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【第164回】 会議後に移動して期末試験(2019年7月29日)
- 5:50に目が覚めた。今日は9:30から六甲で会議で,午後には名谷で期末試験。それ以外の時間に大学院の保健学共通特講IV, VIIIの期末ミニテストの問題を作り,今日締め切りの原稿を進める必要があるのだが,また締め切りに間に合わずに延長をお願いすることになりそう……。
- 週刊医学界新聞3332号表紙のインタビューが「HPVワクチン 不作為の時を越えて」と題したものなのだが,2017年12月理事会でPC連合学会単独での声明案が否決された理由として,2016年4月の17団体見解の時点では「他の学術団体と足並みを揃えるという形で,当事者意識がそこまで高かったわけでもなく,理事会での議論も不十分であった」「(理事会での否決を受けた2018年3月の委員会設立後に)既存のエビデンスや諸外国の動向に関する情報収集に時間を割きました。この過程で私自身,今までざっとしか触れていなかったHPVワクチンに関するエビデンスを批判的に吟味する作業を怠っていたことを痛感」というのは正直なのかもしれないが唖然とした。その後2018年12月の積極的勧奨(対象年齢の女子にアナウンスすること)即時再開を求める声明(要望書)を厚労省に提出するに至った経緯も正直に説明されていると思ったが,現在のワクチンで現在のスケジュールのまま女子だけへの接種を勧奨するので良いのか? という検証はまったくされていない(少なくともこの記事では触れられていない。例えば,9価ワクチンの2回接種を,日本の性交渉開始年齢と合わせて男女問わずする場合とのリスクベネフィット比較とか,いくらでも検討すべき代替手段はあるはずだが)ことに唖然としたし,検出しにくいデザインでしか副反応の研究がなされていないことにも無批判に「数々のstudyでそれらの症状の出現率は非接種者との比較で有意差がないという結果も出ている」と受け入れているし(注:ぼくが知る限り,非接種者との比較ではなく,アジュバント接種者との比較で,数年間のエンドポイントとして有害事象の有無しか調べていないはず。本当の健常人で何も打たないか生食対照との比較で,有害事象発生までの時間を分析すれば検出力が上がることがわかっていながらなされていない。この点は,Holland M, Rosenberg KM, Iorio E: The HPV vaccine on trial: Seeking justice for a generation betrayed., Skyhorse Publishing, 2018とかでも指摘されている。BMJに去年出た論文とコメントも参照),「ただひとつ確かなのは,年間で約1万人が子宮頸がんに罹患し,約3千人が亡くなっているという事実です。しかも死亡者数が増加傾向にあり」とミスリードな情報を紛れ込ませていることにも唖然とした。
- 死亡の動向については,去年も書いたが,日本の年齢調整した子宮頸がん死亡率はほぼ横ばいであって,増加傾向にあるとはいえない。がんセンターのデータが1年分追加されたので,新しいRコードでグラフを作って再掲しておく。
- HPVワクチンについては,厚労省が積極的勧奨をしない,という微妙な立場をとっていることに対して,最近は岩田健太郎先生なども即時再開せよと批判しているが,ぼくは少なくとも現状で即時再開を求めるのはおかしいと思う。Buzzfeedの岩永さんとかも,何か特別な事情があるのかと勘ぐりたくなるほど変。
- これから期末試験の監督をしてくる。終わったらミニテスト問題を作って,原稿の続きはその後。やっぱり間に合わなそう。
- ミニテスト問題,去年と同系統で数値を変えるだけでは芸が無いなあと思って新趣向を入れだしたら際限なくなって困っている。21:00近いのでいったん帰って食事をしてから続きをしようと思う。
- そう思って帰ったのだが,食事をして腹が満たされたら眠気が出てしまい,結局ミニテスト問題を完成させることはできなかった。
(list)
▼前【163】(原稿を進めてから東京へ(2019年7月26-28日)
) ▲次【165】(ミニテスト問題と原稿書き(2019年7月30日)
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