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【第1789回】 会議のハシゴとか(2018年3月19日)
- まずは三宮経由で六甲の本部棟4階特別会議室に出勤し,アジア総合学術センターの会議。一年間の活動計画の中でカンボジアでKRAREFをすることがほぼ決まり,一部担当する可能性が高くなった。
- 名谷キャンパスへ移動中,このところ移動中に読んでいた,黒野伸一『国会議員基礎テスト』小学館を読了。政治家の裏表と権謀術数を描くエンターテインメントとしても,若者の成長ストーリーとしても面白いし,もし国会議員の立候補資格として政治学についての基礎テストに7割以上正解しなくてはいけないという縛りを導入しようとしたら? という近未来シミュレーション小説としても面白い。後半,この人がこう考えるのはおかしいのでは? という点もあったが,人は不合理な思考に陥ることもままあるわけだし,ありえないことではないから,まあいいか。
- 当選した頃の杉村太蔵氏とか兵庫県の号泣県議とか,実在の人物をモデルにしたことが丸わかりな登場人物も何人か出てきた中では,中曽根大勲位をモデルにしたと思しき人物まで出てきたのには恐れ入った。実際,大勲位だけでなく,故・宮澤喜一氏など,かつての政治家は東大法学部の中でもトップクラスの切れ者だった人たちが珍しくなかったし,ごく一部の例外を除いて議論の力はあった。彼らは,最近の低レベルな,普通の議論すらできない議員には腹を立てているかもしれないと考えると,大変納得がいく設定だった。
- ただ,このテスト方式では,仮に首相なんかが受けることになったら,出題者が忖度して記述問題の採点に手心を加えたり,事前に答えを漏らしたりすることがありそうだし,高度な政治学の問題にしてしまうと解釈の違いという余地を残さない正解を確定することは難しいかもしれない。
- 現実に「国会議員基礎テスト」導入を考えると,国会議員は議論をするのが仕事だから,最低限の資質として,相手が何を言っているのか理解する能力は必須であることは間違いないだろう。「云々」や「未曾有」が読めない(仮に漢字として知らなくても文脈から自明であるはずだから,そもそも語彙としてもっていなかったと思われる)人は,議員の資質がないと言っても良いのではないか。そういう意味では,新井紀子さんたちが,中学校の教科書を読んで理解できるレベルの読解力という目安でやっているリーディングスキルテストで95%以上の得点を取ることであれば,国会議員の立候補資格としても無理がないのではないだろうか。あれならCBTと同じく,たくさんのストック問題の中からコンピュータがランダムに選んで出題するから,忖度や不正が入る余地はないし,うっかりミスがあるかもしれないから100%は厳しいとしても,95%正解しないとまともな議論ができる人ではない=国会議員の資質がないと判定して良いと考えられるので,これなら現実にいけるのではなかろうか?
- これ,主要な3人を長谷川博己(高橋一生でも可),岡田将生,松岡茉優のキャスティングでドラマ化してくれないだろうか? とちょっと思ったが,篠原涼子主演で大変面白かった「民衆の敵」が低視聴率だったくらい,世の中の人々は政治に関心がないから,ダメかなあ。そういう意味では,本作中で企画されるテレビ番組が高視聴率という設定は現実には無理かも。
- 名谷キャンパスでは学科会議,教授会,教員会議など。合間にネットワーク関係仕事とか講義関係仕事とか院生指導とか。
- 夜は上沢のもつ鍋の店で今年修士を修了した2人のfarewell party。大変美味なもつ鍋を堪能した。一から自力で交渉して大変なフィールドワークをやってきた2人なので,その頑張りは今後の人生にも生きるだろうと確信している。
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