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【第1910回】 武藤敏郎大先輩への提案(2018年8月9日)
東京五輪組織委事務総長の武藤敏郎さんは運が悪いという話(開成の先輩なので氏ではなくさん付けて表記させていただく。以下後輩としては僭越であるが提案)を見て,なるほど確かに運が悪いと思った。このままだと熱中症患者と救急のパンクに加え,急拵えのサマータイム対応パッチではカバーされないエラーが引き起こすネットワークシステムパニックも重なって史上最悪の犠牲者が出る人災になる可能性が高いから,その責任を事務総長に押しつけられて悪名が上積みされ,さらに晩節を汚すことになってしまうだろう。
3年前の開成会会報に,昭37世話人会による『「武藤敏郎君を励ます会」報告』という記事が載っていて,武藤さんが大会準備のための判断枠組みとした点は「ロンドンオリンピックのコンセプトが参考になる。」「この祭典のレガシー(遺産)は何か。心にどう刻まれるか。」「それが将来に向けてどういう意味を持つのか。それは持続可能か。」と書かれており,「オリンピックはなぜ炎暑の真夏に開催されるのか?」「65歳以上のボランティアーの呼びかけ」などにも触れられたけれども,「ここだけの話」という部分もあって追って公表される機会に譲りたいと書かれていた(いまだにどこにも公表されていないようだし,本間龍さんが指摘される通り,シニア層へのボランティア呼びかけもされていないが)。
同記事には逢坂剛さんが同学年で激励の言葉を掛けられたとも書かれていたので,もしかしたら逢坂さんあたりから諫めて貰えれば聞く耳をもってくれるのではなかろうか(本当は,激励するんじゃなくて,その場で10月延期を勧めていただけたら良かったと思うが)。森喜朗元総理以下大きな圧力と抵抗があることは想像に難くないが,武藤さんが全力で頑張れば,まだ間に合うのではないだろうか。10月延期を断行して史上最悪の人災発生を未然に回避してくれたら,それが大英断であることを,少しでも想像力と合理性がある人なら皆わかるだろうし(外から思われている以上にたくさんいるらしい直接間接の利害関係者によるポジショントークを除く),これまでの汚名挽回になるだろう。
2年後が偶然にも冷夏に恵まれて被害者多数とならない可能性もゼロじゃないと思っていたが,今までずっと不運に見舞われてきた武藤さんが事務総長である以上,限りなくゼロに近い気がしてきた。今ならまだ間に合うはずだし,決断が遅くなればなるほど損失が増えるために延期もしにくくなっていくので,早期のご英断を願うばかりである。ご一考願えないだろうか。
- 6:15起床。眠る前に玄米をといで水に浸しておいたので炊く。後は鶏砂肝とナスと湯がいて切った水菜をオリーブオイルで炒めたおかずと味噌汁を作って朝食(Zenfone Zoom Sで写真を撮ってtweetしてしまった)。これは美味い。見てくれは悪いけど。
- 今日は長崎に原爆を投下されてから73年目。平和記念式典に国連事務総長として初めて出席したグテーレスさんのスピーチ(時事通信による要旨抄訳は,核軍縮と訳しているが,グテーレスさん自身は核兵器廃絶と言っている)は,長崎平和宣言に呼応して,軍備費が人道支援に使われる金の80倍も多いことを指摘し,国連としても平和と核廃絶に向けて歩む意思を明確に示したものであったと思う。
- 奥村さんのtweetを見て検索してみたら,第一生命経済研究所のエコノミスト永濱利廣氏によるレポートは,2005年のものと2018年のものがあって,たしかにどちらもOLSだけだ。国際協力研究科の修論とかみていると,確かに分析の第一段階としてOLSをするのは経済系の常套手段みたいだが,そこから操作変数法,傾向スコア,DIDといった分析方法を使って変数の内生性をみたりバックグラウンド効果をみるといった検討がなされるのが普通で(最近だと媒介分析とか),OLSで結論を出すことはしていないように思うので,奥村さんが呆れられるのもわかるが,これがマクロ経済分析の標準かというと,たぶんそんなことはない(それに,もしかしたら,他のモデルもいろいろ検討した上でOLSがベストだったのかもしれない。書かれていないのでわからないが)。そもそも置いている仮定が多すぎるので,精緻な分析をしても無意味かもしれないとも考えられるか? 