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【第1715回】 学会仕事とか院生指導とか(2017年12月1-2日)
- 金曜は6:30起床。オセアニア学会の40周年記念事業である35回大会のサイトのひな形を作ってアップロードし,関係者にメールを送ってみた。人口学会の大会告知もアップロードしなくては。
- 息子が短期留学するのに際して,寄宿舎の料金を海外の銀行に振り込まなくてはいけない。SMBCプレスティア(旧CITIBANK)の口座を使うと安いかと思ったが,ここの情報によると楽天銀行に口座を作って送金する方が安いなあ。というわけで楽天銀行に口座を作ってみた。本人認証写真を送るのまでスマホアプリでやったが,その後の手続きは楽天からの返事待ち。
- 日本国際保健医療学会第36回西日本地方会受け付け開始の案内が来たので,院生に回してみた。
- 昼過ぎから博士課程の院生への解析指導。空間分析をしているので,いろいろと壁が高いけれども面白い。丹後先生の本や谷村先生の本は参考になるのだけれども,若干情報が古くなってきているので,新版が欲しいところ(と院生も言っていた)。Shinyで実装されている話とか取り入れたものが欲しい。
- 人口学会の大会告知もアップロードした。
- 今夜から長野に向かうので,来週月曜の公衆衛生学の講義資料を完成させて印刷し,それとは別にもっと詳細な資料もpdf化してアップロードしたら19:00を過ぎた。
- 三宮に出て夜行バスで長野へ。
- HPVの型についての情報が以前見たときと変わった気がする。いずれにせよ欧米よりは日本の方が16型と18型のシェアは低いわけだが。Women's health champion, Dr Riko Muranaka, awarded the 2017 John Maddox Prize for Standing up for Scienceの説明には,そういう情報は含まれていない。そもそもJohn Maddox賞というものが,世間で物議を醸している問題について果敢に切り込んだ個人に与えられる賞であって,科学サイドからのカウンターアクションとしての効果の大きさが評価対象であり,必ずしも科学的知見そのものとしての正確さには拘っていないように思われるし,ましてやHPVワクチンの公費での定期接種と積極勧奨についての公衆衛生政策としての妥当性が保証されたわけではない。以前も書いたが(参照:2013年12月22日,2014年1月7日,2015年1月14日,2015年12月25日,2016年1月9日,2016年12月7日,2017年11月27日),そのためには十分なリスコミをした上でのCVMやCRAやコンジョイント分析をするのが真っ当なやり方で,「反ワクチン派」がデマゴーグとして実存すると主張し叩く村中氏の二項対立を煽るやり方はある意味マイナスと思う。数年前の風疹流行時に,国費で未接種者への無料ワクチン接種を全国展開すべきという意見に対しての厚生労働省の回答が,水疱瘡の予防接種すら予算が足りなくてできていない(注:2014年10月から定期接種化された)現状で,風疹を優先させることはできないというものだったことを思い出す。政策は実施によって得られるメリット・デメリットと,実施に掛かるコストを総合的に判断して立案されるべきで,リスコミを諦めてプロパガンダ合戦に走るのは筋が悪い。もちろん,ナイジェリア北部でポリオワクチンがムスリムを不稔にするための陰謀だというデマが流れたせいでポリオワクチンの接種をやめて周辺諸国まで広がるポリオ・アウトブレイクが起こったような惨事(もちろんこれも,World Health Report 2007にそう報告されているということに過ぎず,ナイジェリア政府の決定に至るプロセスの詳細はわからないが)は避けるべきだが,子宮頸がんを巡る状況はそうではない。何より大切なのはワクチンが効く仕組み,つまり免疫学の基礎まで含めた正確な情報共有だと思う。免疫学の基礎は高校数学を理解するより抽象度が低くてずっとわかりやすい話なので,中学レベルで必修にしてもいいと思う。最近脚光を浴びつつあるhealth literacyはそういう話で,しかしコンテンツをどうすべきかは十分に整理されていないし,不断のアップデートが必要になるから教材になるような情報を整理するのが難しいのは間違いないが,厚労省はそういう仕事をしなくてはいけない。
- 違う角度からみると,これも「我々」と「彼ら」を対立項として相互理解を拒否する態度に他ならないので,追い詰められた側は窮鼠猫を噛む危険が常にある。鄭 雄一『東大理系教授が考える道徳のメカニズム』(ベスト新書)がいうところの第二の相対的な掟が肥大化しつつあるのはまずい事態だと思う。そう考えると,John Maddox Prize自体,それを煽る可能性がある賞という側面は否めず,評価できない。岩田健太郎『予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える』光文社新書の方が遥かに真っ当な専門家の文筆活動だが,真っ当な活動は物議を醸さないから受賞対象にはならないわけで。
- 日付が変わったら,moraでもJupiterの販売が開始されたので,早速ダウンロードしてみた。やはり素晴らしい。
- 昼間,いろいろ面倒な仕事を進めた。夕方から駅の近くの「いぶし銀」という店へ。半年ごとに息子の高校の担任だった先生を囲む飲み会をやっているのだが,今回もゲバラの話とかいろいろ楽しかった。百年の孤独があったのでロックで2杯飲んでしまったので酔った。
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