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【第914回】 今日も採点と学生の相談に乗るのと事務仕事の日(2015年2月6日)
- 6:20にパスピエの「最終電車」で起きたのだが,二度寝してしまって,次に目が覚めたのは7:30を過ぎていた。鶏モモ肉ぶつ切りの賞味期限が来ているので,ジャガイモとタマネギとニンジンをコンソメスープで煮込んだところへ,この肉とセロリを切ったものを加え,最後に塩コショウで味を調えたスープを作って朝食。往路は4番のバスになってしまった。
- バスの中で,高野秀行『恋するソマリア』集英社,ISBN 978-4-08-771584-2(Amazon | honto | e-hon)を読了。本当は『カンボジアを知るための62章【第2版】』を先に読むべきなのだが,何日か前にふと開いたら1ページ目から惹き込まれ,このところずっと移動中に読んでいた。前著『謎の独立国家ソマリランド』の後日談であり,面白さは引けを取らない。ホーン・ケーブルTV東京支局として日本の中古車輸出業者に広告の営業を掛け,ソマリアの新聞社に広告を出させるに至った顛末とか(ちゃんと落ちまでついていた),新聞社の立ち上げに加わってみたりとか,家庭料理を見せて貰ったり,ミュージシャンに取材してみたりといった,ソマリアでの日常を描きながら,ジプチとの関係とか世界中にディアスポラとして存在するソマリ人とかいった情報が絶妙なタイミングで挿話されるので,読み手の頭の中に,自然に見取り図ができあがっていく。4日前に触れたとおり,ソマリアでは過激派組織であるアル・シャハーブの勢力が弱まったけれども飢餓に苦しんでいる子供が今もたくさんいるのは間違いない。けれども,それはソマリアの一面であって,普通に人々が生活しているということが,本書に書かれている高野さんの経験を読むと良くわかる。と同時に,他のジャーナリストや護衛と一緒に南ソマリアでモガディショの外に出て行ったのは良かったが「腹黒い」知事のせいで予定通りに帰れなかったばかりか,実際にアル・シャハーブの待ち伏せを受けて攻撃されたという最後のエピソードを読むと,やはりまだ紛争地域なのだということも実感できた。本書における高野さんの視点『ある一つのグループの人々――民族であれ国民であれ県民であれ――を理解しようとするとき,何をもって「理解した」あるいは「理解に近づいた」といえるのか。大変難しい問題だが,三十年近く世界の各地を歩いてきた経験から,人間集団を形作る内面的な三大要素は「言語」「料理」「音楽(踊りを含む)」ではないかと思うようになってきた。私自身,外国で出会っていちばん懐かしくなるのは,日本語と日本食と日本の(特に二十歳以前に聴いていた)音楽だ。』(pp.69-70)は,かつて「従軍記者」としてタイとカンボジアの国境付近に長期逗留していたけれども「国際政治がどうこうといいながら,その土地の人々が何をどうやって食べているのかという基本的なことも知らなかった」と気づいて食文化ライターに転向した20代の森枝卓士さんと重なる。本書には,高野さんが4年間のつきあいを経てとうとう知ることができたソマリ人の家庭料理についても写真入りで紹介されているので,この方向の興味もある程度満たされるが(適当に作っているということで,あまり調理スキルについて詳しく書かれていないのが残念なところで,和食だって慣れれば一々量らなくても勘で作れるようになるのだし,たぶんソマリ人にもソマリ人なりの調理スキルがあるに違いないと思う),今後もさらに日常描写を深めた続編を書いて欲しい。
- 共立出版の新刊情報で,『人間活動と生態系』という本が3月発売予定なのを知った。これも人類生態学の研究スコープの中に入っている研究対象なのだが,東大人類生態出身者の中では,あまり直接の研究対象にしている人がいないところだと思う。とりあえず買って読もう。
- 院生や学部生から,合わせて3件の相談に乗りつつ採点を進めた。しかし今日中に終わらせるのは難しいか。Google Scholarなどで見つけたカンボジアの栄養と健康に関連した論文を一通り印刷したのだけれども,行くまでに読めるだろうか。
- 川端君から『続・12月の夏休み』偕成社,ISBN 978-4-03-643140-3(Amazon | honto | e-hon)をご恵贈頂いた。本屋に入る度に探すのだけれども見つからないと嘆いていたら,じゃあと言って送ってくれたのだ。ねだってしまったようで申し訳ないが,前作が大変面白かったので,是非続編も読みたいと思っていて,漸く読めると思うと楽しみだ。ありがとう!!
- 直通終バスで帰宅後,朝作ったコンソメスープを温めなおして晩飯。3月1日に長野から関西へ戻る夜行バスのチケットとして,南海バスの新しい運行計画が発表されるのを待っていたのだが,素晴らしいことに長野駅を出る時刻が23時過ぎで,大阪には意外に早く着くというスケジュールはそのまま,終点が神戸三宮まで延長された。早速購入。
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