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【第850回】 4コマ講義後に東京へ(2014年11月27日)
- 6:30起床。昨夜の残りのスープを温め,レトルトご飯を電子レンジで加熱して朝食。外に出たときは肌寒かったが,バスで三宮に出て,阪急六甲から歩いてGSICSの講義室に着いたら汗ばんでいた。
- 時間が無いのでメモだけしておこう。アーリックのI=PATは,たぶんEM=PAXと応用可能。EMは景気。Xは目眩ましというか,インフレとか円安による見掛けの効果。Aはper capitaだが,実はtime×[A/time]であって,かつ,A=CA+NCAという形で消費の可否によって分けることができ,NCAは時間に依存しないが,CAは単位時間当たりの上限が決まっているので,EMにも上限があって,いろいろ姑息な手段を使ってもPが減少している以上,長期的には減退するに決まっているという話。定性的には20年も前に書いたことと同じだが。こう書いて実例を振ればわかりやすいのではないか。アベノミクスは最初Xを増やし,次いでNCAを増やしただけなので,CAは増えない。前日のwell-beingの話とも絡むが,宣伝によって与えられた欲望を充足することでwell-beingが増えたように錯覚することがあること(それはあくまで錯覚だと思うので,真のwell-beingではないだろうが,少なくとも一時的には主観的well-beingは上がるはず)まで含めてCAの増加は主観的well-beingの上昇につながるかもしれないが,この政策はまったくそことは無関係。だからEM↑という数字が出ても誰も幸せにならない(NCA上昇で利益を得る「富裕層」のみ,多少は幸せになるかもしれないが)。もう一ついえば,NCAとしての軍備や原発は平時の国レベルなら資産かもしれないが,戦争が起こったら,とか,事故が起こったら,というコンテキストの変化を考えたら,地球レベルで考えたら互いに打ち消し合ってマイナスの効果しか生まない。NCAとしては,広葉樹林回復とか干潟の維持整備あるいはエコツーに利用できるような整備とか古くなったダムのメンテといった,もっと別の投資もできると思うし(それだってEM増につながる),地球レベルで考えてもやらなくてはまずいと思うが,地味だから世の中の支持は得にくいのが難点。
- 安倍氏の解散を財務省を中心とした増税圧力への抵抗と捉える読み筋は,間違ってはいないかもしれないが本筋を外していると思う。1年半くらい延期されたからって,そこで確実にできるなら財務省は痛くも痒くも無いだろうし,だからこそ,この解散が自身の延命のためであって国民のためでも何でもないので,やはり国民は政治家に舐められている。せっかく国民の意思を行使できるチャンスなのだから,職業としての政治家にどっぷり使っている,政党に属している候補を全部落としたらいいと思う。すべての選挙区にまともな無所属候補が出て,そういう人たちを当選させることができれば,国会は本来の意義を取り戻すと思う。もっと簡単なのは議員を選挙でなく裁判員のようにランダムサンプルで選ぶことだが,何度も書いているようにそのためには改憲が必要なのですぐにはできないから,次善の策として,無所属候補を大量に当選させたい。どうやったらそういうムーブメントを起こせるのかわからないが。
- もっとも,相変わらず世の中は好景気を期待する声だらけだし,メディアも(ということは世の中の多くの人も)選挙=政党間の争いで,どの政党も景気回復と増税延期を言っているから争点無し(だとしたら尚更選挙をする意味がないことになるが,安倍氏は決して争点にはしたくないと思うけれども彼らの真の狙いが特定秘密保護とか集団的自衛権とか原発再稼働といったNCA増加にあるとしたら,安倍氏にとっては選挙をする意味があることもまた自明)という構図しか考えていないので,期待薄か。Pが減少してCA/TIMEが生物としての上限近いことを把握したら,EM↑が(少なくとも国内だけ考えたら)長期的には無理筋なのは自明なのになあ。
- 4コマ目の環境保健学では,民族衛生学会の会長講演でも紹介があった,IPCCの第5次報告書(AR5)を紹介しつつClimate Changeの健康影響について説明した。しかし合計5000ページにも及ぶAR5を全部カバーすることなどできるはずがないので,基本的にheadlineを説明することしかできなかった。あとはもっと基本的な気候条件や気候変動が健康に及ぼす効果の教科書的な整理。世の中にAR5を全部読んだ人っているんだろうか。Synthetic Summaryにざっと目を通すだけでも大変だったが。
- いったん名谷に戻って講義資料などを置き,pptxを一応作り上げてメール送信してから三宮へ。20分ほど待って夜行バスに乗り,東京へ向かっているが,睡眠が足りないのでもう眠ろう。
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