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個別メモ
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【第1926回】 今日は論文チュートリアル(2011年7月13日)
- 日々何かイベントがあるので,なかなかroutine workが進まない。しかしそこは一歩ずつ進めるしかない。積み残し仕事である,某学会論文査読と,某データ解析仕事も,徐々にではあるが締め切りが迫ってきたのでやらねばならない。今日のイベントは14:10からの論文チュートリアル。
- 新幹線の発車時刻の都合で30分ほど空いたので,このところずっと気になっていた庭のビワの実を収穫しようと脚立をもって森に分け入った(いや,実は森でも何でもなくて,草刈りが足りないので下生えがひどいことになっているだけの小さな庭だが)。残念ながら2個以外はすべて野鳥に喰われてしまっていたが,残ったものを食べてみたら,ビタミンCの塊かと思うほど鮮烈な美味であった。来年は鳥より先に収穫しようと固く決意した。蚊に刺されて腕が痒いのは耐えられるが,耳が痒いのは耐えられないなあと思いつつ,出発前にメールチェックしていたら,US-CERNのalert mailが入っていて,今日はMicrosoft Updateがあることがわかった……と思ったら,自動的にダウンロードされて,インストールを促すアイコンが出てきたので,アップデートした。再起動が必要だったが,時間としてはそれほどかからなかった。
- 長野は比較的涼しいので自転車を漕いで長野駅に着くまで快適だ。往路新幹線では学士会会報No.889を読んでいた。特集はスポーツとのこと。巻頭で中京大学教授の梅村義久氏が「スポーツアカデミズム」と題して,現代の教育機関におけるスポーツ需要が体育からスポーツ科学に移り変わりつつあることに加え,最新のスポーツ科学の進展と現場での伝統的トレーニング法との軋轢や,科学の進歩に伴って科学的トレーニングとドーピングの境界がどんどん曖昧になってきていること(去年のサッカーワールドカップで日本チームがマスクと酸素ボンベを一体化させた器具で低酸素環境を作り出してトレーニングしていたそうだが,それがドーピングに当たるのではないかという議論があったそうだ。そういえば早実対駒苫の甲子園決勝戦のとき,早実が使っていた通称ベッカムボックスも,その後禁止になったんだっけ)が書かれていた。さまざまな実例に基づいた話で興味深かった。ただ,トップアスリートが正確な体脂肪を知りたくて研究室に来た時に水中体重秤量法による測定をしていることには驚いたが,頭は沈めなくても大丈夫で,肺の残気量もそこまでシビアに考えなくてもいいという研究が10年以上前にAm.J.Clin.Nutr.か何かに載っていたと思うので,以前よりは労力は軽減されていると思うし,継続的に測っているなら,何も水中体重秤量までしなくても,4極のBIAくらいでもいけるのではないかと思うが,それではダメだというくらい,厳密な体脂肪率を知る必要があるのだろうか。だとしたら,それはそれで凄い世界だと思うが,一種の信仰に近いもののような気がしないでもない。大変な労力を費やして全身の体脂肪を正確に求めるよりも,例えばMRIで身体の何箇所かの断面の体脂肪面積を測るとかの方が役に立ちそうな気がするが。次の「武道と修養」という記事は,現代の武道が国際的にどのように受け入れられているかの話は興味深かったが,やや具体性に乏しかった。特集以外で面白かったのは,秋篠宮文仁殿下の「鶏のビオストーリー」という記事であった。殿下はもちろん旧帝大卒ではないが,午餐会で特別講演されたので,その要旨を掲載したということだった。鶏の家禽化について知らなかったことが満載であり,タイとの共同研究の経緯の話も含めて非常に面白かった。講演の締めくくりとして語られた,子供の頃の夢をいまでも持ち続けているというのも素晴らしいと思った。
- そういえば,開成会会報も最近届いたのだが,講演録として東大新領域創成科学研究科で大気汚染研究をされていた(ということは人類生態の先輩である吉永さんの上司だった)柳沢幸雄先生(この4月から開成の校長になった? 明記されていなかったが同姓同名なのだ)の講演が載っていたのも興味深かったが,それ以上に,自分が中学の時に校長をされていた関口隆克先生の中原中也との交友(小林秀雄や灰田勝彦や岸田國士や,へぇ,この人たちってご近所さんだったんだ,と驚いた人々がぞろぞろ出てきた)にまつわる話(講演録だそうで,CD化もされているそうだ)が抜群に面白かった。中原中也が「トタンがセンベイ食べて……」という詩作に至るには,高橋新吉(ダダイスト新吉)の影響が大きかったとあり,大正時代に書かれたダダイスト新吉の詩が紹介されているのだが,これは確かに大変な衝撃だったろうと思う。彼はどうやってこの境地に辿り着けたのだろうか。天啓? 関口先生が引用されている詩を一部孫引きしておくと次の通り。
人間の及ばない想像を、石や鰯の頭に依って想像し得ると、杓子も猫も想像する。/DADAは一切のものに自我を見る。/空気の振動にも、細菌の憎悪にも、自我という言葉の匂ひにも自我を見るのである。/……
- 群馬はまだ陽射しはそれほどでもないのに猛暑で,新前橋から大学まで,利根川自転車道を通って自転車を漕いできたら背中に汗のシミができるほどであった。とりあえず昨夜KALDIで買ったマンデリンを淹れた。珈琲問屋で注文に応じてその場で焼いてもらう豆に比べると膨らみ方は今一つだが,たぶん豆としてはいい豆だ。粉になっている奴よりは遥かに美味い。さて,まずは採点の続きか。
- しかし意外にメールでの調整仕事(調査関連とか)が多くて採点が終わらない。地域保健実習対応,論文チュートリアル,社会医学勉強会と終わった時点で,まだ採点が完了せず。
- 20:00過ぎに採点が終わり入力して教授へ。問題はどれだけ下駄をはかせるかだな。
- そういえば,山本太郎『感染症と文明――共生への道』(岩波新書),ISBN 978-4-00-431314-4(Amazon | bk1 | e-hon)を読了したんだった。ちゃんと書評したい本なのだが,その前に付録の「麻疹流行の数理」の部分をRで再現しようと思ったがうまくできなかったので,東日本大震災の支援とかでお忙しいところ申し訳ないと思いつつも,質問メールを送ってみた。新書ということもあって詳細が一部不明なのだが,山本太郎さん(反原発活動をしていて仕事を干されてしまった俳優さんと同姓同名だが別人で,長崎大学熱帯医学研究所の教授をされている)が地球研の門司さんと訳されたギセックの『感染症疫学』に載っている「単純な」モデルに潜伏期間を加えて使われたのだとすると,本書に載っているパラメータならばもっと感染者数が増え,60日以内に感受性者がゼロに漸近すると思う。
- ふとNHKを見たら,長渕剛が「お家へ帰ろう2011」という,ロックな歌詞の曲を歌っていた。最近のNHKの番組作りは骨があるなあ。Googleで見つけたブログ記事にある背景は知らなかったが,日本の政治への怒りは伝わってくる歌唱であった。故・キヨシローがタイマーズで演っていたほどパンクではなくて上品だったが,たぶんかつてのNHKでは流れなかったであろう。
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