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個別鵯記

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【第221回】 『スクールカースト』について再び(2012年12月24日)

レンジモチアミで餅を調理してみる
Aikoの『恋のスーパーボール』のイントロで6:00起床。振替休日だがいろいろ予定があるので出勤する。おかずは昨夜の煮込みが丼一杯残っているので,それを再加熱する。炊飯器で保温中の米もまだ残っているが,オーブンレンジという新兵器を試すため,ダイエーで買ってきたレンジモチアミを置き,水に通した切り餅を2個置いて600Wで1分。実に簡単にできあがった。焦げ目などはつかないが,まあまあの味だ。搗き立てには敵わないが。
Goose houseと齊藤ジョニーのクリスマスプレゼント
Goose houseと齊藤ジョニーがクリスマスプレゼントとしてYou Tubeで動画を公開している。Goose houseはWe Wish You a Merry Christmas,齊藤ジョニーはWham!のLast Christmasのカバー。いやあ,ジョニー氏,いい声だなあ。You Tubeの仕様が変わったためArea61ダウンローダーをアップデートしたらUstreamアーカイヴがダウンロードできるようになっていたので,HOYもダウンロード。1 GBほどあるが,神懸かった演奏の嵐だったので保存しないわけにはいかない。とくに最後に演った10人のsingは圧巻だったし。
寒い朝
7:17の名谷行き休日始発バスで出勤。寒いので,少年野球のコーチをしていたときにチームで作ったスタジャンを着込んできたが,正解だった。今日の冷え込みは長野並みかもしれない。
『空飛ぶ納豆菌』
往路バスで,岩坂泰信『空飛ぶ納豆菌:黄砂に乗る微生物たち』PHPサイエンス・ワールド新書,ISBN 978-4-569-80926-7(Amazon | honto | e-hon)を読了。黄砂研究はいろいろなところで耳にしてきたが,本書はこの分野の日本における草分け的存在である著者が,バイオエアロゾル学と呼ばれる微生物関連部分の研究にフォーカスし,歴史的な経緯から進行中の話に至るまでを綴ったものであり,大変に面白かった。内容もさることながら,パイオニアワークに付きものの試行錯誤や失敗談が含蓄に富んでいる。これも時間があったら書評として書きたいところだが,心にとまったところをいくつかメモしておく。著者は元々火山噴火が成層圏に及ぼす影響を調べたくてライダー(レーザーレーダー)を開発してきたのだが,1982年に南極でも火山の影響が見られるか調べに行ったところ,偶然にもオゾン層破壊をもたらす場である極成層圏雲に遭遇し,その発見こそ人工衛星を使った米国チームに先んじられてしまったが,極成層圏雲の垂直方向の構造を詳しく調べることができたそうだ。その後の研究によって,フロンが成層圏に達して紫外線で分解されると塩素ラジカルを発生し,通常はNOxなどに塩素貯留物質として封じ込められるのだけれども,極成層圏雲ではNOxが凍って氷晶になるので,その表面で不活性な塩素貯留物質から塩素分子が生じ,春になって日光が当たると塩素分子が塩素ラジカルとなって,オゾン層破壊の反応系を作ることがわかったという話も大変興味深かった。フィールド研究では予想と違うことが良く起こるが,そこを新しい研究の手がかりとしてきちんと捕まえることの重要性を示すエピソードだと思う。また,南極に行く直前に行った黄砂の観測で,上空2 kmと6 kmの2層にピークがあることを発見したという話も面白かった。6 kmはタクラマカン砂漠から定常的に流れてくるもので,2 kmの方が砂塵嵐などによって巻き上げられたものだそうだ。ライダー観測によって,上空6 kmの「自由大気圏」では,春先だけでは無く,一年を通して黄砂が飛んできていることを発見したことを示す図2-2がとてもクリアで,こういうデータが出た時は小躍りするほど嬉しいだろうなあと思った。黄砂の長距離輸送について多国間共同で行われたACE-Asia研究の話も面白い。Nature Digest日本版の今年の7月号に載っていた,「病原体は風に乗って太平洋を渡る?」(リンク先は本文pdf)では,未だ原因不明である川崎病の病原体も,黄砂に乗って世界に広まっているのではないかと示唆されていたが,確かにちょうど今,明らかにされつつあるところなのであろう。3つの源流をもつ黄砂がどれだけ飛ぶのかを明らかにするためにチベットや敦煌に出かけて気球を飛ばしたり,「大気観測能登スーパーサイト」に集結して院生の教育を兼ねた継続調査をしたり,立山に積もった雪から黄砂層を取り出して分析したりと,八面六臂縦横無尽の展開ぶりが,ときに情熱的,ときにコミカルな筆致で語られており,大変にエキサイティングであった。能登をスーパーサイトと称するに至ったところが,たぶんどの分野の研究にも通じる名文なので引用しておきたい。

まず,観測点の位置が素晴らしい。先に触れたように,大気を観察するのにうってつけの場所なのである。

サイエンスの世界では,この地は「素晴らしい」という称賛の言葉だけでは素晴らしさは認めてもらえない。「素晴らしい」という評価に値する証拠を研究者に示さなければならない。厄介なことではあるが,この世界のしきたりのようなものである。最も効果的な証拠は「論文」である。この地で行われた観測の成果を,世界に流通している国際的な科学ジャーナル誌上に発表することで,この地の素晴らしさが分かってもらえる。やがて,この地で観測してみようという研究者があちこちからやってくることになるだろう。

