Latest update on 2018年3月7日 (水) at 15:42:47.
【第584回】 修論発表会1日目(2014年1月29日)
- 今日も6:00に土岐麻子「Awakening」,5分後にGoosehouse「Good Morning」で起床。昨日の狙い通り,カレーを温め直して朝食。
- 直通2番のバスで出勤。今日は朝から修論発表会を聴く。途中2度ほど抜ける必要がある。以下メモ(あくまでメモなので誤りあるかもしれないし,他の人には意味不明と思われるが,このページはそもそも,日付を鍵にして自分がいつでもどこでも参照できるように付けているメモなので乞御容赦)。
- BMIの意味づけが不明。もし痩せ過ぎとか太りすぎが危険と考えているなら,カテゴリ化しても良かったかも。
- CFIの低い確証的因子分析とかαの低いスコアって何の意味があるんだか。最初から決まった項目は全部入れると決めてあって,その構造の組み換えもできないとしたら,信頼性は言えたことにならないと思うが。その分野の要請なのかもしれないが,scientificには??
- 質的研究はわからんなあ。10例か。研究科長のご質問はさすがに鋭い。断面研究で変容を語るのは無理がある。この例数でsynthetic cohortのような扱いは無理だろうし。認知症高齢者というくくりでは,病因や環境因子(施設サポートとか)が多様だろうし,疾病の自然史の固有性もあるんでは? 追跡した方がいいだろう。
- そういえば,去年の4月1日から障害者自立支援法が障害者総合支援法になったんだった。家族concordance形成力の評価のための構成概念の明確化と尺度構成とは難しいテーマだが。17項目3因子構造の結果,因子負荷量はどれも十分に大きいし,αも大きいし,構成概念妥当性は十分。併存妥当性はそこそこ(そもそも評価が難しいが)。全体としてはきっちりされていたが,専門家会議を組織して項目検討とか,どこまで発表者がやったのかがわからんなあ。全部本人が中心でやったなら博士論文レベル。
- ここから病態解析。分子レベルの研究がほとんどなので専門外だとフォローしきれないものが多い。
- 血糖値とインスリンへの影響は本当にないと言っていいのか? 実験動物にしては分散が大きすぎる気がするが。あ,しかし父方ヘテロのみ有意差があるという結果がクリアだな。ゲノムインプリンティングか。Cdkn1c発現亢進,膵β細胞減少。2型糖尿病でKcnq1欠損男性の子供をケアするべきといえる? しかし去年のDiabetes誌には,ピマインディアンでは母方由来のKcnq1の変異のみ影響するという論文が出ているのだが,これと整合性は?
- エピジェネティクス研究。HDAC阻害剤(抗がん剤として臨床的に使われている)により膵β細胞(MIN6細胞)におけるIRS2発現量増加とタンパク修飾の変化による活性調節の2つが起こるという話。
- C/EBPβによる膵β細胞量の調節(C/EBPβの発現を抑制すると膵β細胞が増える)。先行研究のレビューで出てきたdBdBマウスってレプチンレセプター欠損だっけ? C/EBPβが蓄積すると,AMPK活性低下が起こる。AMPKを活性化するとC/EBPβが減る。相乗効果って,相加的でなくて相乗的と言えている?
- 次も膵β細胞。MK-626という薬剤の影響を,トランスジェニックマウスで調べた研究。インクレチンの保護効果に着目。体重は有意差なし。トランスジェニックマウス(TSC2ノックアウトマウス)は糖代謝が有意に野生型と異なるが,MK-626の影響はなし。そこでEx4の影響を調べた。http://www.aeplan.co.jp/mbsj2013/poster_pdf/E_1P-0745-1P-0941.pdfで発表済みの研究(たぶん)。
- Translinノックアウトマウスを使った骨髄間葉系幹細胞の研究。http://animal.nibio.go.jp/j_translin-ko.htmlか?
