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【第1191回】 健康寿命について(2015年12月27日)
- 7:30に目が覚めて仕事再開。その前に気になるニュースがあったのでコメントしておく。
- 前回発表時に日本人口学会で発表があったので触れた都道府県別健康寿命だが,12月24日に3年ぶりに厚労省から発表があった(都道府県別の数値が載っているのは資料2(pdfファイル))ということで,中日新聞や静岡新聞が,静岡が1位から落ちたとニュースにしている。けれども,健康寿命は定義も計算方法もいろいろあって,1つの値で一喜一憂するのはいかがなものかと思う。
- 今回発表された数値は,健康日本21(第二次)が「健康格差の縮小」を目標として,具体的には「日常生活に制限のない期間の平均の都道府県格差の縮小」を目指したもので,生命表と国民生活基礎調査のデータを使って推定されている。
- 2012年「静岡1位」の根拠は,このpdfファイルに書かれているように,厚生労働科学研究費補助金「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究」であった。リンク先pdfファイルに掲載されているグラフを見ると,たしかに男性愛知県1位,女性静岡県1位となっている。この出所は以前東大疫学の助教授だった橋下修二先生の研究班で,研究班のwebサイトの,健康寿命の算定結果(平成22年)(エクセルファイル、0.01 MB)をみると,活動制限-都道府県というシートに載っているデータが,厚労省のグラフの元であることがわかる。ここでは,「日常生活に制限のない期間の平均」が健康寿命と考えていることに注目しなければならない。同じサイトでリンクされている算定方法を読むと,この計算方法が,「国民生活基礎調査と生命表を基礎情報とし」,「サリバン法(広く用いられている健康寿命の計算法)を用いて算定」という,かつてはほぼ標準的な算定方法だったことがわかる。今回公開された資料でも,データが新しいものになっただけで計算方法は同様なので,愛知,静岡,山梨が上位に来ている傾向は変わっていない。
- けれども,国民生活基礎調査の代わりに要介護認定を使って「日常生活動作が自立している期間の平均」を出した表が,前述の研究班のサイトからリンクされている健康寿命の算定方法の指針 (平成24年9月)[pdf形式]の付表3-2に載っている。これだと,男女とも長野県が日本一になっていて,長野県保健当局などは,こちらを参照して,長野県は平均寿命も健康寿命も日本一だと主張することがある。
- どちらもそれなりに根拠はあるけれども,両者は「健康でない」とする定義が違うので,結果が異なるのも当然といえる。長野県は要介護認定2以上の人が少ない一方で,国民生活基礎調査で「日常生活に支障がある」とか「自覚的には不健康」と答えた人は相対的に多かったと考えられる。一病息災という言葉もあるし,自分の健康状態を過信しない方が無理な生活をしないので自立期間は長くなるということかもしれない。
- 橋本先生の研究班の最近発表された報告書を読むと,同研究班員で,公衆衛生学会編集委員会の副編集委員長でもある村上義孝さんが国内外の状況をレビューした結果(42ページ付近)には,最近の研究の動向として,2010年頃から要介護認定データを使ってサリバン法で算定したものに集約されてきたと書かれているので,国民生活基礎調査のデータを使う方法は,健康日本21(第二次)目標設定時には標準的だったけれども,若干古い方法と考えられ,意味から考えても,多少の順位の変動で騒ぐようなものではないだろう。
- 新聞もこれくらいの内容を報道すべきと思う(静岡新聞の記事は,健康寿命の説明として,要介護認定を使った方法と混同しているように思われる)。
- 空腹に耐えかねて自販機でカスタードスティックと芋けんぴを買ってしまった。これで血糖値を上げて昼までは仕事をする。
- 15:00のバスで帰宅。鶏肉野菜炒めを作って昼飯。
- そろそろ食材を使い果たしておかなくてはいけないので,ジャガイモとニンジンとナスとキャベツとベーコンをコンソメスープで煮込み,醤油味を少し足したスープを作った。晩飯はこれと高菜ご飯。
- NHKニュースで,ハワイでデング熱が流行っていて,当局が「蚊の活動が活発になる早朝と夕方には外出しないなど気をつけるように」と警告していると言っていたが,本当だろうか? と気になった。AedesはAnophelesと違って昼でも活動するのが普通だと思うがなあ,と思って調べてみたら,US ARMY GARRISON, HAWAIIのMosquitoesというページでは,やはりAedesは昼間吸血する蚊の方に入っていた。ハワイの保健当局がヒトスジシマカについて書いているページでは,確かにピークは早朝と夕方となっているが,その前に"very aggressive daytime biter"とも書かれているし,大事なのは長袖長ズボン靴下着用とか,DEETのような昆虫忌避剤を使って個人防御することとも書かれているので,ニュースでもそっちをちゃんと言って欲しかった。
- SONGSのレベッカ再結成特集は素晴らしかった。NOKKO衰えないな。「ウェラム・ボートクラブ」から買っていたファンとしては(という割には再結成ライブは行かなかったのだが),「Love is cash」の激しいステップを踏みながら歌う当時の映像とか,今年になってベースの高橋さんと2人で昔練習した楽器屋を訪ねてピアノ弾き語りした「Maybe Tomorrow」とか,再結成ライブのオープニングだった「Super Girl」とか,曲も歌詞も大好きな「プライベート・ヒロイン」を視聴することができて宝物のような時間だった。「76th Star」とか「London Boy」とか「Little Rock」も聴きたかったが,まあ仕方ないか。ただ,Nokkoのソロが売れなかったと言っていたが,朝ドラ「ふたりっ子」のオープニングだった「Natural」は売れたと思うし,ぼくは「エビス・ワルツ」とか「ライブがはねたら」とか「アンテナ」とか「7 Ways to love」とか,比較的最近のでは「星の見えない夜」とかも好きなので,「I Will Catch U」だけ何度も流してハウスミュージックを取り入れようとしてソロでは失敗したという雰囲気にはしない方が良かったと思う。「I Will Catch U」も格好いいし。それにしても,「Lonely Butterfly」の印象的な歌詞に「朝が来るわ」という一節があるが,現在放映中の朝ドラ「あさが来た」とかドリカムの(というか,リトグリによるカバーが印象に残りすぎている)「朝がまた来る」とか,NOKKOをリスペクトしていると語っていたYUKIが『うれしくって抱きあうよ』の1曲目にした「朝が来る」とか,希望を思わせる文脈で使われることが多いフレーズなのに,Lonely Butterflyに「朝が来る」ことが,どうしてあんなに刹那性を感じさせるのかが,今回のSONGSを見てやっとわかった。
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