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【第318回】 六甲で修論審査を済ませてから名谷へ(2020年2月21日)
- 今日は六甲で修論審査。主査2件と副査2件。アルコール除菌クリーナーとマスクが誰でも使えるように廊下に用意されていて驚いた。終わってから名谷へ移動。
- NEJMの特設ページ(厳密に言えばコロナウイルスのページなので,下の方にはMERSの論文も載っている)をフォローしていなかったが,2月19日付けのSARS-CoV-2 Viral Load in Upper Respiratory Specimens of Infected PatientsというCorrespondenseは17例の症状のあったケースと1人の無症状のケースについて,毎日鼻と喉からサンプルをとって2019-nCoVの量を調べた,一種のウイルス排出研究(viral shedding study)で,発症直後にウイルス量が多く,かつ鼻の方が喉より多い点がSARS-CoVとはまったく違うと報告している。無症状のケースも症状のあったケースと同様のウイルス量が検出されたと書かれているが,1例なので定量的な評価はできない。1月30日に出たTransmission of 2019-nCoV Infection from an Asymptomatic Contact in GermanyというCorrespondenseでも,無症状の人から感染した患者は報告されていたが,2月19日の論文は,無症状であっても鼻水や唾に2019-nCoVが感染を起こしうる量,含まれている場合があることの証拠となる。しかしそれ以上に注目したいのは,同じく2月19日にPerspectiveとして掲載されていたハーバードSPHのMarc LipsitchらのDefining the Epidemiology of Covid-19 — Studies Neededである。COVID-19の疫学的特徴を明らかにしなくてはいけない,として4つの決定的なポイント(重症度に大きな幅があるこの病気の全体像,感染力はどれくらいなのか,感染力に影響する要因は何か,重症化あるいは死亡につながる要因は何か)を挙げ,これらの疑問へのエビデンスと,それを得るために必要なアプローチを表にまとめている。それぞれのアプローチは,MERSや2009のパンデミックインフルエンザなど,これまでのアウトブレイクで成功したことがわかっているとしている。わかりやすい表なので意訳しておく。
必要なエビデンス | アプローチ(研究タイプ) |
---|
軽症例を含む患者数 | 症例ベースのサーベイランスとターゲットを絞ったウイルス検査 |
伝播のリスク因子とタイミング | 世帯ベースの研究 |
重症化率と罹患率 | コミュニティベースの研究 |
重症化の「ピラミッド」 | 複数のソースとデータ型をもつ研究の統合 |
感染,重症化,死亡のリスク因子 | 症例対照研究 |
感染力のタイミングと感染強度 | ウイルス排出研究 |
- 事務仕事をいくつか済ませたら19:00を過ぎた。いったん帰宅し,荷物をまとめてから大阪発の夜行バスで長野に向かう必要があるので,19:30には研究室を出なくてはいけない。
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