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【第248回】 もう金曜日(2013年1月25日)
- 今週もあっという間に金曜日がやってきた。実は浪人中の息子の誕生日なのだが,今日は私立大学を受けているはずだから誕生日を祝うどころではないだろう。当日になってしまうと,親にできることは,もはや健闘を祈るのみ。
- "Jazztronik Studio Live Best"は1500円と思えないほど素晴らしい。
- 名谷駅近くの郵便局で開成会の会費を10年分まとめて振込もうとしたら,ATMが振込用紙を認識しなかったので,窓口が開くのを待って手続きした。
- 今日は久々に講義をしなくていいし会議もない。溜まっている仕事を片付けよう。
- IPENという国際NGOが,水銀条約について効果を疑問視するプレスリリース(リンク先は日本語訳版pdf)を出している。まあ尤もな疑念だ。ただし,締結するだけでは意味がない条約というのは,実はこれに限らず,ほとんどの場合に当てはまるような気もするが。
- 三中さんのtweetで知ったが,Colorless Green Ideasというサイトが面白い。久保さんの岩波本こと『データ解析のためのモデリング入門』のレビューも面白かったし,最近相次いでアップされた古典文学のパスティーシュとしてのポスドク残酷物語シリーズ(羅生門―ポスドク編と蜘蛛の糸―無職博士編)に至っては,もはや,恐れ入りましたとしかいえない。
- いろいろと急ぎの事務仕事が入ってきて,片付けているうちに日が暮れた。「溜まっている仕事」は少し減っただけであった。
- しかし,以前,エレベータの下に落としてしまったBluetoothレシーバが無事に戻ってきたから,その意味ではいい日だった。
- 『奇跡の教室』読了。とても共感するところが多かった。プリントが多いと歓声を上げて喜ぶ生徒たちっていいなあ。プリントが多いと嫌そうな顔をしたり,どこを勉強すればいいかわからないので困ると言ってきたりする(要点だけ書いて,とくに重要なところを太字強調したりといったチャート式参考書的なプリントだと評判がいい)大学生よりも,よほど向学心がある。資格系の大学では,配布プリントを,学ぶことを発展させるための道具というよりも,覚えなくてはいけないタスクと思ってしまうのであろう。ある程度仕方ない面もあるのだが,すべての物事はつながっているので,重要ポイント用語だけ細切れに覚えるよりも,最初は関係ないように見えることまで含めて,脳内にたくさんのネットワークを張り巡らせる方が,結局は理解が深まるし,忘れにくい(経験上,これは確信している)。だから,ついついディテールに拘ったり余談を喋ってしまうのは許していただきたい>学生諸君。ともあれ,3年間かけて『銀の匙』一冊を読むという国語の授業は素晴らしい。本書の中で指摘されているように,本の読み方としては原書講読と似ている。ぼくも大学院生のとき(追記:だけじゃなくて,学部4年のときもだった),故・鈴木継美先生にご指導いただいた原書講読では,1ページ読むのに2日くらいかかることは普通だった。1行1単語を舐めるようにしつこく検討する体験は,学部生か大学院1年の頃に一度は経験しておくべきだろう。もちろん,そんなペースで"Epidemiology: An Introduction"を読もうなんて思ったら,それこそ3年かかってしまうだろうからできないが,ゼミで1つくらい,いい論文を選んでやってみよう。中学高校の国語の授業といえば,かつて触れたとおり,今ゝ(「いまちょん」と読む。先生ご自身が紹介されたのでお気に入りだったのだろうと思われる渾名)の授業で中1のとき(たぶん1年かけて)読んだ『極限の民族』が強く印象に残っているし,その中で紹介された藤木高嶺『極限の山 幻の民:私の世界探検』立風書房(1977年10月刊。絶版なのが残念。とくに,藤木さんはカメラマンなので,カラー新書のような形で出版してくれないだろうかと強く思う)も読んだので,同じことを体験しても,人によって(経験や立場や考え方によって)捉え方が違うことを,中2の時点で知ることができたのは大きかった(これら2冊とも,まだ手元にあるのだが,書き込みもしていないし,ノートは散逸してしまって,当時どのように理解していたのかわからないのが残念だ。物凄く惹きつけられたのは確かだが)。修士2年のとき,初めてパプア・ニューギニアに行った時に,わりと平静にフィールドワークに臨むことができ,同じ人間なんだなあと感じることができたのも,この中学1,2年の国語の授業における読書経験が素地になっているのだと思う。藤原正彦氏も国語教育の重要性を何かの本で強調していたが,同感だ。
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