2つのレポートを見比べてみると,2005年の分析ではOLSの決定係数が0.998で,1時間ずらしのサマータイムで名目家計消費の0.54%(約1兆2,094億円)の増加が見込まれると書かれているが,2018年の分析ではOLSの決定係数が0.807に悪化し,2時間ずらしのサマータイムで名目家計消費の0.3%(約7,532億円)の増加が見込まれると書かれている。ただ,永濱氏は,2005年レポートでも「サマータイムを導入しても労働時間が伸びれば意味はない」と書いているし,2018年レポートでは,労働強化の可能性,健康上のリスク(2012年に日本睡眠学会が明確に指摘しているので,今年のレポートならば触れて当然か),システム混乱のリスクなどに触れて,「そもそも、先進国の殆どが導入していることへの対応や、明確に交通安全や防犯効果等を目的としたものであれば理解できる側面もある。しかし、東京五輪に向けた暑さ対策が目的なのであれば、効果が不透明でシステム等のトラブルリスクの伴うサマータイムを導入するよりも、競技時間の変更等で対応するほうが国民の理解を得やすい」と結論しているので,ラフな試算であることもその限界もわかった上で発表したものと思われる(追記:永濱氏のレポートについては,8月12日付けで公開された第一生命経済研究所のレポートにある日照時間による消費の推定についてが詳しく再検討している)。それよりも,いつ作られたものか不明だが,この環境省のパンプレットの方が酷い。酷すぎるプロパガンダ宣材。なんだこれ?
- テレビの報道バラエティ番組が,サマータイムを試しに導入してみた企業,なるものを紹介するケースが増えてきたが,まったくのナンセンス。サマータイムは時計をずらすのだから,企業単位で導入などできない。その企業が導入したのは統一されたフレックス勤務に過ぎない。あれも酷いプロパガンダなので,視聴者は騙されてはいけない。
- Gigazineの科学記事はソースへのリンクがあるのが良い。温暖化が一定以上進むと人間の手によって押しとどめることが不可能に、今後10年の動向が分岐点だと専門家という昨日の記事も,ProNASに掲載されたPerspectiveへのリンクが張ってあった。後で読もう。
- 鄭君のこれ,健康と病気の間は「グラデーション」という見方は重要だと思うが,ここでいう病気はdiseaseのみなのが惜しい。まあ,彼も医者だから仕方ないか。
- 今日のドラゴンズは終盤まで2-2の互角の勝負。好投した笠原投手をリリーフした佐藤優投手が2人連続四球で冷やっとしたが,次の四番鈴木誠也選手,五番バティスタ選手,六番野間選手を三者連続三振で切り抜けた。後は勝ち越すのみ……と思ったが,延長11回表の一死満塁で高橋周平選手が犠打さえ打てず勝ち越せなかったのが響いて11回裏にサヨナラ負けであった。残念。高橋選手は今日も2安打しているし,守備でも好プレーをしているが,この試合を決定づける場面で仕事ができなかったのが勿体なかった。もう一皮剥けて欲しい。
- 『枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』扶桑社,ISBN 978-4-594-08063-1(Amazon | honto | e-hon)がAmazonから届いた。演説の書き起こしだから著者はいないんだな。奥付を見ると8月15日第2刷となっているので,爆発的に売れているようだ。帰ってから読もう。
- 査読仕事を1つ完了してメール送信し,湊川公園廻りの終バスで帰宅してから素麺を茹でて晩飯。録画しておいたジブリの音楽を聴いていたが,リトグリの「君をのせて」は当然素晴らしかった(今回のアレンジはハモりは控えめで,その分,一人ずつ主旋律をとるときの,それぞれ特徴が違うボーカルが際立つものになっていた)のに加え,インスト曲も素晴らしかった。「風のとおり道」でバイオリンを演奏していたのが五嶋龍さんであるのにも驚いたが,初めて聴いた「天人の音楽」も素晴らしい曲だった(ただ,撮影の仕方としては視点を変えない方が良いと思ったが)。あと,ピアノとベースとボーカルだけというシンプルな構成で,故・高畑勲さんに捧げるとして演奏された,コトリンゴさんを少し深くて温かくしたような感じの何とも魅力的な声をもつ二階堂和美さんの「いのちの記憶」も良かった。
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