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【第1761回】 いろいろ多忙な日々(2018年2月5日-6日)
- 6:30起床。朝食を適当に済ませて貿易センター前行きバスに乗った。普段なら20分ちょっとで三宮に着くのだが大変な渋滞で1時間かかった。途中でメールで遅刻するであろうことを知らせたが,ワークショップ2に10分遅刻してしまった。まあ大過なかったが。
- その後名谷キャンパスに移動し,昼飯を食べてから公衆衛生学の期末試験。若干問題が起こったが,まあこれも大過ないといえるか。
- その後もメールの返事とか雑用が多く,18:30からミーティングで週末からカンボジア調査に行く院生のプログレスレポートがあり,22:20頃帰途に就いた。湊川公園廻りで帰宅したら疲れ果てていた。晩飯はレトルトご飯に野沢菜漬けを載せ,茹でたヴルストを添えたものと,ミカン1個で済ませた。いろいろ持ち帰ったのだが,仕事はできずに眠ってしまった。
- 火曜は6:30に起きたが眠い。15:10から六甲で情報基盤センターの会議があるので,朝食をしっかり食べて,13:30まで名谷で仕事をしてから六甲に移動して昼飯を食べてから会議というスケジュールにしたい。
- Amazonに注文していた『ぺっとボトリテラシー』が今日届くらしいので楽しみ。まず院生から夜中に届いていた英文を直してメールを返し,昨日の期末試験を採点中。
- 週刊医学界新聞の栄養疫学の連載の今週の記事はいろいろ謎。まずHPVの話は栄養疫学ではない。次に引用の仕方が杜撰。「昨年,HPVワクチンによる有害事象のリスクは非常に低いという日本独自の推定が得られました」といって引用しているのが,確かに2017年のVaccineというジャーナルに掲載されたものだけれども,原文を読むとワクチン接種に"Expert Council on Promotion of Vaccination"という立場で関わる17学会共同のCommentaryで,副反応について掲載されているデータは2015年9月17日の厚労省の会議資料なので「昨年得られた」値ではない。しかも「接種後1週間未回復を有害事象として<10人/10万人」というのは,たぶん接種後有害事象が1週間以上継続した事例を有害事象とした,という意味だと思われるが,リスク計算の分母が接種人数(回数は提示されているが無意味と思う)なのに,分子にしているのが,副反応疑い報告数のうち>発症日・転帰等が把握できた人のうち>集計時点でも未回復の人が186人という値で,元資料には発症日・転帰等が把握できた1739人のうち1週間以内回復が1297人ということは,1週間以上継続した人が442人いたということなので,接種人数338万で割れば,10万人当たり約13であって明らかに間違っている。何が「非常に有意義」なのかわからない。最後に,「有害事象とその救済を考慮し,リスクベネフィットや経済効果,不確実性を鑑みて政策を執る段階と思います。」といいながら,国内外のHPVタイプの違いや人の遺伝子型の違いを考慮したリスクベネフィット評価もせず,人々が何を重視するのかという価値観をCVMなどで評価することを含めた経済効果の予測もせず,不確実性の取り入れ方も極めて曖昧な現状で,どうして「私個人としては積極的推奨を特定の層に対して行うべき」と言ってしまえるのか,公衆衛生学的にはまったくわからない。なんだこれ?
- 忙しくてこんなことをやっている場合ではないのだが,書かずにいられなかった。採点に戻ろう。
- 教職員宛メールで知ったが,神戸大学は敷地内禁煙に向けての対策推進を宣言した。まあ当面は「喫煙者は、所定の場所以外で喫煙しないこと」なので従来通りだが。大学として「敷地内禁煙に向けて、禁煙サポート対策並びに受動喫煙防止対策をより一層推進する」方針を示しておくことには意味があるかもしれない。ところで,「学生に対して、喫煙の有害性に関する教育を実施」って誰がやるんだろう? 校医? 保健指導としてか保健教育としてかで内容も変わってくるし誰がやるのかも変わりそうだが。
- オセアニア学会の演題申し込みは2月2日で締め切られたが,その後も「暫くは」という形でOKだった参加申し込みが,部屋の確保がこれ以上は難しいかもしれないので締め切って欲しいというメールが来たので,サイト修正。
- 週刊医学界新聞の件について,著者からtwitterでご返事いただいたが,まったく納得がいかない。疫学者を名乗るなら論文を批判的に読まない態度はありえないし,重要な数字を孫引きで済ませることもありえない。しかもVaccine誌の引用としても「接種後1週間未回復を有害事象として」は明らかな誤りなので,連載次回で訂正すべきと思う。
- ちなみに,リスク論では,10年近く前に作った講義資料に書いたが,ゼロリスクはありえないので,開発などの反作用(環境形成作用,広く捉えれば農薬散布や医薬品の予防内服やワクチンも同列に考えることができる)において100万分の1とか10万分の1のリスクならば許容すべきという場合が多いとされている。それを考えると10万分の1のオーダーなのか1万分の1のオーダーなのかというのは大きな違いで,ここでリスクを過少評価側に間違えることは致命的な誤り。(もちろんリスクベネフィットが上述の意味でクリアに示されれば,1万分の1のリスクでさえ乗り越えられる場合もあるけれども,そんな評価はされていないわけだし。少し書き始めると次々に書きたいことが出てくるが時間が無いので無理。麻疹や風疹やジフテリアや百日咳やおたふく風邪や破傷風や水痘やポリオのワクチンはリスク一定の原則レベルでもリスクベネフィット評価からしても全世界的に受けた方が良いと言えるが,HPVは話が違う。WHOのポジションペーパー(原文;なぜか厚労省の審議会資料にある仮訳だと表現がぼかされているが)を見ても,女性のカバー率が80%を超えたらジェンダーニュートラルな接種は費用対効果が悪いとか書いてあって,なぜ女性が怒らないどころか推進する女医がいるのか不思議。そのロジックならboys-onlyで100%接種だって,たぶん同じくらい子宮頸がんは減るはずだから)
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