そうなれば,おのずと研究者の交流がここで生まれてくる。いつの時代でも,研究の発展には研究者の交流が不可欠である。どうしてかは分からないが,個性の違う研究者同士の触れ合い,バックグラウンドの違う研究者同士の触れ合いなどが新たな発想と新たな疑問を生み出して,さらに奥の深い,そしてこれまで見えてこなかった新しいサイエンスを作り出してゆくのである。そんなことから,私たちとしては,何はともあれいろいろな研究者がここを訪れたくなるくらいに有名にしたいのである。

『スクールカースト』再び
一昨日簡単に感想を書いた『スクールカースト』について,もう少し補足しておく。インドのカースト制度は生まれた階級によってカーストが固定している(記憶によると,唯一上がれる可能性があるのはhypergyny(昇嫁婚)によって女性が上のカーストに入ることだが,多額のdowry(持参金)が必要とされるので難しい)のだけれども,「スクールカースト」は生まれによって固定しているわけではない。ただ,小学校から中学に上がっても,中学でクラス替えがあっても,ある程度の情報が出回っているから,下級カーストから抜け出ることは難しいという(著者の,インタビューに基づく推論)。本書では,「スクールカースト」が児童生徒同士の間では権力関係と捉えられているが,教師は能力を示すものと捉えているという食い違いが指摘されているが,この論の限界は,権力はともかく,本来多様であり可変な「能力」を1つの軸に集約して語ってしまっているところにあると思う。「生きる力」にせよ「コミュニケーション力」にせよ,状況依存で変わるものだし,決して1つの軸では語れない(宮部みゆきの『ソロモンの偽証』が傑作なのは,1つには,その可能性を見せてくれる点にある)。自分が中学・高校生だった頃の開成にはスクールカーストは存在しなかったと思うが,その理由はたぶん,多様な軸を認め合っていたことだと思う。そもそも固定したグループなるものはあまりなかったように思う。昼休みに野球をするときと,釣り同好会で一緒に活動するときと,クラシック音楽愛好会で活動するときで,全部メンツは違うのだし,それが当たり前だった。WooDSToCkというサークル(意味するところはAnti-G)とクラシック音楽愛好会は一部かぶっていたが,SFの話をするときはSF好きな奴と喋るし,政治を論じたければ政治好きな奴と喋るし(このとき右翼だの左翼だのノンセクトラジカルだのといった話をしていたから,大学に入ってから活動家の人たちとの距離感を保つことができた),とくに固定したグループとかカースト的なモノは存在する余地がなかった。壁を作って交流範囲を狭めてしまうのは,物凄く勿体ないことだと思う。大抵のネタについては,クラスあるいは学年で1人や2人はマニアといっていいほど詳しい奴がいて,ある種の尊敬を集めていた。白い手袋をはめてβプロを操作し,きちんとCFカットしてアニメのビデオを録画しまくっていたS君は,声優とかアニメについては知らないことはないんじゃないかというくらいのマニアであった。ぼくは,自分にはとてもできないと思いつつ,彼のこだわりを尊敬していた。他にも,由来は知らないが「むつ」という渾名の奴がいて,大人然とした風采で柔らかい物腰・柔らかい声で,二人称表現として「オタク」を使う唯一の知人であった。彼は勉強もできたが,ある一時期のクラシック音楽にはとても詳しかった。いわゆるオタクの走りのような人だったので,『スクールカースト』で言えば最下層になってしまうわけだが,高3の時には組責任者を務めるほど人望があった。だから,多様な評価軸を認めるだけで,カーストは緩和されるというか存在する余地がなくなるように思う。そしてそれは,教師が意識してencourageすれば,ある程度達成できるんじゃないだろうか。ただ,おしゃれさなどというモノがほとんど評価軸に入っていなかったのは,男子校だったからか。
統計相談2件
10:00過ぎに看護系の教員から,因子分析の,というよりもsemの相談を受けた。AMOSで分析しているそうだ。何となく状況はわかったのでアドバイスはできたし,まあpublic health系ならいけるんじゃないかという見込み。次いでインドネシアからの留学生Alimさんからの相談。先週はマルチレベルモデルかと判断してFarawayの本を貸しておいたが,実は応答変数がグループレベルの複数の変数で,説明変数が個人レベルの変数という状況だったので,簡単にはマルチレベルモデルは使えない。むしろグループを単位としたデータテーブルに作り替え,個人レベルの変数からグループ内での最高スコアと最低スコアと平均スコアを取り出して,グループ単位の解析にする方が筋がいいような気がしてきたので,そのようにアドバイスした。続きは午後。
request for updating NegelkerkeR2
海外のユーザから,fmsbパッケージに入れてあるNagelkerkeR2関数をglmだけでなく,ordinalパッケージのclm関数の出力オブジェクトからも計算できるようにして欲しいというリクエストメールが来た。しかしordinalパッケージ自体使ったことがないので,まずは,その中身を把握しなくてはならない。面倒だが見てみるか。
公衆衛生学ミニレポートチェック
時間が無くて整理が追いついていなかった公衆衛生学ミニレポートをチェック中。しかしGoose houseのHOYを流していると,そちらに意識が向いてしまって進まない。仕方ないのでHOYを流すのは帰宅後にすることにして,仕事BGMはカリブ海のスチールドラムにした。が,ミニレポートチェックは終わらないうちに最終バスの時刻が迫ってきた。結局直通最終バスには乗れず,湊川公園廻りで帰った。それにしてもゴミ出しを忘れていたのは失敗だった。口をきつく縛って年明けまで玄関に置いておくしかないだろうな。

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