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【第679回】 日曜も講義準備をしなくては(2014年5月18日)
- 寝坊してしまい,目が覚めたら8:00近かった。まあ,日曜だからいいか。が,明日の講義準備をしなくてはならないので,午後には出勤予定。
- 大学院生から統計解析についての相談をよく受けるのだが,一番困るのが,SPSSでしか出てこない解析手法について尋ねられることだ。例えば,クロス集計のメニューでは,「線型と線型による連関検定」なるものが出てくるが(参考:名古屋大学のサイトにある説明),これはSPSS用語なので,一般の統計学の教科書には出てこず,尋ねられても説明のしようがない。リンク先の名古屋大学のサイトの説明を読むと,「行、列のどちらも量的変数の場合、カイ2乗は線型と線型による連関検定になる」と書かれているが,これでは何をやっているのかの説明になっていない。通常,こういう相談を受けたときには,「ソフト内部で何をしているか,少なくともどういう理論に基づいているかの文献引用くらいはマニュアルに書いてあるはずだから,マニュアルを読め」というアドヴァイスをするのだが,この例の場合は,マニュアルにもロクに説明がないようだ。英語版を調べたら"linear-by-linear association"らしいのだが,やはり理論の厳密な説明は見つからない。順序のあるカテゴリ変数間の独立性の検定手法として勧められていることはわかるが,どのように帰無仮説の下で自由度1のカイ二乗分布に従う統計量を計算しているのかがわからない。そこでRのパッケージを調べたら,coinパッケージのlbl_test()関数で実行できることがわかり,ヘルプを見ると,詳細な説明がAlan Agresti (2002) Categorical Data Analysis. Hoboken, New Jersey: John Wiley & Sons.で得られることがわかった。methods("lbl_test")の結果を見てgetS3method("lbl_test", "IndependenceProblem")とすると,中でindependence_test()が呼ばれていることがわかり,methods("independence_test")からgetS3method("independence_test", "IndependenceProblem")とするところまでは追えたが,その先は追えなかった。けれども,Thompson (2009)によるAgrestiのカテゴリカルデータ解析第2版(2002)のためのR(かS-PLUS)マニュアルのp.39〜40を読んで簡単な計算方法がわかったので試してみたところ,結果が一致した。つまり,この手法は,2つの順序のあるカテゴリ変数の各個体に対して順序を整数のスコアとして与え,スコア間でピアソンの積率相関係数を計算して2乗した値にサンプルサイズから1を引いた値を掛けた統計量が,近似的に自由度1のカイ二乗分布に従うことから検定を実行しているのであった。検定手法の名前としては,カテゴリに線型性を仮定したカイ二乗検定とでも呼んで,Agresti (2002)を引用すればいいのかもしれない。
- 青柳碧人『東京湾 海中高校』講談社文庫,ISBN 978-4-06-277777-3(Amazon | honto | e-hon)を読了。最初は語り手の視点が時間も空間も頻繁に切り替わるために物語世界に入りにくかったが,面白い小説だった。けれども,1点だけ気になったのは,抽出後の残留物の海中投棄が問題なら,海中投棄せずに処理方法を考えれば問題解決したんじゃないかということ。物語の構築上何かの説明がないと納得がいかないところ。とくに残留物とか副生成物の処理は,化学物質の生産ラインにおけるリスクマネジメントの要点の1つだと思うので,化学オタクである彼が気づかないはずがない。
- 録画しておいた「ロング・グッドバイ」の最終回。強烈なメッセージ性があった。現代の映像は入れなくてもメタファであることは通じたと思うが,演出が入れたがったんだろうか。
- 終バスで帰り,冷凍餃子をフライパン調理して晩飯。「ルーズヴェルト・ゲーム」は原作とかなり違うのだが,役者も熱演だし,野球シーンが納得できるので,見応えがある。沖原投手はドラゴンズに欲しいなあ(スワローズに3タテを食らってしまい,同率4位になってしまったらしい)。
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