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個別鵯記

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【第795回】 昨日の続きとか(2014年9月25日)

往路バスで『きゅるきゅる』
6:00起床。レトルトご飯を電子レンジで温め,ぶっかけ生姜とキャビアを掛けただけの朝飯をとり,可燃ゴミを出してから3番のバスで出勤。主な仕事は昨日の続きで原稿書きになる予定。通勤音楽はメジャーデビューしたばかりの大森靖子『きゅるきゅる』。タイトル曲のキャッチーなポップさと3曲目「裏」が醸し出すこれまでの「青い部屋」とかに通じる情念の世界に挟まれているカップリング曲「私は面白い絶対面白いたぶん」。この構成って,なんかdeja vuがあるなあと考えていたが,太田裕美さんの「天国と地獄」に似てるんだな。最後はリマール「Never ending story」の世界に往ってしまうし,ラップだしカッティングギターも滅茶苦茶格好いいけど。
エマ・ワトソンと大森靖子のフェミニズム
エマ・ワトソンが挑戦する“新しいフェミニズム”の取り組み [via: UN Women 2014] - 備忘録√yは良記事と思う(なお,「今現在はまだ子どもの女性のうち1550万人が、今後16年以内に結婚すると言われています」は誤訳で,"15.5 million girls will be married in the next 16 years as children."は,「今後16年間で1550万人の少女が子供のまま結婚するでしょう」と訳すべきだし,児童婚のことを言っているはずとtweetしたら,早速訂正してくださった)。一方,叩かれているという大森靖子さんの峯田和伸(銀杏BOYZ)氏との対談での発言は,たぶんエマ・ワトソンと同じことを言っているので,これを叩いてはフェミニストに将来はないと思う。言葉尻ではなく主旨を捉えないと議論が不毛になる。
蚊対策の技術
2012年11月のTEDの講演であるHadyn Parry: Re-engineering mosquitos to fight diseaseが,"The mosquito has killed more humans than any other creature in human history."という見出しでTweetされた。さすがTEDの講演で,Oxitecの人が,人類を最も殺している動物はライオンなどの猛獣じゃなく,ペスト菌でもなくて,多くの感染症を媒介する蚊なのだ! これまでも大問題で毎年大勢亡くなっているマラリアに加え,最近はAedes aegypti(ネッタイシマカ)が媒介するデング熱が世界中に広まっていて問題だ,とくに4種のウイルスのうち,以前に罹ったのと別のウイルスに感染するとDHFやDSSになりやすく問題だ! と概論から語り始め,現状の対策としてはAedes aegyptiを減らすことしかできないが,殺ボウフラ剤にも殺虫剤にも限界があるので,不妊(厳密に言えば受精後致死)遺伝子を組み込んだオスを放飼することで効果的にAedes aegyptiを減らせるのだ! と彼らの技術をアピールしていた。ケイマン諸島,ブラジル,マレーシアで試験して有効だったので,今後もっと大規模な試験をやると言って喝采を受けていたので,おそらくこの講演でOxitecは首尾良く出資を集めたであろう。マラリアによる死者数の推定値が大きい方の文献値を紹介しているとか,今回の代々木公園での感染のように,ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)もデングウイルスを媒介できることを無視しているとか,話に厳密さを欠いていて,突っ込みどころもあるのだけれども,TEDの講演として聴衆への訴求力をもたせるための話の進め方,強調効果をもたせるための間のとり方など,上手いとしかいいようがないものだった。 なお,Oxitecはオクスフォード大発ベンチャーで,この他にもいろいろな遺伝子組換えビジネスをやっており,講演の最後にはそこもちゃっかりアピールしていた。NHK科学文化部のTweetで紹介された(Wolbachiaを「物質」という書き方には違和感を感じたが)蚊対策技術は,これとはまったく異なり,発想としては伝播阻止ワクチン(transmission blocking vaccine)に近いもので,体内に細胞内共生細菌であるWolbachiaを注入した蚊を放飼して,Wolbachiaにデングウイルスの増殖を抑制させるという発想である(ポルトガル語だが計画を実施しているFiocruzによる解説)。蚊を減らすのではなくウイルスだけを減らすという考え方は,生態系への影響がより小さいと思われる。色々調べていたら,今年4月に出たActa tropicaのSupplement "Biology and behaviour of male mosquitoes in relation to new approaches to control disease transmitting mosquitoes"に,この技術も含めて蚊対策関連の興味深い新技術がいくつも紹介されていた。オープンアクセスなので読んでみなくては。なお,日本語メディアとしては,Gigazineの記事が詳しくて参考になると思う。
R関連情報
9月9日以降の鵯記からR関係のメモを拾って統計処理ソフトウェアRについてのTipsを更新した。その後,会議や講義の準備とか院生の相談に答えるとかしながら,Rの調べ物少々。地図上に円グラフを表示することは,Excelでさえできるのに,maptoolsパッケージを使って地図を描いた上に,指定座標を中心とする指定半径の円グラフを書かせようと思うと,R標準のpie()ではできない。plotrixパッケージならあるだろうと思ったが中心座標と半径を指定して円グラフを描かせる機能は見当たらなかった。Rと連携する有料ソフトではNaviイントラエースとかAdam-Liteといったものが見つかるのだが,この程度の機能だけのために払う金額としては高すぎる。radarchart()のフレーム内描画版を作るついでに,fmsbパッケージに実装してみようか? たぶん簡単にできると思うんだが……。と考えたものの,その前に既存のものは本当にないのだろうか? と思ってcranを探したら,R2G2パッケージのFancyPies()とか,mapplotsパッケージのadd.pie()といった先駆者がいた(とくに後者については,解説つきの用例も見つけた)。まあ,これがあれば作らなくてもいいかな。たけしょうさんのtweetから,Rのデータ型とデータ構造関連の話として,群大の講義では1回目2回目に説明していたとtweetした。群大の統計演習ではRでコーディングすることを教えていたので型やデータ構造の知識も必須だったが(もっとも,S4クラスまでは必須ではないと思う),神戸大の大学院ではEZRで演習しているので,この辺のことは系統的には教えていない。なお,さっきリンクした解説付きの用例の文書を読んで調べたら,mapsパッケージとmapdataパッケージをインストールすれば,州境入りUSA,フランス,イタリア,省境入り中国,都道府県境入り日本,ニュージーランド,国境入り世界地図の地理情報データが入っていることがわかった(有名な話かもしれないが,ぼくは知らなかった)。今書いている人口分析の本では,ESRIやDIVA-GISからのシェイプファイルダウンロードだけでなく,これらのパッケージを使う方法も説明しよう。
その他やったこと
Amazonからのメールで,昨日付けで上橋菜穂子『鹿の王』上下巻560ページ(各?)が刊行されていることを知った。夜行バスに乗る前に新大阪駅の本屋で買ってしまいそうだ。wer-jの1日平均アクセス件数(単位はPages)が,4月144,5月142,6月165,7月217,8月334,9月318と夏から急増しているのは,たぶん公式twitterアカウントwerjkobeで更新情報を出すようにしたからではなく,エボラやデングやWHOを検索して辿り着いた人が多かったのだろうと思う。そう思えるくらい,werjkobeはフォロワーが少ない。それはそうと,10月3日の研究班会議関連でメールの返事をしなくてはいけないのだが,できていないうちに日が暮れてしまった。あと30分くらいで新大阪に向かわねばならないが,締め切りが明日の昼頃までとのことなので,夜行バスの中で見ようと思う。

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