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【第882回】 関西へ移動(2015年1月3日)
- 7:30に起床。雪かきをしてから朝食。10cmくらい積もっているが,青空が見えているので大丈夫だろう。
- 今日は午後の電車で大阪に向かう。
- 公衆衛生ねっとで知った,WHOの"2014 in review: key health issues"。
- 復路電車も含め,この休みに読了した本は,さだまさし『風に立つライオン』幻冬舎文庫,ISBN 978-4-344-42297-1(Amazon | honto | e-hon),山口由美『世界でいちばん石エ鏤・紊剖瓩す・パプアニューギニア』幻冬舎新書,ISBN 978-4-344-98368-7(Amazon | honto | e-hon),篠田節子『インドクリスタル』角川書店,ISBN 978-4-04-101352-6(Amazon | honto | e-hon)であった。
- 『風に立つライオン』は,同名の曲にインスパイアされた俳優・大沢たかおからの「是非書いて」との強い奨めを受けながらも小説化の構想がなかなか進まなかったところ,東日本大震災後,「命のバトン」というテーマに辿り着いて書き上げたという作品。あとがきや解説によると,曲自体,諏訪中央病院の鎌田實先生やロシナンテスの川原一行先生や北関東循環器病院の笠間周先生にも強く影響したそうだ(笠間先生は,ぼくが群大の准教授だったとき,統計解析への参加を求められ,共著論文となったものがあるが,中学生の時にこの歌を聴いたことがきっかけで医師を目指されたとは知らなかった)。ベストアルバム『天晴』の最後に入っているこの曲自体名作で,聴きながら読むとアフリカの広大な大地が眼前に広がる感じがして格別であった。小説はケニアで少年兵に仕立てられ身体以上に心に深い傷を負っていたンドゥングが,戦傷者病院で働く日本人医師・航一郎との出会いによって心を開き,長じて医師となったところで東日本大震災のニュースを知って石巻支援のため来日し,ある奇跡的な避難所の人々との交流から生まれた新たな夢を描く,という形でまとめられており,たしかに「命のバトン」というテーマが鮮明にわかるのだけれども,それ以上に戦争という人災や東日本大震災という天災への支援はどうあるべきかについて深く考えさせてくれる作品となっていた。大沢たかお主演の映画が3月14日公開とのことなので,これは見なければなるまい。なお,さださんは長崎大の熱研の人々との交流が深いらしく,青木先生をモデルにした人物の若い頃と思しき作中登場人物による昔語りの中でマラリアやフィラリアについて,わりと専門的な説明が出てきたりするのも臨場感を高めていた。
- 『インドクリスタル』は,神秘的なヒロインの存在から考えると,篠田作品の中では『ゴサインタン』に近い部分もあるが,インドを舞台とし,インドに生きる人々とグローバリゼーションが直接間接にもたらす影響を丹念に描写したことによって,より現実的になり,深みが与えられていた。また,物語が基本的に特殊用途の水晶加工(及び自然の水晶を核とする人工水晶製造)会社の社長である主人公・藤岡の視点で綴られていくのだが,他の作品に比べるとバランス感覚があり,日本の普通の中高年男性として良識ある人物なので共感しやすかった。ぼくはインドには行ったことがないのだが,東南アジアやオセアニアでの経験から考えても臨場感ある描写であり,まあ,一言でいえば傑作。
- 『世界でいちばん石器時代に近い国 パプアニューギニア』は,著者が女性なのに最近まで10回以上PNGに取材に行っているということ自体にまず驚いた。少々描き方が扇情的なのが気になったが,ぼくも知らないような新しい情報も書かれていて参考になった。Highlandsに何度も行っているようなので,夏原さんとか知らないだろうか。この本は後でちゃんと書評を書くつもり。
- 大阪で特急から新快速に乗り換え,神戸駅でトルコライスを食べてからバスで帰宅。風呂に入って洗濯をして部屋干しして,とやっていたら日付が変わり,眠気に負けた。
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