Latest update on 2018年3月7日 (水) at 15:42:47.
【第799回】 複数の会議(2014年9月30日)
- 6:00起床。フルーツグラノーラの牛乳掛けと冷凍餃子という手抜き朝食を済ませ,4番のバスで出勤。
- 午前中は書類仕事などしていたが,午後は六甲台に行って会議。戻ってきてまた会議2つ。疲れた。しかし移動時間が長かったので,上橋菜穂子『鹿の王』下巻,ISBN 978-4-04-101889-7(Amazon | honto | e-hon)を読了した。現実ともリンクしたアイディアを絶妙にファンタジーに昇華していて,圧倒的に面白かった。上橋作品すべてにいえるが、登場人物が凄く魅力的。下巻p.178のアイディアの元になった研究はこれとかだろうか? lichenからの薬効成分抽出については、ちょっと検索したら、既に特許がとられているものもあった(抗ウイルス作用ではないが)。 マラリア流行地で,鎌状赤血球貧血遺伝子をヘテロでもつ人たちがビターキャッサバを食べる習慣をもっていたり,サラセミア遺伝子をもつ人たちがフェイバ豆を食べる習慣をもっていたりするという栄養適応の話(マラリア講義資料の4.4参照)を更に捻った感じの話が出てきたり,下巻p.262からの《病み済み》でのホッサルの話が(もちろん用語はファンタジーの世界の言葉だが),免疫学の考え方をわかりやすく説明してくれていたり,いろいろと興味深い。子供の頃に読んでおけば,ワクチン接種への理解が深まると思う。その後,話はウイルスキャリアと共生の関連,新興・再興感染症と生態系擾乱に展開する。p.284でホッサルが生態系という言葉を使ってしまっているのは少し残念だった(難しいとは思うが,別の言葉でわかりやすく言い換えて欲しかった)。 文化的侵略(この話の場合は文化だけじゃないが)による食変容と疾病感受性の変化の話も出てくるし,免疫学的寛容の話も出てくるし,挙げ句の果てにはparasite manipulationまで来てしまったぞ。SFでいうとジャック・フィニイの『盗まれた街』という先駆者があるけれど。同時にDarwinian Medicineにも言及。2度目DF感染(異なる型)でDHFやDSSになりやすいという話を思い出させる記述も。というわけで,大変面白かった。
- 日経サイエンス11月号に,【特集:新説 宇宙の起源】「始まりは4次元ブラックホール」 ビッグバンもそれによって始まった3次元宇宙も,4次元宇宙が生み出した幻想かもしれない。」とあるが,関連して,このページをリンクしておく。
- 「神戸大学環境報告書2014年度版」が公表されたが,去年に引き続き,ぼくの講義の紹介記事が入っている。
- 直通終バスで帰宅し,パスタを茹でてベーコンと冷凍野菜と一緒に炒め,キャビアで味付けして食べた後は,風呂を沸かしたのだけれども入る前に睡魔に負けてしまった。
△Read/Write COMMENTS
▼前【798】(東京経由で神戸へ(2014年9月28〜29日)
) ▲次【800】(後期開始(2014年10月1日)
) ●Top
Notice to cite or link here | [TOP PAGE]