山口県立大学 | 看護学部 | 中澤 港
公衆衛生学 (Public Health)
(2002年度の内容説明)
対象学年・開講時期・教室
1年後期,F112
補講期間と試験期間の調整上,14回目以降の日程が若干変わったので注意されたい。
1月5日修正:非常勤をお願いしている小林教授のご都合により,第11回と第12回の内容が入れ替わったので注意されたい。
講義の目的と概要
本講義では,「公衆」,即ち,地域社会で普通に生活している人々,あるいは各種機能集団の人々の健康を保持増進するための理論と方法について学ぶ。
そのためには「健康」を定義することが必要であり,本当はそれが実に難しい。保持増進するための理論と方法といっても,社会条件や健康観が違えば違ってくるので,社会の文脈に即した理論でなければならない。だから,この講義を受ける際に常に注意して欲しいことは,その話で論じられている「公衆」はどういう集団を指しているのか,ということである。
一つだけ確かなことは,種類はいろいろであるにせよ,公衆衛生学の対象が個人ではなくて人間集団だということである。この点は多くの他の科目と異なるので,注意されたい。
講義の計画と内容
- 1.公衆衛生の概念と歴史(2003年10月2日)
- ▼テキスト第1章
- ▼第1回なので,全体の講義構想を説明し,公衆衛生とは何か,健康とは何かという問題を概観する(概要)。
- 2.公衆衛生行政(2003年10月9日)
- ▼テキスト第12章・第5章・第1章
- ▼日本の公衆衛生行政の仕組みと実態を中心に説明し,人口についても触れる(概要:2004年2月3日,学生の指摘により「環境保全行政」となっていたのを「環境保健行政」に修正)。
- ☆2003年10月16日は,月曜日扱いになるので,公衆衛生学の講義はありません。
- ☆2003年10月23日は,京都で行われる公衆衛生学会で発表のため,休講です。年明けに補講をします。
- 3.地域保健(2003年10月30日)
- ▼テキスト第5章
- ▼地域とは何かという話をしてから,地域保健センターと保健所の役割を中心に説明(概要)。
- 4.母子保健・学校保健(2003年11月6日)
- ▼テキスト第6章・第7章
- ▼母子保健統計や学校保健統計の説明を中心に(概要)。
- 5.老人保健・福祉(2003年11月13日)
- ▼テキスト第9章
- ▼まず老人保健の対象となる「老人」とは何かを考える。後は,制度・政策の説明を中心にする。(概要)
- 6.国際保健(2003年11月20日)
- ▼テキスト第11章
- (参考)日本国際保健医療学会編「国際保健医療学」杏林書院
- 概要
- 7.疫学・疾病予防学(2003年11月27日)
- ▼テキスト第2章
- (参考)日本疫学会編「疫学」南江堂
- 概要。2003年10月改訂された感染症予防法についての記載を含む。
- 8.物理化学的環境要因(2003年12月4日)
- ▼テキスト第4章
- 概要
- 9.生物的環境要因(2003年12月11日)
- ▼テキスト第4章
- 概要
- 10.産業保健(2003年12月18日:広島大学・小林教授担当)
- ▼テキスト第8章
- 11.精神保健(2004年1月8日:広島大学・小林教授担当)
- ▼テキスト第10章
- 12.人間と環境(2004年1月15日)
- ▼テキスト第4章
- (参考)大塚・河辺・渡辺・高坂・阿部「人類生態学」東京大学出版会
- 概要
- 13.衣食住の衛生(2004年1月22日)
- ▼テキスト第4章
- 概要。2003年7月に設置された食品安全委員会についての記載を含む。
- 14.環境問題と公害(2004年1月29日)
- ▼テキスト第4章
- 概要。後半をかなり追加。
- 15.環境管理とリスク管理(2004年2月3日)
- ▼テキスト第4章
- (参考)安井至編「21世紀の環境予測と対策」丸善,北畠・吉田「環境の評価とマネジメント」(岩波書店),中西・益永・松田「演習 環境リスクを計算する」(岩波書店)
- 概要。リスクアセスメントについてかなり追加。
- 試験(2004年2月5日)
- ▼ペーパーテストを実施する。
- ▼問題(pdf形式),回答用紙と授業評価用紙(pdf形式),解答例(pdf形式)
参考テキスト
- 鈴木庄亮・久道茂(編)「シンプル衛生公衆衛生学2003」南江堂
評価方法
ペーパーテストを行う。学問的観点からは記憶を評価するのは本意ではないが,科目の性質上,記憶も重要なので,持込み不可とする。本試験自体で100点を満点として採点するが,範囲が広いのでそれだけでは厳しいことを考慮し,出席点も追加する。なお,不幸にして(または努力が足りなくて)合格点に満たなかった場合は,追試験を行う予定である。
成績評価・授業評価
成績は素点に出席点を加えて計算したところ,受験者全員が合格であった。出席点を考慮しなくても下位2名以外は合格しているが,約束なので出席点も加えて評価した。問1,問2,問3の得点分布と評点の分布を下図に示す。
授業評価の結果は,以下の通りである。
評価項目 | 回答人数 |
講義内容の難度 | 難しすぎる 7 | やや難しい 23 | ふつう 13 | やや易しい 0 | 易しすぎる 0 |
講義内容の量 | 多すぎる 13 | やや多い 22 | ふつう 8 | やや少ない 0 | 少なすぎる 0 |
説明の速さ | 速すぎる 0 | やや速い 12 | ふつう 27 | やや遅い 3 | 遅すぎる 1 |
板書の読み易さ | 読みにくい 5 | ふつう 26 | 読みやすい 11 |
液晶プロジェクタ表示 | 読みにくい 9 | ふつう 19 | 読みやすい 15 |
配布資料の読み易さ | 読みにくい 17 | ふつう 21 | 読みやすい 5 |
主なコメントは下記のとおり。ご協力に感謝し,今後の改善に役立てたいと思う。
- 写真や図などをもっと取り入れてほしかった
- プリントの字がもう少し大きかったらよかった
- 何が大事なのかわからなかった
- もっと重要なことは何かっていうのを明示して欲しい
- プロジェクタや資料の絵が見にくかった
- プロジェクターの字が小さくて,たくさん書いてありすぎ
- ページあたりの内容を減らし,ページ数を増やしてほしい
- 板書がスクリーンで見えないときがあった
- 液晶プロジェクタは行間が狭い
- 配布資料は字が小さくて行間が狭い
- もう少し断定した表現を使って欲しい
- 内容が盛りだくさんすぎ
- 時間延長は困る
- 興味のある内容なので楽しかった
- よく準備されていた
- 参考になる本を紹介してくれたのがよかった
- 本質まできちんと説明しようとしている姿勢には感謝
- 一番大学らしい授業かも
Correspondence to: minato@ypu.jp.
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