- MED1は褐色脂肪細胞を制御して体温調節。変異MED1ノックインマウスを作成して個体レベルの役割検討。多くは胎生致死。心筋組織には影響ないが,褐色脂肪組織は染色像異常(空胞増加,脂肪滴ではない),ミトコンドリア数減少。低温曝露させると深部温を維持できない。UCP1は有意差なしといっても,サンプルサイズが小さいからではないのかなあ。質問したところ,そこに差が出たとしても,PDC1との間に何らかの介在因子があると考えられるということだったが,結論には影響なさそう。
- 次もMED1。GATA1との結合のバイパスの可能性とか。GATA1と結合することでリクルートされるというモデルの証明のため,GATA1ノックアウトしたK562でMED1,CCAR1,CoCoAの占有量が減少することから,GATA1がこれらのコファクターをリクルートするためのプラットフォームであるという論理展開。形式的には追えるのだが,個々の仮定の妥当性がよくわからない。この辺りは多少先行研究についてなど専門的な知識がないと理解できない。
- 次は造血幹細胞移植後のGVHD/GVLにおける細胞障害関連因子。PI-9がGranzyme Bを特異的に阻害。これら2つとパーフォリンとの組合せ検査の意義の検討とか。健常者と移植患者における測定結果。PI-9は高齢者ほど高い。急性GVHD発症の有無の間で差はない。GrBは再発の有無と関連あり。ROC曲線を書いたらAUCはどれくらいになるんだろう? (まだ検査数が少ないので今後の課題とのこと)測定は全部mRNAで,酵素ではないのは,より早く検出するためとのこと。
- 次は転移性大腸がん患者の化学療法における独立予後因子としてのOCT2とTBの検討。80例。OCT2とTBの低発現,高発現群はROCでカットオフを決定。OCT2とTBは無相関。これらを指標として,無増悪生存期間をアウトカムとして生存時間解析すると,OCT2高発現,TB低レベルがPFSを長くする。Cox回帰でもこれらが唯一の有意な因子であった。OCT2高発現は抗がん剤を取り込みやすくする効果があったと思われる。きれいな結果が出ているなあと思ったら,やはり既にInt J Clin Exp Pathol 2014; 7(1): 204-212.にアクセプトされているのだそうだ。
- 次は乳がん術前化学療法の予測因子としてのsolute carrierトランスポータ高発現という話。生検試料を調べた。pGR,pCRが病理組織学的効果のアウトカム。トリプルネガティブ群とそれ以外で分けて分析すると,トリプルネガティブ乳がんでは,OATP1A2高発現,OCT6高発現が効果予測因子であることがわかった(それぞれの高発現かどうかはROCで区分決定)。それ以外ではHER2陽性が予測因子だったが,全患者プールするとHER2は有意でないので,HER2については今後の検討が必要という話。これも結果はクリアだな。分子標的薬のターゲットになるかも? という話なので,金になるかも。
- 次は肥満2型糖尿病モデルマウス(db/db)と5/6腎摘出マウス(かつdb/m。非糖尿病性の糸球体高血圧のモデル)における腎臓ミトコンドリア機能の差異という研究。16-17W。酸化ストレスは腎症を悪化させるので,ミトコンドリアがもたらす活性酸素が腎症の進展を促す可能性があり,これらのモデル動物でミトコンドリア機能を調べた。血糖値と血中UNを測って発症確認,PAS染色で糸球体高血圧を確認。腎臓中のATP濃度とミトコンドリア比は差がない。ミトコンドリア複合体タンパク量は複合体Vのタンパク発現量が増加。5/6腎摘出群で複合体IVの活性低下が見られたとのこと。結論としては腎症の原疾患によりメカニズムが異なる可能性ということ。活性酸素自体は測っていないのが弱点。何故腎摘出はwild typeでなくてdb/mなんだろう?
- 午前中はまだ2題あるが,ぼくの院生の相談があるため離脱。
- 院生の相談で昼休みが終わってしまったので昼飯なしで午後のセッション。疲れたのでメモ打ちはせず。18:00近く終了。
- 明日も朝からずっと修論・博論の発表会で,終わってからも個別審査会があるので,今日は早めに帰ろう。
- 直通終バスで帰り,カレーの残りを温め直して晩飯。
△Read/Write COMMENTS
▼前【583】(期末試験問題作りとレポート採点の日(2014年1月28日)
) ▲次【585】(修論発表会2日目・博論発表会(2014年1月30日)
) ●Top
Notice to cite or link here | [TOP PAGE]