Latest update on 2021年7月4日 (日) at 18:43:39.
【第330回】 名谷で会議(2020年3月5日)
- 群馬大学の方が代表でクロロキンを含む臨床試験が2月27日に申請されている。非盲検前向き単群試験なので,何もしない場合や他の治療法と同じ条件で比較することができないが,だいたい8割が軽症,2割が重症化ということは既にわかっているので,副次評価項目「投与開始後14日目までの重篤な疾病等の発生率と内訳」から,binom.test()で2割より有意に低いかどうかが検定できれば良いのか,たぶん。
- Lancet Global Healthに載っているHellewell J et al. "Feasibility of controlling COVID-19 outbreaks by isolation of cases and contacts"(2020年2月28日)。接触者追跡と隔離によるアウトブレイク制圧の可能性を確率的なモデルでシミュレーションした結果の有効性を示しているようだ。発症前の感染が多くてR0が3.5だったら,制圧には90%以上の追跡が必要とも書かれている。たぶんランダムリンクネットワーク想定なのだろう。スケールフリーネットワークを想定すれば違う解が得られるはず。ちゃんと読んでみないとわからないが。
- LancetのCorrespondenceでWang G et al. "Mitigate the effects of home confinement on children during the COVID-19 outbreak"(2020年3月4日)。アウトブレイク中の自宅封じ込めが子供(の心理面)に与える影響の軽減策を論じたもの。こういう側面も考えていく必要がある。
- 今日は7:00起床,パスタとほうれん草とアルトバイエルンを茹で,トマトバジルソースで和えて朝食を済ませてから,名谷キャンパスへ出勤。昼過ぎから2時間ちょっと教員会議と学科会議と教授会と学域会議。中国から来る留学生は2週間経たないと寮を含む学内に入れないという大学からの指示が出たことが確認されたが,会議が終わって研究室に戻って情報確認したら,この産経の独自取材記事が出ていて,「2週間経たないと」どころか,中国と韓国の日本大使館が発行したビザを無効にするという入国禁止措置であった。オーストラリアも似たようなことをやっているから,それを真似したのかもしれないが。外務省のサイトにはこの件はまだ出ていないのでわからないが,産経の記事からすると,日本人が帰国する場合は2週間の停留措置がとられるということだろう。産経の記事からすると,この政策決定は,厚労省でなく「5日夕の国家安全保障会議(NSC)の会合で確認する」という話なので,科学的根拠に基づくというよりも,政治判断なのだと思う。IHR2005が設計されたときの基本思想が,こうも簡単に崩れてしまうとは。
- イタリアの感染状況は細かく見ていないが,今日のニュースで報道されていた政策が,大学まで含む学校だけの2週間の全国一斉休校だとしたら,やはり愚策だと思う。そこまでしなくてはいけない蔓延状態だとしたら,そこから立ち直るためには,休校だけでなく,中国でされているような都市間交通停止とか外出禁止までやらないと効果が薄いだろう。蔓延状態でないのなら,学校ごと(あるいはせいぜい地域ごと)に休校判断をする,台湾方式の方が合理的だろう。
- だんだん世界が混沌としてきた。うまく行かなかったときの反動が怖くても,やはり希望を示すことは必要ではないだろうか。
- そうか,穿った見方をすると,安倍首相に緊急事態宣言をする権利を与えてしまうことを避けるために,気を利かせた誰かが,敢えて新感染症ではなく指定感染症にしておいたのかもしれないな。大変悲しいことだが,そういう意味では,指定感染症で良かったのかもしれない。もちろん,安倍政権が遅くとも3年くらい前に潰れていて,新型インフルエンザ等特措法をまともに運用してくれる内閣が存在しているパラレルワールドがあったら,そっちに引っ越したいが(注:この項,あまりに妄想が過ぎるので,2019-nCoVについてのメモとリンクには収載しない)。
- 今後,仮にクラスター対策班の活動がうまく行って日本の流行を終息させることができたとしても,世界中で夏までに同じことができるとは到底思えないので,オリンピックとパラリンピックは中止せざるを得ないだろう。運営委員会の武藤先輩は,中止の方向で手を打っておくべきであろう。考えようによっては,熱中症になる人が選手からも観客からも多発して救急がパンクするという不幸を避けられるので,中止は悪い面ばかりではない。最初から嘘で固めて招致したオリンピックで,現場の人たちはいろいろ苦労しただろうから,延期で済むならそうしたい気持ちもわかるが,地球規模ではいつ終息するかわからないので,延期対応も難しいだろう。
- 21:30過ぎに空腹に耐えがたくなったので,査読がまだ終わっていないが帰途に就いた。LIFEで食材を買って帰り,野菜シュウマイとレトルトご飯を電子レンジ加熱して晩飯を済ませた。
- 今日のミューズノートもmanaka単独MCだ。3分以内の曲!(洋楽編)というお題だが,わりとJazzyな曲が多かった。manakaがワンフレーズ口ずさんでくれるのに痺れた。水道の蛇口を捻ったときの音にもハモってしまうというお便りに対して,INSPiの圭介さんを呼んだら凄く共感してくれるでしょうね,ゲストに来て欲しいです,というコメントには激しく頷いてしまった。曲目は以下。
- 「Real Love」Homeshake:アンビエントっぽい曲。ジャンルとしてはベッドルーム・ポップとのこと。この曲が入っているアルバムが『Midnight Snack』ということで,夜食が食べたくなることってありますよね,というMCに続いて流れたので,食欲を煽る感じの曲かと思ったら,むしろ抑えてくれる系だった。
- 「With Davey」La Luz
- 「Melancholy March」Julie London:この後にmanakaがワンフレーズ"Merancholy march"と歌った声もJulie Londonに負けてないと思う。
- 「Love To The World」Little Glee Monster:珍しく途中でもリトグリの曲が流れたが,この曲はテンション上がるよなあ。
- 「(You Don't Know) How Glad I Am」Nancy Wilson:"You don't know, you don't know, you don't know, you don't know"を口ずさんでくれたのも良かった。
- 「Forget Me Not」Honne:曲名からまず尾崎豊を思い出し,いやJazzのStandardかと思ったが,あれはForget Me Notsだったかと思い直したが,Honneのオリジナルのようだ。
- 「Symphony」Little Glee Monster:個人的にはこれがBRIGHT NEW WORLDの中で一番好きな曲。
- いかん,ついミューズノートに聴き入ってしまって,査読が進まなかった。これからやらねば……と思ったが,目が疲れすぎていて査読は無理だったので,諦めて眠ることにした。
(list)
▼前【329】(六甲で会議~サイト紹介など(2020年3月4日)
) ▲次【331】(東京での会議が中止になったので名谷で仕事(2020年3月6日)
) ●Top
Notice to cite or link here | [TOP PAGE]