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【第156回】 土曜は講義準備と科研書類作り(2012年10月13日)
- 朝食をとってシャワーを浴びたら8:20だった。土曜だから次のバスは8:42だな。これで出勤しよう。
- 一昨日あたりから(?)世間を騒がせている捏造(?)・誤報問題の関連で,この記事からの教訓。変な人の指導教官になってしまうのは怖いなあということと,統計解析を担当したとかsuperviseしたとかいう形で共著者になることの危険性。博士課程への進学希望者に対する,継美先生の「来るな」や大塚さんの「止めてください」は正しかったんだなあと思うし,統計処理のアドバイスをする際にはデータの素性を吟味しなくてはいけないなあと思う。原則はもちろんそうなんだが,相談係数が増えてくると,つい解析テクニックだけのアドバイスで済ませてしまうことが多くて,もちろん,そういう場合は共著には入らず,せいぜいacknowledgeされるくらいだから内容に責任をもつ必要はないんだが,だとしても気持ち悪い。注意しよう。
- PNGで調査しているときに北大の山内さんと話していた冗談で,さだまさしの関白宣言の替え歌として「指導教員宣言」というのを作ろう! というのがあった。「お前を院に,入れる前に,言っておきたいことがある……(中略)……俺より先に,帰ってはいけない,俺より後に,来てもいけない,スライドは上手く作れ,作図はきれいにしろ,できる範囲で構わないから……(後略)」云々と考えたのだけれども,それ以上に,指導教員にとって一番大事な能力は,学生の嘘(無意識なのも含めて)を見抜くことであるように思えてきた。まあ,今回の例は特殊だろうけれども。
- 実習用に購入した試薬管理関連の事務仕事に時間がかかる。講義準備にも科研の書類作りにも行き着けないうちに19:00になってしまった。ドラゴンズのCS第1戦勝利はめでたいが,それに浸る余裕はないなあ。あと2時間以内に研究室を出ないと帰れない。
- 試薬関連の事務仕事は終わり,月曜の講義の構想を練っているうちに21:00を過ぎたので帰途に就いた。
- 朝から書いている事件が実にironicalだと思うのは,読売新聞での第一報(誤報)において,日本は書類が多くて研究が進まないとか何とか,彼自身が言っていたことだ。まさにこの事件のせいで,投稿されてきた論文について,それが本当に実施されたものなのか所属機関の公式な証明書を要するとか,共著者が本当に関与したかどうかの証明もより厳しく求められることになるだろう(かつては違ったが,既に多くのJournalで実質的に関与した人だけが,どの部分に関与したかも明記した上で,サインをして初めて共著者となれるようになってきている。関与の仕方によっては「どの部分」という書き方が難しいし,今回の事件によって,サインでは偽造されるかもしれないから,これに関しても所属機関の公的な証明を要するとなるかもしれない)。投稿規定を厳しく見直さなくてはいけないかもしれないし,査読プロセスも,論文の中身についてではなく,手続き的真正性を保証する部分について(既に医学系の雑誌では,倫理審査委員会を通ったという公的な証明書の添付が必要というのが常識になりつつあるし,その意味では森口氏がIRBを通ったという公的な証明書なしで論文が通ると考えていたらしいのは不可解だが,このネタではポスター発表―取り払われたが―だけを成果として逃げるつもりだったのだろうか?)学術雑誌のレフェリーやエディタの仕事も増えることになる(「査読付き学術雑誌掲載論文」の社会的信用を取り戻すためには,手続きの厳格化が最もわかりやすいので)。学会発表でも疫学研究や臨床研究では倫理審査を通った証明書のコピーを添付することが義務づけられたりするかもしれない。たいした手間じゃないといえば,1件1件はたいした手間じゃないが,学会発表をとりまとめる大会事務局(たいていの場合は,大会長の地区の関係者で構成される)にとっては大きな事務仕事の増加だ。研究者コミュニティにとって,まったく迷惑なことをしてくれた。今回,米国を巻き込んでいるので,この問題の影響は日本にとどまらず,たぶん全世界的に書類仕事が増える方向に行くだろう。ああ腹が立つ。
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