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【第301回】 洗濯してから期末試験問題を仕上げる(2020年2月2日)
- 6:30起床。浴槽に湯をためて入浴後,残り湯を使って洗濯機を回しながら,レトルトご飯に缶詰カレーを掛けて朝食。
- 今日はとにかく期末試験問題を仕上げねばならない。洗濯が終わったら名谷へ出勤予定。
- 新型インフルエンザ等対策特別措置法という法律が2012年成立2013年公布され,2018年改正が2019年6月から施行されていて,かなりラジカルな対処がとれるようになっているが(日本ウイルス学会のサイトにある,成立時の説明),この法律の対象は新型インフルエンザ等感染症と全国的に急速に蔓延する可能性がある場合の新感染症となっている。先日,2019-nCoVは指定感染症よりも新感染症にする方が筋なのではないかと書いたが,この特措法を使えば就業制限どころではない本格的な対策がとれるのだから,厚労省は新感染症に指定し直すべきと思う。未だにいろいろな性状が研究されている最中で,明らかになっていないことも多いのだから。
- 64GBのSDカードが壊れて認識されなくなった。認識自体されないので再フォーマットも不可能。捨てるしかないか。
- 公衆衛生における社会防衛のための規制行政的活動は,個人の基本的人権の制限を含む場合も多いので,民間には許されず,都道府県知事など公権力によってしか実施されないし,その発動は法律で厳しく管理されている。現政権周辺の口からは緊急事態法を制定して迅速な対処などという世迷い言が出てくるが,それでは政権中枢が恣意的かつ選択的に広範囲に個人の人権を抑圧することが可能になってしまう。問題は全国的に急速に蔓延することによって社会システムの維持を危機にさらす可能性がある感染症への対処なのだから,既に成立している新型インフルエンザ等対策特別措置法が適用できるようにするのが筋だろう。なぜそうしないのか。
- 内閣官房の組織体制を強化する方針という報道だが,本当に専門家を呼ぶなら,政治家主導で制御しようとせず,その専門家が能力を発揮できる体制を与えてあげて欲しい(もっとも,現状への対処のためには,国際保健,災害対策,感染症の臨床を含む広い視野を保ちつつ,システマティックな考え方が迅速にできる,高山先生のような人が必要で,そういう人材は日本には少ないのだが)。そういう専門家を,内閣官房が「やってる感」を出すための権威付け用アドバイザーとしてしか使わないなら,無駄づかいになってしまう。個別分野の第一線の専門家は,疫学だったら研究を進めて信頼できるCFRやR0やRtや検疫のための隔離が必要な期間の推定値を出すことに貢献してもらうべきだし,ウイルス学だったらウイルスの遺伝子解析や病原性,このウイルスがどういう条件で上気道から肺に移行するのかといったメカニズムの解析,ワクチン開発などを進めて貰うべきだし,臨床だったら症例検討や治療法の検討を進めて貰うべきだろう。それら個別分野についての専門家を呼ぶなら,第一線を退いた方が良いと思う。
- 中国でA型インフルエンザウイルスH5N1亜型が感染した鶏が4500羽死んだというニュースが流れているが,H5N1は鶏から人に感染した場合のCFRが60%に達することから,「高病原性鳥インフルエンザ」として感染症法の2類に規定される全数報告疾患となっているものの,基本的に鳥類の病気であって稀にしか鶏から人には感染しないし,人から人への感染は一例もないのでR0が0であり,それほど恐れる必要はない。詳しくは10年前に作った講義資料「新型」インフルエンザ対策の公衆衛生学的視点をご覧いただきたいが,変異してヒト=ヒト感染を起こす可能性に対する警戒を怠ってはいけないが,鶏でのアウトブレイクだけならば,鳥類との濃厚接触を避ければ,まず安全である。現在の状況で,新型コロナウイルスよりも鶏でのH5N1の危険を煽るようなことを言う人は,まず間違いなく,感染症の素人である(あるいは,何か別の意図があるのか)。公衆衛生学の「感染症とその予防」の資料に載せたWolfe et al. 2007のフレームワークで言えば,高病原性鳥インフルエンザは第2段階なので,比較的対策は容易である。新型コロナウイルスはたぶん第4段階になってしまったので,対策はずっと難しいし,社会介入が必要になる。
- 試験問題作りが早く終わったら『AI崩壊』を見に行きたかったのだが無理そう。22:00近いがまだ終わらない。
- 1月28日に厚生労働省令が公布され,当初は10日が経過した2月7日施行予定だったが前倒しで2月1日(昨日)から施行されたことで,新型コロナウイルス感染症は,指定感染症であるだけでなく,検疫法2条3号による検疫感染症となった。このファイル中の参考資料にある通り,新感染症に指定しておけば検疫法34号2号により検疫時に隔離・停留もできるのだが,検疫法2条3号によるのでは,チクングニア熱,デング熱,マラリア,H5N1またはH7N9による高病原性鳥インフルエンザと同様,質問・診察・検査・消毒はできるが,隔離・停留は強制できない。どう考えても新感染症にするのが筋だったと思うが。
- 試験問題を作りながらradikoでハモれでぃおを聞いていたら,リトグリはフルーツ好きで,桃とか林檎とかシャインマスカットとか言っている。それは長野でライブをするしかないのでは。完熟した川中島白桃とかサンふじを摘んですぐ食べた味といったら,他の桃とか林檎の旨さが霞むほどの絶品である。ブドウもシャインマスカットだけでなくシナノパープルを食べて欲しい。関西人なのに納豆食べるのは意外。
- 23:00直前に問題が完成して印刷開始。何とか帰宅できそうで良かった。
- メールで至急対応が必要な案件が届いていたが,ちょっと引き受けられないのでお断りした。仕方ないよなあ。
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