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【第1711回】 グローバルヘルス合同大会など(2017年11月24-26日)
- 金曜はプレナリーセッションだけが安田講堂で行われた。朝一番はSocial Determinants of HealthをWHO-EUROで推進したことで知られ,Sirの爵位をもつDr. MarmotのOECDデータの棒グラフを使った経済格差と健康格差の話から始まり,パレスチナとイスラエルの紛争下における健康概念の再構築という話。休憩の後でHIVのARTに使う薬を4つも開発されたことでHIVの治療概念が変わったという話があり,TDRの所長(PNG-IMRの所長を7年もされたというのが驚きだった)による熱帯病対策とくにNTDの分布が変わってきているという話で昼。久々に銀杏メトロでサクッと昼飯を済ませてから熱帯医学会の会員総会。その後は3学会の表彰式とか受賞講演があって,最後に三浦雄一郎氏の「冒険と渡航医学」という,いろいろな意味で常識外れの話で幕。元院生や将来院生になるはずの人と森川町食堂で晩飯を食べ,(本当は和田コーヒーに入りたかったが閉店時刻で入れなかったので)上島珈琲でコーヒーを飲みながらいろいろ話し,その後は板橋の家に行ってプレゼンファイルを完成させたのが3:00を過ぎた。
- 土曜は7:00起床し春日から坂を上って医学部3号館でランチョンセミナーの参加券を貰い,ダイワユビキタスホールで吸虫症,寄生虫症の発表を聞いてから図書館3階大集会室に移動して国際保健の栄養関係の口頭発表へ。いくつか質問してしまった。ランチョンセミナーで聞いたシスメックスの新しい機械は凄いと思った。そのまま医学部1号館講堂のセッションで,病いと健やかさの多様性というシンポジウムから,リソースの限られたフィールド疫学の若者向けセッションをちらっと聞いてからポスターセッションへ。ソロモン諸島での現在のJICAプロジェクトを進めている方のポスターを見ていたら話ができて良かった。懇親会には出ずに渋谷に行ってソフトボール部のOB総会に出席し,息子のアパートに泊めて貰った。
- 日曜午前中は医学部2号館の講堂で行われていた学生部会の医療人類学セッションを途中まで聞いてから感染症アーカイブスのシンポジウムのための打ち合わせをしてからシンポジウム。無事に終わったが,ぼくの話は少し他の話と焦点が外れすぎだったかも。昼は菊坂上のアジアンレストランでカレーを食べながらミクロネシアの打ち合わせをし,午後は日本のNTD研究事業のシンポジウムを聞いてからポスターセッションへ。GISの見せ方は難しいなあ。あの内容の説明は5分じゃ無理だろ。
- 最後に総括討論。参加者数は1,525人だったそうだ。神馬先生から。HIVは医学生物学の問題から社会や法律の問題になったというJonathan Nan(?)の言葉の紹介があったが,元々保健・医療は医学生物学だけで済む問題では無いし,人権が共通というJonathan Nan(?)の言葉は甘いと思う。学生部会が真剣にテーマに取り組んでくれたという総括は,たしかにその通りかもしれないと思った。中村先生が感じられたという熱気は3学会の「思いは一つ」というよりも,ポスター会場については暖房の効きすぎ? 3人の大会長の意見が2:1になったときは1を尊重して2人は我慢ということにしていたら,そのうち1人の意見が出たらそこで決まりという風になったというのは面白い。渡航医学会はJapanese Firstで日本人の健康を守るのが第一ということで視点が違うと開き直られたぞ。普段格差の問題は考えてないとのこと。まあそうだろうなあ。質疑の後,今後の3学会の将来ということで,熱帯医学会理事長から,総会で予告されていた過激な案が提示された。さてどう展開するか? 国際保健医療学会の理事長もグローバルヘルスで合併するのは賛成とのこと。合併が嫌なら持ち株会社みたいなものを作って1つの会員権でどれにでも参加できるという発想。面白い。jaih-sの学生は優等生発言でつまらないなあ。もっと尖った本音コメントをしてくれても良いのに。渡航医学会の方はつかず離れずで行きたいということらしい。フロアからは同時並行するセッションが多すぎて参加できないものが多かったので何年かに一度で良いのでは? とか,異なる学会の発表に刺激を受けたとか,さまざまなコメントがでた。アメリカの熱帯医学会は5日間で国際保健も渡航医学も全部入っているので,そういうのを作って行きたいという熱帯医学会理事長に対して,診療をそんなに休めないという渡航医学会の大会長からの反論や,国際保健医療学会理事長からは少なくとも3年後にまた合同大会をしましょうといった意見が出た。その後,神馬先生からBMJのネット時代における学会の存在意義への疑念への答えとしてinspireが得られる場がface-to-faceの学会であるという話を紹介してきれいにまとめられた(が,若干玉虫色か)。
- 表彰式・閉会式の後も,いくつかの自由集会がある予定だが,それに出ていると最終飛行機に間に合わないので羽田へ。
- 最終飛行機から終バスへと乗り継いで帰宅したら,コウノドリと陸王の録画に失敗していてショックだったが仕方がない。
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