神戸大学大学院保健学研究科の事業として1999年から2017年まで実施した,Weekly Epidemiological Recordの抄訳)
Center for Disease Control and Prevention, USA (CDC)
国立感染症研究所・感染症疫学センター
ProMED-mail国際感染症学会により提供されている,新興感染症情報がメールで得られるプロジェクトのサイト)

[4/30] WHOや米国NCI等のサイトと論文から世界のがんや糖尿病などの慢性疾患対策について知る

演習課題
MS-Word版
pdf版
講義時間中に検索してまとめた解答例MS-Word版
講義時間中に検索してまとめた解答例PDF版
参考サイト
WHO Health Topics | Cancer
WHO Health Topics | Diabetes
WHO Health Topics | Hypertension
International Agency for Research on Cancer (IARC)
USA National Cancer Institute (NCI)
International Diabetes Federation (IDF) | IDF Diabetes Atlas
International Society of Hypertension (ISH) | Practice Guidelines

[5/7] レビュー論文あるいはメタアナリシスの読み方と書き方についての実践演習

基本的にここから3週間は自力で作業を進めつつ、随時メールで相談するという形で進める。

実際にテーマを決めて文献検索し,文献管理ソフトで整理しながらレビュー論文を書く。
(5-1)テーマ選定:インフルエンザパンデミック,先進国における風疹,薬剤耐性結核,コレラの流行,天然痘の撲滅,バイオテロ対策,ポリオ対策,マラリア対策,都市の健康格差とスラムの問題など,国際保健上,各自が関心をもつテーマを選定する
(5-2)古典的なテーマであれば教科書を読む必要がある。比較的新しいテーマであれば,そのテーマについての良いレビュー論文を探して読む。その論文で引用されている論文のうち重要なものは原論文における記述が適切に引用されているか確認する(最低限,PubMedなどでabstractは見る)。さらに,そのレビュー論文を引用している,その後の研究論文を検索して読む(Google Scholarでも可能)。もし既存のレビュー論文がなければ(あるいは,あったとしても,その論文より新しい時期について),関連する原著論文を系統的に検索して(方法のところに,どういうデータベースで,どういうキーワードを指定して,どの期間の文献を検索したかという情報を明記する必要がある。使ったデータベースによってはSQL文を記載しても良い),すべて読む(あまりに膨大な場合は,適切に除外基準を設定し,読む文献を絞っても良いが,abstractくらいはすべて目を通す必要があるだろう)。
(5-3)そのテーマについてこれまでに何が分かっていて何が分かっていないかをまとめる。その過程で可能ならメタアナリシス(同じ指標値と考えられるデータを文献から抽出し,EZRなどのソフトで解析することによって,対象や時期の違いを超えて共通した関係性がみられることを示せれば強いエビデンスとなる)を行う。
(5-4)レビュー論文を書く。Introductionとして,そのテーマがなぜ重要なのかという背景と,このレビューが必要な理由を簡単に書く。Methodとして使ったデータベースや検索語を含む文献検索の方法・手順を書く。メタアナリシスならば統計手法とソフトウェアも書く。Resultとしては見つかった文献を適切に集約して内容をまとめる。メタアナリシスならばフォレストプロットなどを描き,要約統計量を計算する。Discussionとしては,まとめからわかったことが,Introductionで示した当該テーマに対してどのような貢献をするのかを先行研究を適切に引用しながら書く。
参考情報
神戸大学図書館 学術論文/雑誌記事を探すから,PubMed,Web of Scienceなど,神戸大学から検索可能なデータベースがリンクされている。
本格的にレビュー論文やメタアナリシス論文を書くなら、PRISMA2020に従って行うべきである。日本語版のチェックリスト抄録チェックリストフローチャートガイドライン解説を参照すると良い。

[5/14, 5/21]

この時間帯に限らず,論文のまとめ方についてメールで個別相談に応じる。

[5/28] レビュー論文発表・討論会

この日までにミニレビュー論文を提出すること。

成績評価と基準

各自の書いた論文・発表内容や他の発表者へのコメントなどから総合的に評価する。

履修上の注意(準備学習・復習、関連科目情報等を含む)

ある程度の英語の理解力は必要である。

オフィスアワー・連絡先

メールで連絡してください。

学生へのメッセージ

英語による情報検索は今後必須なので,多少英語が苦手であっても,頑張って参加することをお薦めする。

参考書・参考資料等

随時提示する。

キーワード

国際保健,情報検索


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