Top
個別メモ
Latest update on 2012年3月5日 (月) at 10:54:46.
【第1525回】 もう金曜(2010年2月5日)
- 日が経つのが速過ぎると思うのは年をとったせいか。5:50起床。往路あさま510号。朝食をとりつつ,見るとはなしにニュースを見ていたら,トヨタの役員がプリウスのブレーキが効かなくなるようにみえる現象について説明していた。回生ブレーキと油圧ブレーキの自動切り替えのタイミングによって起こる現象で,ソフトウェア的に改良したので大丈夫なはず,という説明だったが,そうするとたぶん両方のブレーキが効くという時間ができて,回生ブレーキによる充電効率は落ちるのだろう。最適なタイミングをとれるようなソフトウェアのチューニングは難しそうだ。事故防止にはとりあえず安全側にマージンを取っておく姿勢は正しいと思うが,もし自動切り替えのタイミングが難しいのなら,マニュアル化したらいいのではないか,つまり,回生ブレーキと油圧ブレーキを別のペダルにすればいいんじゃないかとふと思った(技術的に難しいのかもしれないが)。
- この話からの連想。人がなるべく判断を下さずに済むように便利さを追求したのが,さまざまな技術の発展の方向性だったわけだが,ぼくはどうにもこれが気持ち悪くて,仕組みが見える方が安心できる。オープンソースなソフトウェア好きなのも,たぶん同根なのだろう。自転車好きとかも。
- 実はこれはかなり本質的な点で,環境問題や健康問題の解決に向けてのキーとなる方法論の一つだと思うコンジョイント分析がまともに運用できるためには,市民一人一人が論理的に意思決定できる能力をもっていることが前提なのだ。環境問題や健康問題は誰もが当事者なので,瀬名さんが『インフルエンザ21世紀』で書いていた3つのフェーズのうち,第2のフェーズで妥協点を見いだすことに参加するのは,専門家だけではいけないと思う(そこで大事なのがリスクコミュニケーションで,そのためにサイエンスコミュニケータに活躍してほしいということは何度も書いた)。そのためには,技術は隠す方向にではなく,仕組みを見せる方向に進んでほしいし,一般市民は情報を読み解く力を訓練するべきだと思う。『ロスマンの疫学』は万人にとっての必読書だと思う。
- 第1のフェーズでファクトとして正しいかどうかを論じる限りにおいては,その議論が専門家コミュニティの外に出る必要はないのかもしれないけれども,ある専門領域でのファクトがメディアによって断面を報じられたとき,即座にそれに政策対応されて市民生活に影響がでるならば,別の専門領域からの反論は第2のフェーズとしてあっても不思議はないので,この段階でも議論は市民に開かれるべきだろうと思う(専門家の議論にとっては鬱陶しいかもしれないが,リスク論の理想は,たぶんそこに行き着く。もちろん,市民の側もきちんと議論を理解できるだけのリテラシーをもたねばならないという,考えようによってはかなり厳しい覚悟を要求しているわけだが)。このことがプリウスの話と直接リンクするわけではないが,文化の発展の方向性という意味ではつながりがあるだろうとも思う。
- ……などと打っているうちに高崎に着いてしまった。しまった。眠っておけばよかった。
- 学務関係の確認メールを多数打たねばならず,いろいろと時間がかかっているのだが,ともかく今日の最優先課題は来週月曜の試験問題作りだ。11:30から教室ミーティングがあったり,16:00から選択基礎医学実習の学生対応があったりしたが,その合間を縫って試験問題の雛型を作っていく。例題レベルの問題と言ってしまったので,あまり凝ることはできないが,14日の夜からソロモン諸島に調査に行ってしまうので,それ以前に成績を提出しなくてはいけないことを考えると,採点が簡単なように作っておくべきだろう。
- 問題の細部を詰めていたら(計算そのものとはあまり関係ないのだけれども,古いデータの単位の確認に手間取ったのが大きな原因で),完成させるのに結局21:30までかかった。去年Perlでシステムを作っておいたので,1人ずつ別々の問題を出すわりには少ない労力で済んだと思う。今日はもう時間切れだ。そろそろ帰らねば。
▼前【1524】(今日も小雪(2010年2月4日)
) ▲次【1526】(期末試験(2010年2月8日)
) ●Top
△Read/Write COMMENTS
Notice to cite or link here | [TOP PAGE]