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【第543回】 疫学試験の後で溜まっていた仕事をする(2013年12月13日)
- 昨夜は風呂に入りながら眠ってしまい,3時頃出てから仮眠していたが,試験問題を作り終えるため,5:00前に起床。昨夜の具材を炊き立ての胚芽米ご飯に載せて食べた後,試験問題を完成させた。往路2番のバスで出勤すれば印刷は十分間に合う。
- というわけで,大森靖子『絶対少女』を聴きながら直通2番のバスで出勤。何度聴いても「展覧会の絵」のサックスとか,非売品オマケの「青い部屋(Guitar Ver.)」のギタープレイには圧倒される。
- 9:00から疫学期末試験。3人全員が1時間もかからずに解答終了。すぐに採点したが,全員合格であった。まあ,普通に勉強していれば合格するであろう問題(解答例とともに,講義案内ページからリンクしてある)を出したし,学生の要望に応じて試験勉強をする時間を1週間とったし,当然の結果だとは思うが,安心した。
- トレーニング・ジャーナルが届いていた(今のところ,このページの情報は11月号から更新されていないが)。いつもご恵贈ありがとうございます>Aさん。2014年1月号の特集は「いいものは、やっぱりいいね」と,定番を見直してみようというもの。2番目の記事「ラダートレーニングの奥深さ」がとくに興味深かった。少年野球のコーチをしていたころ,ぼくらのチームでも冬場のトレーニングにラダーを取り入れていたが,ここまで深くは考えずに使っていた。確かに奥深い。
- 統計たんがtweetしていたpdfを参考にしてWord2010でキーボードだけで数式入力しようと試してみたが,うまくいかなかった。マウスで選べばできるのだが,それでも,LibreOfficeではTexMaths Equationsという機能拡張を使うと本物のLaTeXを呼び出すことができるので,仕上がりの美しさが比べものにならない(参照)。やはり数式表示はTeX一択だな。
- 直通終バスで帰宅し,発売をずっと待っていて木曜に買ったばかりの青山潤『にょろり旅・ザ・ファイナル:新種ウナギ発見へ、ロートル特殊部隊疾走す!』講談社,ISBN 978-4-06-218711-4(Amazon | honto | e-hon)を読了。まずは世界で初めてウナギの卵の採集に成功したばかりではなく,新種発見・採集に成功した偉業に対してお祝い申し上げたい。フィールドワークをしていると思いも寄らない経験をすることがあるのだが,青山さんは,それを面白く語る才能をもっていて,本書もこれまで2冊の「にょろり旅」に勝るとも劣らず,抜群に面白い。フィールドワーカーという意味では,ぼくも同業者なのだが,この語り口の面白さには嫉妬を感じるほどだ。結果的には命がけでありながら全くの無駄だったマニラより南への旅にしても,青山さんが語るとエンターテインメントになるのだから不思議だ。結局,新種の採集は,最初に行ったルソン島北部のトゥゲガラオという町(Google Earthでみると飛行場もあるようだ)からカガヤン山脈に分け入ったネグリト(たぶんCentral Cagayan Aetaのグループ? 人類学ではネグリトと言わずAetaとかAgtaと呼ぶ。多様なHerbal medicineを利用することで知られているので,医療人類学的にも興味深い)の居住地でなされる。Google Earthで見ると,確かにカラオ洞窟を過ぎると一面起伏に富んだ森しか無いから,たぶんパプアニューギニアの山地オクの村に行くのに近いんじゃないかと思われるくらいの苦労をして(ぼく自身は行ったことはないのだが,行った人たちから聞いた話ではアップダウンのある泥道を2日も3日も歩くそうで,二度と行けないという人が多いので,同じくらいの場所なんじゃないかと思うわけだ。ちなみに山地オクも背は低い)着いた場所で,Aetaの人々に頼んで新種のウナギを集めてきた執念とその成果としての論文(本書にも紹介されていたWatanabe S, Aoyama J, Tsukamoto K (2009) A new species of freshwater eel Anguilla luzonensis (Teleostei: Anguillidae) from Luzon Island of the Philippines. Fisheries Science, 75: 387-392 [abstract].の他,今年になって,同じ年に別の研究者が新種として報告したウナギが,実は青山さんたちが新種として報告したウナギと遺伝的に同種なので,先に報告したA. luzonensisの方が正式名となり,後から報告されたA. huangiはその補助的な別名とするという論文[abstract]も出している)だけではなく,本書という「ありとあらゆる調味料をぶち込んで,私が腕に縒りをかけた二番出汁 (p.366)」を合わせてこそ,「俺たちのフィールドノート」だという記述には共感するし,そういう形でフィールドワークを完結できるのは,すごく幸せなことだと思う。途中,年を取ったフィールドワーカーが初めての場所に行く際の悲哀が書かれているし,タイトルが『ザ・ファイナル』なので,本書を最後にフィールドワークを止めるのかと思ったが,最後まで読んだらそうでもないようだった。やはり根っからのフィールドワーカーなんだなあ。素晴らしい本だった。
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