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【第264回】 日曜も出勤しようと思ったが,つい自宅でUst視聴中(2013年2月10日)
- 6:15起床。豚汁の残りに豆腐とネギを追加して多少煮込み,朝食。
- 三中さんのtweetでUst中継しているというので視聴中の民博の「樹について考える」国際シンポ,オーガナイザーは菊澤さんだったのか。三中さんに講演依頼するとは流石。このシンポの主旨と背景の説明は,目新しさはそれほどなかったが,実にクリアにまとまっていたし,問題点や限界と思われているところについてきちんと指摘していた。Ust配信が統数研でやったRユーザ会のニコ動配信よりクリアだし,スピーカーの様子と画面が両方出ているのが臨場感を高める。金が掛かっているんだろうなあ。
- 以下適当にメモ(他のことをしながらなので,聞き違えていたり誤解していることが多々あるかもしれない)。最初のスピーカーは,treeの代替としてのネットワーク図を紹介し,言語間の距離を使ってSplitstreeというソフトで比較的少数の言語の類縁関係についてのネットワーク図を描く方法の話をしている。シンプルな図解をしながらSplitstreeがtreeを合成し,"How are squared boxes"(reticulation……網状の関係を作る方法)のアルゴリズムを解説してくれているんだが,今ひとつわからない。δとattestation数の負の相関を示した話は,Spearmanのρとp値ではなく散布図を見せて欲しいなあ。その後はlanguage family内のisolatesについても有用だが方言(dialects)のisolate度については有意でないなどという話をしているのだが,この辺は言語の人じゃないとわからないところだなあ。ネットワーク図と専門家による分類が食い違う場合についての議論の後,family内の個別言語についてのジャックナイフの話は良くわかった。まず全部でGoodman-Kruskalのγを計算して,1つの言語を除いてγを計算して,fitが改善していたら,その言語はfitが悪いということ。齊藤成也さんが質問して,オーストロネシアン全体のネットワーク図をなぜ出してくれない? 返事は,煩雑すぎてmessyだからということ。次の質問は伝統的なtreeでの分岐がinnovationのshareを示していると考えられるのに対して,ネットワーク図ではそういう意味があるのかという点。答えは,類縁関係を示す以外の意味はなく,他の情報とも付き合わせていないと言っているように思われたが,うーんそれって意味があるのか? 次のスピーカーはソロモン諸島で一緒に釣りをしたことがある(いや,釣りだけじゃなくてフィールドワークもだが)木村亮介さんで,発表が日本語。元気そうだが,琉球大で行われた人類学会の時より太った? もちろん言語では無く遺伝子データによる進化系統樹という(ぼくにとっては)馴染み深いもの。配列ベースでの最大節約法とか最尤推定法とかベイズ法,距離ベースでのUPGMAとか最小二乗法とか最小進化法とか近隣結合法,という整理の仕方。遺伝子系図学におけるincomplete lineage sorting(集団の系統関係と分子の系統関係が必ずしも一致しない)の話は,確かに言語には当てはまらないかな。けれども,言語でもローカルにしか通用しない流行語とかがあるから成り立たないこともないんでは(ていうか,前のスピーカーが語っていた方言の話って,まさにそれでは?)。個体間の系統樹といってトンガの枝がアジアとPNGの間から出ているからといって,アジアとPNGの混血ってのはどうかなあ。PNGデータはギデラだから,たぶん後で混血したとは思われないので,そう言ってしまっては誤解を生むんでは。しかし,こういう話を齊藤さんの前でするとは,勇気あるなあ。reticulate eventって,いい訳語がないと言ったが,連理の枝じゃ? 偽のreticulationの話は,疫学の地域相関研究におけるecological falacyと一緒だな。mixtureの扱いによる歪みの話は当然だが面白い。Admixture graphをDAGだと考えたら実はsemでも分析できたりするんではなかろうか。系統樹のトポロジーが信用できないというのは,まあ当然。枝の長さを加味した無根系統樹でも複雑なときはクラスタリング……って統計学では昔から知られている非階層的手法(k-means法)だよなあ。さっきのスピーカーがインドに拘る質問をしたが,Possible major routeの図示なんだから,It's not majorとか,There are few generic dataとか答えればいいんでは? ここで休憩に入ったので,Ustの接続を切って,11:22のバスで出勤しよう。
- バスが11:22の数秒前に出てしまったので乗れず。腹が立ったので森林公園の中を通って神戸電鉄の鵯越か丸山に出ようと思ったが,企画倒れ。いや,森林公園の中を通って雲雀ヶ丘二丁目に出たまでは予想通りだった。たまには山道を歩くのもいいなあ,なんて思っていた。が,そこから鵯越に出るには結局バイパスを越えなくてはならず,丸山は意外に遠かったので,途中で日和ってバスに乗って湊川公園に出てしまった。大学に着いた時は,三中さんの発表は終わった後だった。その後もUstを聴きながら,うりぼーネットでの成績入力を進め,無事完了。今日は終バスが早いので明るいうちに帰ろうと思う。それにしても挑発的な発言が多いなあ。
- 次の土曜深夜からバンコク出張なのだが,Radio Australiaのニュースによると,マレーシアとの国境近くのムスリムが多い郡の1つ,Yala郡の村で,反政府活動家と目される犯人による自爆テロによって5人の兵士が死亡し,1人が負傷したとのこと。きな臭くて怖い。まあバンコクは大丈夫だと思うが。
- 柏野さんが紹介していたブログ記事をみたら,日本人男性のパートナー選択意識についての前提に難がある(国立社会保障・人口問題研究所が定期的にやってきて,既に第14回まで結果が発表されている,出生動向基本調査の――まあ,結婚相手と恋愛相手は多少は異なるかもしれないが――最新の独身者調査の結果からすると,男性が希望する結婚相手の年齢として同い年が最多だし,平均でも2歳ちょっと下なだけなので,49歳までの男性すべてが20代前半女性だけをターゲットとする恋愛市場という前提は無理筋)ので,ネタにマジレスっぽくて無粋かなあと思いつつtwitterでコメントした。
- 復路バスで,海堂尊『輝天炎上』角川書店,ISBN 978-4-04-110378-4(Amazon | honto | e-hon)を読了。言ってみれば『ケルベロスの肖像』の裏話で,伏線がきれいに回収されていくのは見事。あと,天馬君の話なので,医学生の日常がある程度わかって面白いかも(公衆衛生学実習が出てくるのが,個人的にはまた何ともいえないが,ぼくでもこのレポートなら特Aを進呈する)。あと,天馬君の両手に花は,みゆきさんとハコさんだったんだな,と気づいてしまい,美少女という設定の冷泉深雪のイメージが,すっかりプロジェクトXの主題歌「地上の星」(リンク先はYouTubeに公式アカウントで公開されている感動的なMV)を黒部ダムで歌っていた紅白歌合戦のときの中島みゆきさんの姿で置き換えられてしまった。作品ごとに違うBGMがあるという海堂さんのことだから,きっとケルベロスかこれのどちらかは「地上の星」に違いない。しかし,この終わり方では,まだ続きがあるなあ。
- 帰宅後,鶏のムネ肉をぶつ切りにして,タマネギを切ったのと一緒にバターで炒め,丹波しめじとピーマンとナスを追加し,みりんと醤油とクレイジーソルトとおろし生姜で味付けしたものを作ったら,物凄く美味だった。しかし勘で作っているから再現できないのが難。
- ありゃあ,ジェットスター9便欠航か。先日札幌往復した時は予定通り飛んでくれて良かったんだがなぁ。でも,ちゃんと整備しているということだよな。
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